7月14日(火) 23:00
新入社員研修やOJTなど、会社が業務上必要として行う教育訓練であれば、費用は会社が負担すべきものと考えられます。例えば、社内ルールの説明や接客方法、営業研修、業務システムの使い方などは、会社で働くために必要な教育といえます。
このような研修について、退職するからといって研修費用を請求するのは、労働基準法16条に違反して無効となる可能性が高いです。労働基準法では、労働契約を守らなかった場合に備えて、あらかじめ違約金や損害賠償額を決めておくことを禁止しています。
つまり、「早く辞めたら研修費を払う」という決まりが、実質的に退職を妨げるものである場合は無効と判断されることがあります。
そのため、入社したばかりで会社に申し訳ない気持ちがあっても、法律上支払う義務があるかは別の問題です。会社から強く言われても、その場で支払いを約束しないようにしましょう。
一方で、すべての研修費用の請求が無効になるわけではありません。会社が立て替えた費用について、本人が自由意思で借りたといえる場合は、返還が必要になることもあります。
例えば、業務に必須ではない資格取得講座や海外研修などです。本人の希望で参加し、会社とは別に費用を借りる契約を結び、一定期間にわたって働けば返済を免除する仕組みになっている場合は、単なる違約金ではなく貸付金の返済と見られる可能性があります。
ただし、契約書があるだけで必ず有効になるわけではありません。研修が実際には業務命令だった場合や、参加しないと不利益を受ける雰囲気があった場合は、自由意思とは言いにくくなります。また、請求額が実費を超えていたり、長期間の勤務を強く縛る内容だったりすると、退職の自由を制限するものと判断される可能性があります。
つまり、ポイントは「研修が業務上必要な教育訓練か」「本人の自由意思で受けた研修費の貸し付けといえるか」「返還条件や金額に合理性があるか」です。
会社から研修費用を請求されたら、まずは請求の根拠を確認し、すぐに支払わないようにしましょう。口頭で「50万円」と言われただけなら、内容が整理できるまで支払わない対応で差し支えありません。研修費用の明細や契約書、誓約書、就業規則などを見せてもらい、何にいくらかかったのかを確認することが大切です。
特に確認したいのは、研修が業務に必要なものだったか、参加が任意だったか、返還義務について事前に十分な説明がされていたかです。入社時に大量の書類へサインしていても、内容が法律に反していれば、その部分は無効とされる可能性があります。
また、給与から勝手に研修費用を差し引かれた場合も注意が必要です。賃金は原則として全額を労働者に支払う必要があり、会社が一方的に差し引けるわけではありません。自分だけで会社とやり取りするより、第三者に確認してもらうほうが冷静に対応できるため、不安な場合は労働基準監督署や弁護士、労働相談窓口に相談しましょう。
4月に入社したばかりで退職する場合でも、通常の新人研修や業務に必要な研修の費用を返す義務はない可能性が高いです。一方で、本人の希望で受けた資格講座や特別な研修について、会社が費用を立て替えた契約がある場合は、返還が必要になることもあります。
会社から高額な研修費用を請求されても、その場で支払いを約束せず、契約書や明細を確認することが大切です。判断に迷うときは、労働基準監督署や弁護士などに相談し、冷静に対応しましょう。
デジタル庁 労働基準法 第十六条(賠償予定の禁止)
福井県 職場のトラブルQ&A ~退職社員に対する研修費用の返還~
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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