タイヤ交換のタイミングでお店から見積もりを受け取り、思わず「え、こんなにするの?」と声が出そうになった――そんな声も聞かれるようです。ガソリン価格の高止まりに続いて、車を維持するコストは年々じわじわと上がっています。
総務省統計局「消費者物価指数」によれば、「自動車タイヤ」の物価指数は2020年を100として2026年2月時点で117.9。この6年ほどで約2割値上がりしている計算になります。ガソリンも上がっている、タイヤも上がっている――家計にじわりと効いてくる話です。それだけに、タイヤ交換のときにどこでどう買うかは、以前にも増して気になるところ。
今回ご紹介するのは、過去に大きな反響を呼んだ人気コラムから、元ディーラー勤務経験者の視点で「ディーラーでのタイヤ交換は本当に損なのか?」を解説した一本。カー用品店やタイヤ専門店とディーラーで、いったい何が違うのでしょうか。
記事の後半では、全方位で値上がりする車の維持費、少しでも賢く選ぶための視点について、あらためて考えてみたいと思います。
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なぜディーラーのタイヤ交換は高いのか
車を走らせるうえで大切な部品のひとつがタイヤです。タイヤを交換するとき、カー用品店やタイヤ専門店で交換するイメージが強いと思いますが、ディーラーでも同様にタイヤ交換をすることができます。
ですが「ディーラーは高い」というイメージが強いため「ディーラーでのタイヤ交換=損」という声を聞いたりもします。この声は本当なのか、国内メーカー系ディーラーに4年勤務していた筆者が解説します。
まずは「ディーラーは高い」という理由から紐解いていきましょう。
タイヤ交換を例にして考えていくと、タイヤ交換は「部品(タイヤ)代」と「交換工賃」に分解できます。ディーラーの場合、タイヤは部品卸などから少ない本数を仕入れる関係で仕入れ価格が高くなる傾向にあります。
加えてディーラーの工賃設定が他と比べると割高というのも原因となってきます。ディーラーの工賃単価は会社によって異なりますが、総じてディーラーのタイヤ交換は高くなる傾向にあるのは事実です。
価格交渉に応じるディーラーも
そうはいってもカー用品店など競合他社に顧客を取られてしまうわけにはいかず、ある程度であれば顧客からの価格交渉に応じるようになってきています。ディーラーから提示されるタイヤ交換費用は基本的に定価となっているので、他の店舗から見積もりをもらうなどすれば価格の交渉は可能です。
とは言っても値引きにも限界があるので、
ディーラーでタイヤ交換をする安心感と支払う費用を天秤にかけて検討する必要が出てくるでしょう。
ディーラーでしか買えないタイヤもある
一部車種に限定されますが、専用設計されたタイヤというのも存在します。例えば同じ国内メーカーであってもディーラーでしか購入することができないタイヤというのがありますので、これについてはおのずとディーラーで交換をすることになります。
もしディーラー以外で別のタイヤを交換した場合に車の性能を十分に引き出せなかったり、場合によってはメーカー保証の対象外や整備入庫NGとなってしまうケースもあると聞きますので、専用タイヤが設定されている車の場合はそれに従う必要もあるでしょう。
また「新車装着タイヤ」と呼ばれる特別な銘柄のタイヤを自動車メーカーに卸しているタイヤメーカーもあります。どうしても新車と同じタイヤが良いという場合はディーラーでしか購入できませんので、気をつけたいところです。
時としてタイヤを安く交換できる場合も
傾向としてディーラーでのタイヤ交換は割高ではありますが、
特定のタイミングに重なれば他のお店よりも安くタイヤ交換をすることができます。ディーラーは店舗ごとにタイヤの販売目標を課しており、目標まであと数本タイヤを売れば達成、というタイミングになると割安でタイヤ交換ができることもあります。
その背景として「
目標達成するとタイヤメーカーや本社からのインセンティブが発生する」からです。そのタイミングの見極め方は、内部の人間でしか正直わかりませんので極めて稀なこともありますが、うまいことそのタイミングにあたればお得になることは断言できます。
賢くタイヤ交換するなら比較が必須
車を買ったところだからディーラーでメンテナンスをする人も多いと思います。長く車を乗っていると訪れるタイヤ交換のタイミング、
ディーラーから提示された見積で交換せずに他の店舗と比較してみることを強くオススメします。
場合によってはディーラー以外でタイヤ交換をしたほうが安く済むこともあります。しかし、ディーラーが勧めてくるタイヤは、新車時よりも同等以上の性能のタイヤとなりますから安心感は強いといえます。比較する際は同じ銘柄のタイヤで比較をしましょう。
<TEXT/宇野源一>
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■「安ければいい」でも「安心を買う」でもなく
宇野さんの解説を読んで、なるほどと思ったのは「ディーラーは高い」の一言で片づけずに、値引きの余地や、タイミング次第で安く買えるケース、さらには専用タイヤの存在まで、両面から丁寧に紹介していたところです。
■車の維持費、全方位で値上がり
値上がりしているのはタイヤだけではありません。総務省統計局「消費者物価指数」によれば、自動車バッテリーの物価指数も2020年を100として2026年2月時点で111.0。ここ数年で約1割上がっている計算です。ガソリン、タイヤ、バッテリー、車検費用――車を維持するコストは、どの入り口から見てもじわりじわりと上がり続けています。
■エンジンオイルは今、“品不足”の声も
さらに直近では、エンジンオイルが手に入りにくくなっているとも報じられています。中東情勢の影響でベースオイルの供給が絞られ、メーカーが販売量を制限したり、卸値を大きく引き上げたりする動きがあるようです。「オイル交換の予約が取りにくい」「値段が上がった」という声も聞こえるようになり、そのうち私たちの財布にも、静かに効いてくるのかもしれません。実際、消費者物価指数の「自動車オイル交換料」は2020年を100として同じく2026年2月時点で123.2。ここ6年ほどで2割以上も上がっている計算になり、2月時点なので今の実感はもう一段上、かもしれません。
■時間を買うか、探す時間を楽しむか
こうなってくると、どこでどう整備するかは、単なる金額の話だけでは決められなくなってきます。ディーラーにすべてお任せして「多少高くても、安心と時間を買う」というのも立派な選択。逆に、複数の店舗を回って見積もりを比べ、SNSやレビューを読み込んで最安値を探し当てる――そのプロセス自体を、車好きなら“ちょっとした趣味の時間”として楽しめる人もいるでしょう。
どちらが正解ということはないと思います。ただ、値上がりの続く時代だからこそ、「なんとなくいつもの店で」ではなく、自分にとって何を優先したいのか――お金か、時間か、安心か、楽しみか――を一度立ち止まって考えてみる価値は、ありそうな気がします。宇野さんの記事は、そのきっかけを与えてくれる一本でした。
<再構成/日刊SPA!編集部>
【宇野源一】
埼玉県在住の兼業ライター。大学卒業後、大手日系自動車ディーラーに就職。その後、金融業界の業務・教育支援を行う会社に転職し、法人営業に従事しながら、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP資格を取得。X(旧Twitter):@gengen801
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