F1第10戦ベルギーGPレビュー(前編)
トップから2周遅れの19位とリタイア。前を走るキャデラックからは約72秒もの後れ。
ベルギーGPのアストンマーティン・ホンダは、誰とも戦っていなかった。
「これが僕らのスタンダードなレースだし、この10戦ずっとこのポジションだ。今回が何か特別だったわけでもないし、僕らはベストを尽くしたし、最後までレースを走りきった。これが今のこのクルマのすべて。あとは来週のアップデートでどうなるか、見てみるだけだよ」
レースを終えたフェルナンド・アロンソは、すっきりとした表情で語った。
アロンソは次戦のアップデートでどんな感想を述べるのかphoto by BOOZY
尋ねる側も答える側も、自然と話題はレースの話ではなく、来週の話になる。ハンガリーGPには、開幕からずっと待ち続けてきた待望のアップデートパッケージが投入される。
このベルギーGPの舞台であるスパ・フランコルシャンは、20秒を超える長い全開区間が2本あり、パワーユニットの差がラップタイムに如実に表われる。
そして、セクター2には中高速コーナーが連続し、車体の空力性能も浮き彫りにされる。
アストンマーティン・ホンダにとっては、シーズン前半戦で最も厳しいサーキットになるはずだった。
実際に、金曜のFP2では5.474秒もの差をつけられた。ただ、そこからマシンのセットアップやエネルギーマネジメントの改善を進め、予選では4.137秒差まで縮めた。トップとの差が104%を切って103.907%というのは、第7戦バルセロナ・カタルーニャGP以降で最少のギャップだった。
「予選に向けていくつかセットアップ変更を施して、それによっていくつか改善を果たせたのはポジティブだね。トウをうまく使おうとトライしたんだけど、完璧な形で使うことはできなかった。それがうまくできれば、あとコンマ数秒は稼げたはずだ」
ランス・ストロールはそう語る。どうあがいてもライバルチームと戦うことができない状況下で、0.001秒でも現状のAMR26から絞り出そうと努力してきたチームを称賛した。
【AMR26のマシン性能は絞り出した】そこにライバルとの戦いはなくとも、自分たちとの戦いはある。
その戦いにおいてはこれ以上ないほど、アストンマーティン・ホンダは限界を突き詰めてきた。それが、この結果だった。
それでも、いずれにせよ予選最後尾なのであれば、パワーユニットの新品コンポーネントを投入してグリッド降格ペナルティを消化しておく。ストロールはMGU-K(運動エネルギー回生システム)、アロンソはバッテリーとCE(コントロール・エレクトロニクス)を投入し、実質的にペナルティなしでシーズン後半戦に使うことができるストック作りを進めた。マシンの戦闘力が上がるシーズン後半戦に、より余裕を持って戦うための戦略だ。
今、目の前のレースでは、ライバルと戦うことはできない。
ライバルたちは、1月のシェイクダウンからここまでの6カ月間でさまざまなアップデートパーツを投入し、マシンを大幅に進化させてきた。その一方でアストンマーティンは、開幕前に大きくつまずいたと気づいた時点で方針を変え、前半戦は根本的な問題解決と大型アップデートに集中する決断を下した。
結果として、マシンの性能差は拡大したはずだが、ラップタイム差はそれほど拡大していない。それだけ、開幕戦からなにひとつ変わらないAMR26のポテンシャルを絞り出してきたからだ。
アロンソは言う。
「10戦にわたってアップデートなしで苦戦しながら、このために努力してきたんだ。FP1からFP3までクリーンなセッションで学習を進めることが、僕らにとってはものすごく重要になる。マシンとセットアップの方向性に対する理解を深めて、ポテンシャルを最大限に引き出せればと思っているよ」
◆つづく>>
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