7月25日(土) 22:10
定年後の再雇用は、会社が高年齢者の雇用を確保するために設ける制度の一つです。同じ会社、同じ部署に残ることもありますが、定年前の役職や権限がそのまま続くとは限りません。
たとえば、定年前は課長として部下に業務を割り振っていたとしても、再雇用後は嘱託社員や契約社員として、後任の課長を支える立場になることがあります。この場合、業務経験を生かして助言することは期待されても、元部下に命令する権限まではないかもしれません。
元部下から「もう上司ではない」と言われた背景には、命令口調や確認なしの指示があった可能性があります。本人は仕事を円滑に進めるつもりでも、相手から見ると「過去の立場を引きずっている」と受け止められることがあります。
再雇用後は、まず自分の役割を会社に確認しましょう。誰に報告するのか、誰へ指示できるのか、後輩へ助言する範囲はどこまでかを明確にしておくことが大切です。
再雇用で給料が下がると、「以前より責任が軽いのだから、同じように働かなくてよい」と感じるかもしれません。確かに、賃金や勤務日数、役職、責任範囲が変わるなら、求められる働き方も変わります。
ただし、給料が下がったからといって、契約上の仕事を怠ってよいわけではありません。労働契約で決められた勤務時間、業務内容、服務規律は守る必要があります。
一方で、定年前と同じ責任を負わされているのに、賃金だけ大幅に下がっている場合は、会社に確認すべきです。仕事内容、責任、権限、賃金のバランスが取れていないと、不満がたまりやすくなります。
「これまで通り仕事をする」といっても、同じ態度で指示することと、経験を生かして仕事に貢献することは別です。再雇用後に求められるのは、現場を支える姿勢です。後任者の判断を尊重しながら、必要な場面で知識を共有する働き方に切り替えると、周囲との摩擦を減らせます。
再雇用後も、元部下に対して強い口調で命令したり、「昔はこうだった」と一方的に押しつけたりすると、職場の人間関係が悪化します。会社から指示権限を与えられていないのに、実質的に命令するような態度を取ると、相手は働きにくさを感じるでしょう。
厚生労働省の「職場のハラスメントに関する実態調査(令和5年度)」によると、労働者の5人に1人が 「過去3年間に勤務先でパワハラを受けたことがある」と答えています。令和4年からは、全ての事業主に対して「パワーハラスメント防止措置」が義務化されています。
厚生労働省の指針では、職場のパワーハラスメントは、優越的な関係を背景とした言動で、業務上必要かつ相当な範囲を超え、就業環境を害するものとされています。元上司という立場や長年の経験も、相手にとっては心理的な圧力になることがあります。
もちろん、後輩や元部下が礼儀を欠いた態度を取ってよいわけではありません。お互いに役割を理解する必要があります。もし関係がこじれているなら、直属の上司や人事に相談し、業務上の指揮命令系統を整理してもらいましょう。
助言をするときは、「こうしなさい」ではなく、「こういう方法もある」「必要なら手伝います」と伝えるだけで印象は変わります。経験を押しつけるのではなく、求められたときに力を貸す姿勢が大切です。
再雇用で給料が下がっても、契約で決められた仕事はきちんと行う必要があります。ただし、定年前と同じ部署に残ったからといって、現役時代と同じ権限で元部下に指示できるとは限りません。
再雇用後は、過去の肩書きではなく、今の契約と会社から与えられた役割に沿って働くことが大切です。指示権限がないなら、命令ではなく助言や支援に切り替えましょう。
元部下との関係に悩む場合は、自分だけで判断せず、上司や人事に役割を確認してください。長年の経験は大きな財産です。立場の変化を受け入れて伝え方を変えれば、職場にとって頼れる存在であり続けることができます。
厚生労働省事業主が講ずべき ハラスメント対策 パンフレット
厚生労働省職場のハラスメントに関する実態調査について
政府広報オンラインNOパワハラ なくそう、職場のパワーハラスメント
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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