亡き父から受け取っていた「年100万円」の生前贈与も“相続税”の課税対象に!? 課税されるのは遺産だけじゃないの?

亡き父から受け取っていた「年100万円」の生前贈与も“相続税”の課税対象に!? 課税されるのは遺産だけじゃないの?

7月15日(水) 0:00

生前贈与をすることで遺産総額を減らし、相続税の負担を軽減したいと考えている人もいるかもしれません。しかし、生前贈与で財産を受け取った場合、条件によっては相続財産として加算され、相続税の課税対象になる可能性があります。 今回は、生前贈与が相続財産として加算される条件や相続税額の例、生前贈与を受ける際の注意点などについてご紹介します。

生前贈与が相続財産に加算される条件

生前贈与とは名前の通り、亡くなった人の生前に行われた贈与です。亡くなった人から相続を受けた人が、その人から生前にも贈与を受けていた場合、亡くなったタイミングによって加算される範囲が変わります。国税庁によると、加算対象期間は表1の通りです。
 
表1

相続が始まった日 加算対象期間
~令和8年12月31日 相続開始前3年以内
(死亡の日から遡って3年前の日から死亡の日までの間)
令和9年1月1日~令和12年12月31日 令和6年1月1日から亡くなった日までの間
令和13年1月1日~ 相続開始前7年以内
(死亡の日から遡って7年前の日から死亡の日までの間)

出典:国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問) No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)」を基に筆者作成
 
例えば、父から令和4年7月から令和8年7月まで毎年100万円、合計500万円を受け取っており、令和8年8月に父が亡くなって相続したとします。令和8年8月に相続が開始した場合、加算対象となる贈与は、死亡日の3年前に当たる日から死亡日までに受け取ったものです。
 
毎年7月に100万円ずつ贈与されていた場合、令和6年7月、令和7年7月、令和8年7月の計300万円が加算対象となります。
 
ただし、次に該当する生前贈与は、加算されません。
 

・贈与税の配偶者控除に相当する金額
・両親や祖父母(直系尊属)から一括贈与された住宅資金のうち、非課税となった金額
・両親や祖父母から一括贈与された教育資金のうち、非課税となった金額
・両親や祖父母から一括贈与された結婚、子育て資金のうち、非課税となった金額

 
また、生前贈与に関して贈与税の納付をしていた場合、加算税や延滞税、利子税を除く納税済みの金額分については、相続税額から控除できます。
 
なお、国税庁によると、令和9年1月2日以降に相続をする場合は、加算対象期間中の生前贈与財産のうち、相続開始前3年以内に取得した財産以外については、合計額から100万円を差し引いた金額が、相続財産の加算対象となります。
 

生前贈与があるときの相続税の例

今回は、次の条件で生前贈与と相続財産があった場合の相続税額を試算します。
 

・法定相続人は子ども1人のみ
・遺贈などで遺産を受け取った人はいない
・相続時精算課税制度は利用していない
・遺産は4000万円
・生前贈与は過去3年に受け取った合計300万円が加算対象
・非課税となる生前贈与はない

 
相続時精算課税制度とは、18歳以上の子どもや孫などが贈与者ごとに選択でき、原則として60歳以上の父母または祖父母などから受け取った贈与が特別控除額2500万円(別途年間110万円の基礎控除もあり)の範囲内であれば、その金額分に対しては贈与税がかからない制度です。
 
ただし、そのとき受け取った贈与は、贈与者が亡くなったときに相続財産として加算されます。
 
相続税は、相続財産が「3000万円+600万円×法定相続人数」を超えていた場合に課税される税金です。今回の条件では、生前贈与と遺産を合計した4300万円が相続財産となり、基礎控除は3600万円になります。
 
相続財産から基礎控除を差し引いた700万円が課税対象となりますが、税率は10%のため、支払う相続税額は70万円です。
 

生前贈与を受けるときの注意点

遺産総額が相続税の基礎控除を超える場合は、生前に財産を贈与しておくことで、相続税の負担を軽減できる可能性があります。
 
ただし、先述したように、生前贈与も最大で過去7年分までは相続財産の課税対象です。亡くなったときの状況によっては、生前贈与分が加算されることで、相続税が課税される場合があるため注意が必要です。
 
また、贈与税の基礎控除は年間110万円です。生前贈与として100万円を受け取った年に、ほかの人からも贈与を受けていた場合は、贈与税も課される可能性があります。生前贈与を受ける前に、その年にほかの贈与がないか確認しておきましょう。
 

3年~7年以内の生前贈与も相続財産に加算される場合がある

亡くなった人から生前贈与を受けていた場合、亡くなった年と、亡くなった日から何年前の贈与かによって、相続財産に加算されるか否かが変わります。令和9年1月1日以降は段階的に対象となる期間が増え、最大7年前までが加算対象です。相続税の申告時には、計算を間違えないように注意しましょう。
 
相続税の対策として生前贈与を受ける場合には、ほかの遺産と合算した相続財産の額も考慮し、受け取る金額を決めることをおすすめします。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)
国税庁 パンフレット「暮らしの税情報」(令和8年度版) 財産を相続したとき
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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