今回は浜松へ!
「もやしソバ」をこよなく愛するピエール瀧が、名店をめぐりながら、もやしソバとは何なのかを考えたり考えなかったりするこの連載。今回は静岡県浜松市です。この店には月〜水曜だけしか食べられないもやしソバがあります。自家製の細麺を使い、熱々のあんがかかった王道中の王道の一杯でした。
***
――今回は静岡県浜松市にある「揚子菜館」さんに来ています。
ピエール瀧(以下、瀧)
外観がクラシックでいいたたずまいだね。
――そうですね。きっと、長い間営業されているんでしょうね。なんか歴史を感じます。早速、入ってみましょう。
瀧
おじゃましまーす!いやー、お店の中もめっちゃいい雰囲気だよ。カウンターもいい感じ。
――いい意味で中華料理店っぽくないですよね。
瀧
うん。この座敷の感じとか「子供の頃によく来たな」とか「部活の帰りにみんなでよく寄ったよな」って錯覚するぐらい。もちろん来たの初めてなんだけどさ(笑)。
ご主人の周淳史さん(以下、周さん)
いらっしゃいませ!
瀧
今日はお世話になります。このお店は、どれくらいやられているんですか?
周さん
60年くらいです。
瀧
じゃあ、お父さまの代から?
周さん
いえ、祖父の代からです。
瀧
じゃあ、3代目ですね。おじいさまやお父さまの手伝いをしながら料理を覚えたんですか?
周さん
自分は長男なもんですから、中学生のときから店の手伝いをしていて、「いつかは店を継がないといけない」というのが頭にあったんです。
中学生の頃から店を手伝っていた3代目店主の周淳史さんと
瀧
で、メニューを見ると「ラーメン」(しょうゆ・塩/各630円)、「チャーシューメン」(しょうゆ・塩/各930円)のほかに〝月~水曜限定〟で「もやしそば」(しょうゆ・塩/各850円)、「四川ラーメン」(しょうゆ・塩/各850円)というのがあるんですね。もやしそばはなぜ、月〜水曜限定なんですか?
周さん
もやしそばは炒めあんかけなので時間がかかるんです。ですから、土日に注文を受けちゃうと店が回らなくなっちゃうんです。
瀧
言い方は良くないかもしれませんが、実は割と手間がかかるメニューなんですね。
周さん
そうなんです。
瀧
あ、餃子もめっちゃお得じゃないですか。10個で460円。
周さん
平日だけ、5個210円もやってます。
瀧
この「チャガミ」(540円)ってのはなんですか?
周さん
うちは台湾がルーツなんですけど、台湾風のミニラーメンみたいなものです。麺の量を半分で出しています。
瀧
じゃあ、もやしそばのしょうゆをひとつ、あとそのチャガミ。そして、餃子5個セットをお願いします。
周さん
承知しました。
――月〜水曜しか、もやしそばを出せないということは、土日はすごく混んでるんでしょうね。
瀧
ほら、店の入り口に順番待ちのボードがあるじゃん。「順番にご案内しますので、お名前を書いてお待ちください」ってことだから、週末とかは行列のできる店ということなんだろうね。
周さん
お待たせしました。もやしそばと餃子、チャガミです。
瀧
ありがとうございます。ほう、あんかけの王道中の王道のもやしそばが来たね。
【月〜水曜日限定】「もやしそば(しょうゆ)」(850円)
――あんかけは、けっこうとろみが強そうですね。
瀧
そうね。具はもやし、キクラゲ、ニンジン、ニラ、タマネギ、豚のひき肉かな。そして、麺はかなりの細麺だ。
――なんか熱そうですね。
瀧
どれどれ。うん、かなり熱い。あんかけの所が熱いのよ。あと、ちょっと焦がした感じの薬味みたいなのが入ってて、それが香ばしさをつくってる。そして、麺のゆで具合がなんとも絶妙だね。細いのにちゃんとコシというか歯応えがある。細い割に存在感がしっかりあるんだよ。
――そういえば、メニューに「替え玉」(半個150円)ってありましたよ。
瀧
なるほど。替え玉の意味がわかる細麺だよ。いつもはサブに回っているもやしが「ぶってえもやしだな」って勘違いするもん。
――麺が細いから、もやしが太く感じられるんですね。
瀧
そう。普段は麺とのバランスで見失いがちなもやしの食感が際立つ。もやしの存在感を生かす麺の太さとも言える。スープも濃すぎず、薄すぎずちょうどいい。
――餃子はどうですか?
瀧
ちょっと小ぶりなのかな。うん、うまい。これ、今回は5個のを頼んだけど余裕で10個いけるよ。
――部活帰りの学生だったら、餃子10個とラーメンはいけるでしょうね。
瀧
いや、餃子10個にライスをつけて、餃子ライスを完食してから、その後にラーメンで締めるだろうな。チャガミはどう?
――塩味ですごくあっさりしています。飲んだ後の締めに最高ですね。
塩味であっさりしている台湾風ミニ麺「チャガミ」(540円)
瀧
ちょっと周さんに話を聞いてみよう。すみませーん。
周さん
はい。
瀧
もやしそばに焦がした黒っぽいやつが入ってたんですけど、あれはなんですか?
周さん
ねぎ油ですね。
瀧
ねぎ油か。すごく香ばしかったです。あと、麺が細いですね。
周さん
麺は自家製麺なんです。初代の頃から細麺で、最初は製麺屋さんから買っていたんですけど、父親の代から製麺を始めて、僕も同じやり方でやっています。
瀧
受け継がれてきた細麺だ。
周さん
でも、ここんところ暑くなったり、湿気が多くなってきたりして、昔のやり方があんまり通じなくなってきちゃってるんです。
瀧
異常気象が製麺にまで影響しているんですね。この細さでやるのは、お店のこだわりなんですね。絶妙な細さですし、あとスープの味がめっちゃ王道ですよね。
周さん
〝ザ・中華そば〟です。
瀧
もやしそばは、おじいさまの代からあるんですか?
周さん
うちの父親が修業時代にほかの店で炒め物とかを覚えてきて、自分なりに作ったんです。それを僕が受け継いでいるんです。
瀧
でも、本当に小細工なしのきれいなフォームで投げる〝王道のピッチャー〟みたいな感じの一杯でした。
小細工なしのきれいなフォームで投げる〝王道のピッチャー〞のようなもやしそば
周さん
ありがとうございます。
瀧
こちらこそ、ありがとうございました。
***
■揚子菜館
静岡県浜松市中央区楊子町445-1
053-441-2927
※営業日時、メニュー、価格などは変更になる場合があります
※おいしいもやしソバなどの情報は
【moemoyashisoba@gmail.com】
まで
■ピエール瀧(ぴえーる・たき)
1967年生まれ、静岡県出身。ミュージシャン、俳優、声優、タレント。
「無駄こそ宝なり」が信条。好物はもやしソバ。
公式Instagram【@pierre_taki】
構成/TAKA-HO
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