7月26日(日) 23:30
タイには、外国人向けの設備が整った私立病院があります。バンコクなどの都市部では、英語対応が可能な病院や、日本語通訳サービスを用意している病院もあります。そのため、タイの医療は「安くて便利」というイメージを持たれがちです。軽い風邪や簡単な検査であれば、日本より受診しやすいと感じる人もいるでしょう。
しかし、心筋梗塞のような急病では話が変わります。緊急搬送、カテーテル治療、手術、集中治療室への入院、薬剤、検査が重なると、請求額は大きく膨らみます。外国人が利用しやすい私立病院は自由診療であることが多く、治療費や入院費、手術費用が高額になることがあります。
また、病院によっては入院や手術の前に保証金を求められることがあります。急な病気で家族が混乱している中で、クレジットカードの限度額や海外送金の問題に直面することもあります。
「タイは生活費が安いから、医療費も何とかなる」と考えるのは危険です。普段の生活費と、命に関わる医療費は別物として考える必要があります。
日本では、公的医療保険があるため、病院での自己負担は原則として一定割合に抑えられます。高額療養費制度もあり、医療費が高くなった場合でも、所得に応じた上限を超えた分が戻る仕組みがあります。
一方、タイに移住して日本の健康保険から外れると、日本と同じような保護は受けられません。現地の医療制度に加入できるか、民間医療保険でどこまでカバーできるかが重要になります。
海外療養費制度を思い浮かべる人もいるかもしれません。これは日本の健康保険に加入している人が海外で治療を受けた場合、一定の条件で払い戻しを受けられる制度です。
ただし、日本で同じ治療を受けた場合の基準で計算されるため、現地で実際に払った金額が全額戻るわけではありません。そもそも日本の健康保険を抜けていれば対象になりません。
そのため、長期移住では民間の医療保険が大切になります。補償額、持病の扱い、入院日数、手術、救急搬送、キャッシュレス対応の有無を確認しましょう。
保険料を節約しすぎると、いざというときに補償が足りないことがあります。特に50代以降や持病がある人は、加入できる保険が限られる場合もあるため、移住前の確認が欠かせません。
心筋梗塞は、対応の早さが命に関わる病気です。胸の痛み、息苦しさ、冷や汗、強い不安感などが出たとき、どの病院へ行くかをその場で調べていては遅れる可能性があります。
移住前、または移住直後に、自宅から近い救急対応病院を確認しておきましょう。日本語や英語で対応できるか、心臓カテーテル治療に対応しているか、保険会社のキャッシュレス提携先かも重要です。
また、家族や同居人に、保険証券、パスポート、緊急連絡先、持病、服薬中の薬を共有しておくことも大切です。本人が意識を失った場合、周囲の人が手続きできるようにしておく必要があります。
クレジットカードの利用限度額も確認しておきましょう。高額な保証金が必要になったとき、カードが使えないと治療開始や入院手続きで困る場合があります。保険会社の24時間日本語サポート窓口も、スマートフォンと紙の両方に控えておくと安心です。
タイ移住は魅力的ですが、医療面では「何とかなる」ではなく、事前準備が命を守ります。
タイは家賃や食費などの生活費を抑えやすい国ですが、医療費まで必ず安いとは限りません。特に外国人が利用しやすい私立病院で、心筋梗塞の緊急手術や集中治療が必要になると、高額な請求になる可能性があります。
日本の公的医療保険や高額療養費制度と同じ感覚でいると、現地で驚くことがあります。長期移住で日本の健康保険から外れる場合は、民間医療保険の補償内容をしっかり確認しましょう。
移住前には、保険、救急病院、クレジットカード限度額、家族への情報共有を整えておくことが大切です。物価の安さだけで判断せず、重い病気になったときの費用まで含めて資金計画を立てれば、タイでの暮らしをより安心して続けられます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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