「正直、まだ個人的には課題が多いので、やはり修正していかなければと思っています」
試合後の感想は、意外に聞こえた。
先日開幕した「ACNバレーボールネーションズリーグ2026女子大阪大会」。7月9日にタイと対戦した日本はセットカウント3-1で勝利し、連敗を3でストップした。
その試合でチーム最多4本のブロックポイントをマークしたのが、キャプテンの石川真佑(エジザジュバシュ/トルコ)だった。
石川真佑はチーム最多4本のブロックポイントを記録photo by JVA/AFLO
第1セット、第4セットと1枚ブロックで相手をシャットしたほか、第4セット終盤には18-20からチームが挙げた5連続得点のうち、2本をミドルブロッカー(MB)の山田二千華(NECレッドロケッツ川崎)との2枚ブロックによってポイント獲得。まさに「勝利を決めた」と言える第4セットは圧巻だった。
けれども、自身のブロックの出来について聞いたところ、本人の口から出たのが、冒頭のセリフなのである。その「課題」とは、いったい──?
「相手のミドルブロッカーに対して、ブロード攻撃へのブロックの位置取りやタイミングなどで十分ではなかった場面が、今日に関してはとても多かったと感じているんです。なので、そこをもっと早く修正できたらよかったのかなと思っています」
第4セットに決めたブロックのうち、1本目はその言葉にあるように、相手MBのケオカラヤー・カムンタラーのブロード攻撃を止めたものだった。だが、石川本人からすれば、試合展開のなかでもっと早く対応したかったということだろう。
思えば、今年の女子日本代表の強化ポイントのひとつは「ブロック」だった。
5月11日のキックオフ会見でフェルハト・アクバシュ監督は「(世界と比べて日本は)サイズ面で小さいので、それほど改善は見られないかもしれませんが」と触れつつ、「しっかりとブロックに取り組むことによって、試合の質は改善される」と語っている。
石川自身も身長174cmという、世界のバレーボールシーンにおいては決して高くはない。そのサイズを踏まえたうえで、ブロックの強化に向き合っている。
【チームメイトも絶賛のブロック】石川はこう語る。
「ブロックに関して、個人的にはどちらかといえば『止める』というよりも、相手のアタックが抜けるコースを『限定させる』ことが大事になってくると考えています。
自分のブロックの上から打たれるボールはたくさんありますし、そこは自分がどうすることもできません。上を抜かれたら、次に切り替えなければならない。
ですが、脇のボールや自分の腕の間を抜かれているケースに関しては、ブロッカーとしての個々の責任だと思いますから。その精度とブロックへの意識は高く持って、取り組んでいきたいです」
実は石川にとって、ブロックは「最後のピース」だった。
その名が全国区となった中学・高校時代から、すでにコース幅の広いアタックには定評があり、さらに高校時代のトレーニングによって打球の威力は上がった。だが、対照的にサーブの精度が低く、ボールが「とんでもないところに飛んでいく」ことを本人も自覚していた。
やがて東レアローズ(当時)に高卒で入団後、サーブは一気に改善されて効果的な武器となる。またアウトサイドヒッターとしてレシーブのレベルアップは当然として、その頃に「最後はブロックを習得したい」と口にしていた。
果たして海外に渡り、クラブシーズンを通して世界の高さと対峙。ブロックの上から打たれるという「どうすることもできない」現実と直面したことは、幾度となくあったであろうと想像できる。それでもブロックに関して、精度や意識を高めることはできた。タイ戦で石川のブロックシャットをすぐ隣でアシストした山田は、このように証言する。
「跳び方はもちろん、お互いにプレーの前後で『ここは抜かす』『ここは止めよう』と話しています。
たとえば、クロス方向に打つことが多いアタッカーが前にいる場合は、私から(石川へ)『右手をもうひとつ分、残してくれたら、こっちもブロックが合わせやすい』と伝えると、しっかりと手を残すように対応してくれるプレーヤーでもあります。
それぞれが責任を持ってカバーする部分に加えて、柔軟にいろんな形を組み合わせたブロックを敷けます。とても合わせやすいですね」
【止めるだけがブロックではない】タイ戦では「ブロックシャット」というわかりやすい数字(得点)で結果に表れた。とはいえ、大阪大会の残り2試合──11日のトルコ戦、12日のポーランド戦は、世界のなかでも指折りの高さを備えたアタッカーたちが日本に襲いかかってくる。止めることは決して容易ではないだろう。
ただし『止める』だけがブロックではない。石川は意気込んだ。
「自分よりも高い選手たちばかりですから、上から打たれることはもちろんあるでしょう。ですが、リベロや後衛のレシーバーたちは本当にディグ(スパイクレシーブ)を上げてくれるので。味方が拾いやすいような、アタックのコースを限定させられるブロックを意識して繰り出したいと思っています」
相手アタッカーが放つ強力な打球が日本のブロックを突き抜けたとしても、しっかりと拾い上げることができていたならば......。そこには、石川のような『限定させる』ブロックがあったから、かもしれないのである。
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