7月6日(月) 4:30
退職金1000万円を受け取ると、「減らしたくないから普通預金に預けておこう」と考える人もいるでしょう。確かに普通預金は元本保証があり、必要なときにすぐ引き出せる安心感があります。
一方で、運用をまったく行わない場合と、年利3%で運用した場合では、時間の経過とともに資産額に大きな差が生まれることがあります。
今回は、退職金1000万円を元本とし、普通預金の金利を年0.3%、運用利回りを年3%、運用期間を5年間として比較します。また、利息にも利息が付く「複利」で運用したものとしてシミュレーションします。
複利とは、元本だけでなく、これまでに得た利息にも新たに利息が付く仕組みです。そのため、運用期間が長くなるほど資産が増える効果を期待しやすくなります。
前記の条件で複利運用を行った場合、普通預金と年利3%の運用では表1のような結果になります。なお、税金や手数料は考慮していません。
表1
| 運用方法 | 5年後の資産額(概算) | 増加額 |
|---|---|---|
| 普通預金(年0.3%) | 約1015万900円 | 約15万900円 |
| 年利3%で運用 | 約1159万3000円 | 約159万3000円 |
※筆者作成
年利3%で運用した場合、5年後の資産額は約1159万3000円となり、運用によって約159万3000円増える計算です。一方、普通預金では約1015万900円となり、増加額は約15万900円にとどまります。
つまり、5年間で生じる差は約144万円となります。毎年の差はそれほど大きく感じられないかもしれませんが、複利によって利益にも利息が付くため、時間の経過とともに差は徐々に広がっていきます。
ただし、年利3%の運用は毎年必ず3%の利益が得られることを保証するものではありません。株式や投資信託などは市場環境によって価格が変動するため、一時的に元本を下回る可能性もあります。そのため、このシミュレーションは一定の利回りが続いた場合の参考値として考えることが大切です。
「投資でお金が減るくらいなら、預金のほうが安心」と考えるのは自然なことです。普通預金は預金保険制度の対象であり、金融機関が破綻した場合でも一定額まで保護されるため、安全性の高い資産管理方法といえます。
しかし、預金だけにも注意したい点があります。それは、物価が上昇すると、お金の価値が実質的に目減りする可能性があることです。
例えば、現在100円で買える商品が5年後に110円へ値上がりした場合、預金残高が1000万円のままでも購入できる商品の量は少なくなります。お金の額面は変わらなくても、実際の購買力は低下してしまうのです。
このような点を踏まえると、「預金か投資か」のどちらか一方を選ぶのではなく、生活費や急な出費に備える資金は預金で確保し、当面使う予定のない資金の一部だけを長期的に運用するという方法も考えられます。
退職金1000万円を5年間運用した場合、普通預金を年0.3%、運用利回りを年3%とすると、5年後の資産額は約1015万円と約1159万円となり、その差は約144万円になります。
もちろん、年利3%の運用には価格変動があり、利益が保証されるわけではありません。一方で、普通預金は安全性が高い反面、資産が大きく増えることは期待しにくく、物価上昇によって実質的な価値が下がる可能性もあります。
退職金は老後生活を支える大切な資産です。「減らしたくない」という考えを大切にしながらも、資産の一部だけを無理のない範囲で長期運用するなど、自分に合った方法を選ぶことで、安心と資産形成の両立を目指しやすくなるでしょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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