7月17日(金) 4:40
厚生労働省の「2024年 国民生活基礎調査」によると、2023年の各種世帯の所得において、児童のいる世帯(子育て世帯)の1世帯当たり平均所得金額は約820万円となっています。
今回のケースにおける世帯年収600万円は、一見すると「やはり800万円より低いのか」と感じるかもしれませんが、中央値(所得を低い順に並べたときにちょうど中央にくる値)を見ると、全世帯の中央値は約410万円であり、平均所得金額(約536万円)に満たない世帯の割合は約62%にのぼります。
子育て世帯は共働き世帯の増加などにより平均が押し上げられている傾向にありますが、世帯年収600万円という数字は、日本全体の平均的な世帯所得と比較して決して低い水準ではなく、平均以上の暮らしを維持できる水準であるといえます。
では、なぜ娘さんの周りでは「みんな海外旅行へ行く」という印象になるのでしょうか。その背景には、子どもの情報の受け取り方や心理的な傾向が影響していると考えられます。クラスで海外旅行の話をしている子が目立つと、子どもは「みんなが行く」と感じてしまう可能性があります。
実際のデータを見てみましょう。株式会社JTBが発表した「2026年夏休み(7月15日~8月31日)の旅行動向」の調査データによると、夏休み期間中に海外旅行を予定している人の割合は、旅行意向者全体のわずか7%程度にとどまっています。
近年は円安や原油高による航空燃油サーチャージの高騰、現地の物価高により、海外旅行にかかる費用は以前より高くなる傾向があります。そのため、一般的な子育て世帯にとって海外旅行のハードルは高まっているといえるでしょう。
世帯年収がさらに高い家庭であっても、旅行費用などの負担を考慮し、国内旅行を選択するケースは少なくありません。
海外旅行に行けないからといって、旅行の満足度が下がるとは限りません。国内にも魅力的な観光地や、子どもが自然や文化に触れながら学べる場所は数多くあります。限られた予算の中で旅行の満足度を高めるためには、「体験」に予算を集中させることがコツです。
例えば、高級なホテルに泊まる代わりに、地方のグランピング施設や古民家一棟貸しを利用すれば、宿泊費を抑えつつ「非日常の体験」ができます。また、移動に格安航空会社や新幹線の早期割引、定額で乗り放題になる高速道路の周遊パスなどを活用すれば、交通費を大幅に浮かせることが可能です。
浮いた予算を、現地でのラフティング体験や伝統工芸のワークショップなど、子どもが主役になれるアクティビティへ投資することで、海外旅行にも引けを取らない思い出深い旅行になるでしょう。
周りの家庭の華やかな話題を耳にすると、つい自分たちの家計や生活水準と比較して焦ってしまいがちです。しかし、大切なのは「他人がどこへ行くか」ではなく、「自分たちが家族でどう過ごすか」という視点を持つことです。
子どもの「海外へ行きたい」という言葉の裏には、単に新しい世界への好奇心や、友達と同じように特別な体験をして自慢したいという無邪気な気持ちが隠れている可能性も考えられます。
まずはその気持ちを受け止めてあげた上で、国内でもどれほど楽しい計画ができるかを一緒に話し合ってみましょう。どこに行くかという場所に振り回されず、ご自身の家庭らしい等身大の旅行を通じて、家族の絆を深める充実した夏休みを迎えてください。
厚生労働省 2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況 II 各種世帯の所得等の状況(9~10ページ)
株式会社JTB 2026年夏休み(7月15日~8月31日)の旅行動向
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
【関連記事】
妻が家族4人で「1泊8.5万円」のホテルを“コスパいいから”と提案…どうやら「オールインクルーシブで食事代込み」とのことですが、実際“元は取れる”でしょうか? 個別支払いの価格と比較