「オデュッセイア」は、巨匠クリストファー・ノーラン監督が手がける最新作だ。世界公開を目前に控え、大きな注目を集めているが、期待が大きいだけに、さまざまな批判も寄せられている。ノーラン監督は、英チャンネル4ニュースのインタビューで、こうした声に答えた。
なかでも目立つのが、登場人物たちが現代的な英語を話していることへの批判だ。「オデュッセイア」は、古代ギリシャの詩人ホメロスの叙事詩を映画化した作品で、マット・デイモンが主人公オデュッセウスを演じる。ところが公開された予告編では、古代ギリシャが舞台でありながら、登場人物たちがくだけた現代英語を口にしており、「時代にそぐわない」といった戸惑いの声がネット上で相次いでいた。
これは意図してのことだという。狙いは、ホメロスの物語を現代の観客にみずみずしく感じてもらうことにある。「人は古代の世界を妙な目で見がちで、古いというだけで特別なものとして持ち上げてしまう偏見が根強くある。でも実際に叙事詩を読むと、そこにあるのはとても素朴で、地に足のついた、親しみやすい世界だ」と、ノーラン監督は語る。そうした思い込みを取り払い、現代の観客に新鮮に響くように作りたいと、俳優たちにも伝えたという。
批判は、配役にも及んでいる。「世界一の美女」と語り継がれるトロイのヘレネ役に、アカデミー賞助演女優賞に輝いたルピタ・ニョンゴ(「それでも夜は明ける」)が起用されたことに、米保守系メディアの論客やイーロン・マスクらが「賞欲しさの起用だ」などと反発した。ヘレネは、2004年の映画「トロイ」をはじめ、これまで金髪碧眼の白人女性として描かれてきた。だがホメロスの叙事詩そのものには、その肌や髪の色を示す描写はない。
そうした公開前の批判そのものについて、ノーラン監督は落ち着いて構えている。「作品を見る前に交わされる議論は、いつだって意味がない。まだ誰も、その映画が実際どんなものかを知らないのだから」と、監督は英テレグラフ紙のインタビューで語る。監督が引き合いに出すのは、自身の「ダークナイト」での経験だ。当時ラブコメ映画で知られていたヒース・レジャーを悪役ジョーカー役に起用したことに疑問の声が上がったが、その怪演は高く評価され、レジャーは死後にアカデミー賞助演男優賞を受賞した。「私にできるのは、できるかぎり誠実に、最高の映画を作ることだけだ。ほかの誰とも違うやり方かもしれないが、翻案とはそういうものだ」
「オデュッセイア」は7月17日に全米公開。日本では9月11日に公開される。
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オデュッセイア
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