1986年にアメリカで製作された犯罪スリラー「ヘンリー」が、8月28日公開される。
本作は完成から数年間、そのあまりの内容に本国アメリカでお蔵入り状態となり、90年に正式に公開、日本では92年に劇場公開された作品だ。70年代後半~80年代、全米で300人以上を殺害したといわれる連続殺人鬼、ヘンリー・リー・ルーカスの日常を淡々と凍るような冷たさで描いた犯罪スリラー。流血や残虐シーンはほとんどないにもかかわらず、作品の放つ空気と徹底したドキュメンタリータッチの描写で<史上最も恐ろしい映画>のひとつとして映画史に残る衝撃作だ。
14歳の時、虐待を繰り返す母を殺害したヘンリーは、相棒のオーティス、その妹ベッキーとの奇妙な同居生活をはじめる。だがヘンリーは、次第に本能的ともいえる殺人への衝動が抑えられなくなっていく。そしてヘンリーに惹かれ、自ら迫るベッキーの様子を見たオーティスが嫉妬、共同生活は惨劇と化していく。
完成した1986年当時、「13日の金曜日」のような観客を楽しませるホラー映画を望んでいた出資会社は、「ヘンリー」の一切の感情を寄せつけない冷徹な内容に唖然、さらにはMPAA(アメリカ映画協会)によりX指定を受けたことで、数年間正式な劇場公開が見送られた。近年、日本では限定的に劇場公開されていたが、今回が満を持しての正式リバイバル上映となる。
併せて、50人以上を殺害したソ連時代最大の連続殺人犯であるアンドレイ・チカチーロを「時計じかけのオレンジ」(71)のマルコム・マクダウェルが演じた「エヴィレンコ」(03)、そして、オーストリアの衝動的な一家惨殺事件犯であるベルナー・クニーセクをアーウィン・レダーが演じる「アングスト不安」4K版(83)が、同じくシネマート新宿にて今秋、続けざまに上映されることも決定。「エヴィレンコ」はこれまでパッケージ販売や配信も無く、これが完全初上陸、日本劇場初公開となる。「アングスト不安 4K」は、2020年に日本で劇場初公開されるや否や異例かつ異様な大ヒットを果たした作品の4Kレストア版。
3作品のティザーポスターも公開され、すべて実際の事件に基づく作品であることから、「これが彼のやったこと。」というコピーが挿入されている。「ヘンリー」、「エヴィレンコ」、「アングスト不安 4K」の印象的かつ重要なシーンがセレクトされ、人間の不在が、より一層、現場の不穏さを際立たせている。草むらに打ち捨てられた血塗れのスーツケース、取調室の仰々しいオープンリール式テープレコーダー、血塗れのトンネルに転がるボール。ここで一体何が起きたのか、彼らは何をやったのか。決して止めることのできない、予め決定づけられた非情な運命を予期させるデザインとなっている。
「ヘンリー」は8月28日からシネマート新宿ほか全国順次公開。
【作品情報】
・
ヘンリー
【関連記事】
・
世界各国で上映禁止となった映像が心を破壊する―「アングスト」トラウマ必至の予告編
・
世界各国で上映禁止!常軌を逸した実録スリラー「アングスト不安」7月公開
・
ジョン・ウォーターズ監督が選ぶ2019年の映画ベスト10
© 1986 MALJACK PRODUCTIONS