7月20日(月) 3:40
収入が増えると児童扶養手当を受けられなくなりますが、当然、手取りの収入は増えます。
しかし、増加額によっては、失った児童扶養手当と増えた収入がほぼ同じになることがあるかもしれません。児童扶養手当があることで交通費の補助や水道代の減免など他の行政サービスも手厚く受けられますから、その影響を考えるとさらに大きくなるかもしれません。
しかし、大切なのは今年だけで判断しないことです。
収入が上がったということは、評価された結果で、来年、再来年とさらに収入が増えていく可能性があります。数年後には、失った児童扶養手当以上の収入を得られるようになっているかもしれません。
また、給与が増えることで将来受け取る老齢厚生年金も増えます。さらに、家計に余裕が生まれれば、NISAやiDeCoを活用した資産形成にも取り組みやすくなるでしょう。特にiDeCoは掛金が全額所得控除になるため、所得を下げる効果を持っています。そのためiDeCoをすることによって児童扶養手当の所得制限に収まる可能性もあります。
ただし、理想は「iDeCoで所得を下げなければ手当が受けられない状態」ではなく、「iDeCoを利用してもなお収入が十分高い状態」です。なぜなら、iDeCoは節税だけでなく、自分自身の老後資金を準備するための制度でもあるからです。
ここでは、子ども2人を扶養するシングルマザー45歳を例に考えてみます。
年収420万円
児童扶養手当あり(子2人分年間約24万円)
年収450万円
児童扶養手当なし
年収480万円
児童扶養手当なし
iDeCoに毎月2万円(年間24万円)を積み立て
まず、ケース1の年収420万円では、児童扶養手当を年間約24万円受給できるため、年収と児童扶養手当を合わせると、実質444万円(税・社保考慮せず)程度になります。
一方、ケース2は年収450万円で児童扶養手当は受給できません。しかし、年収420万円のケースと比較すると、差はわずか6万円程度です。将来の年金も増えるとはいえ、下記表を見ると年間約3.3万円です。
これだけを見ると、「頑張って働いたのに手当がなくなってしまった」と感じる方もいるでしょう。しかし、年金は一生受け取れます。仮に65歳から95歳の30年受け取ると、3.3万×30年=99万円です。
そして、今後、さらに年収が上がったらどうでしょう。年収が480万円に上がったのがケース③です。
ケース3では、児童扶養手当は受給できませんが、毎月2万円をiDeCoで積み立てています。この年収であればiDeCoをしても児童扶養手当を受けることはできません。
仮に年金増加分を30年受け取ると6.6万×30年=198万円、iDeCo運用益は仮に20年間利回り3%で運用できた場合の利益です。年収が60万円増加することによって、児童扶養手当は受けられなくなりますが、その代わり年金増加とiDeCo運用益を期待できます。
今回のシミュレーション結果を踏まえると、やはり児童扶養手当より収入増を優先したほうが良いことがわかりました。
「手当がなくなるから収入を増やさないほうがよい」と考えるのではなく、「収入を増やせるようになった自分の力」に目を向けてみてはいかがでしょうか。
児童扶養手当は子育て期間を支える制度ですが、収入を増やす力や資産形成の習慣は、その先の人生も支えてくれます。目先の手当だけでなく、5年後、10年後、そして老後まで見据えて考えることが、将来の安心につながるでしょう。
執筆者 : 前田菜緒
FPオフィスAnd Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士
【関連記事】
保育料は「無償化」のはずなのに、園から「月2万円」ほど請求されています。後から戻ってくるのでしょうか?