7月17日(金) 5:40
金融経済教育推進機構(J-FLEC)が公表している「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」によると、世帯主が50代の世帯(金融資産を保有していない世帯を含む)の平均金融資産保有額は1908万円となっています。これと比較すると、ご両親の800万円という金額は平均を大きく下回っていることが分かります。
ただし、平均値は一部の資産家によって引き上げられやすいため、より実態に近い「中央値」を見ることも重要です。
同調査における50代の中央値は700万円となっています。中央値で見れば、800万円は平均的な水準をわずかに上回っているといえます。しかし、定年後の長い老後生活を控えた時期としては、決して余裕のある金額とは言い切れないのが実情です。
ご両親は「2人で年金が月23万円あるから大丈夫」と楽観視しているようですが、実際の高齢者世帯の生活費と比べるとどうなのでしょうか。
総務省統計局が発表した「家計調査報告〔家計収支編〕 2025年(令和7年)平均結果の概要」によると、65歳以上の無職の夫婦のみの世帯における1ヶ月あたりの消費支出は平均で約26万4000円です。これに税金や社会保険料などの非消費支出を加えると、1ヶ月の総支出は約29万7000円に達します。
もし年金受給額が月に23万円であれば、毎月約6万円以上の赤字が発生することになります。仮に消費支出の26万4000円だけで収まったとしても、毎月3万円以上が不足する計算です。毎月3万円の赤字だとしても、年間で約36万円、20年間では720万円も貯蓄を取り崩す必要があります。
貯金800万円と年金月23万円であっても、医療費や住宅の修繕費など突発的な支出が重なると、家計に大きな影響を及ぼす可能性があります。定年前の今から家計を見直し、老後に備えておくことが大切です。
(1)定年後の固定費の見直し
現役時代と同じ感覚でお金を使っていると、年金生活に入ってから家計のやりくりが難しくなる可能性があります。通信費や保険料、サブスクリプションサービスなど、今から削減できる固定費を洗い出し、月23万円の枠内に支出を収めるローコストな生活スタイルに慣れておくことが大切です。
(2)長く働く
定年後もパートやアルバイトなどで夫婦合わせて月に数万円でも収入を得ることができれば、毎月の赤字を埋めることができ、貯蓄の取り崩しペースを遅らせることができます。
(3)健康寿命を延ばす
老後の最大の支出リスクは医療や介護です。日頃から健康管理に気を配り、元気に動き続けられる体を維持することは、医療費の抑制にもつながり、老後資金を守るうえでも重要です。
50代の貯蓄額の中央値が700万円であることを考えると、ご両親の800万円という貯蓄は決して極端に少ないわけではありません。しかし、高齢夫婦の平均消費支出が26万円を超えている現実を踏まえると、現在の貯蓄額だけで何もしないまま老後に突入するのはリスクが伴います。
今のうちから家計の支出を抑え、定年後も無理のない範囲で働く意欲を持ってもらうなど、事前の準備を行うことで、老後貧乏のリスクを回避することができるでしょう。
金融経済教育推進機構(J-FLEC) 家計の金融行動に関する世論調査 2025年 二人以上世帯 各種分類別データ(令和7年) 4 金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
総務省統計局 家計調査報告〔家計収支編〕 2025年(令和7年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯)図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 -2025年-(18ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
【関連記事】
老後、年金を「月20万円」もらうのは難しい? 日本の平均年収「460万円」の人が受け取れる年金額についても解説