7月5日(日) 22:30
老齢年金は原則65歳から受け取れますが、希望すれば66歳以降75歳まで繰り下げることができます。繰り下げると、1ヶ月あたり0.7%年金額が増えます。70歳まで待てば42%増、75歳まで待てば84%増です。
たとえば、65歳時点の年金が月15万円の人が70歳まで繰り下げると、月約21万3000円になります。75歳まで繰り下げると、月約27万6000円です。毎月の受取額が大きく増えるため、長生きした場合の安心感は高まります。
特に、65歳以降も働ける人、退職金や貯蓄に余裕がある人、配偶者の収入がある人は、繰り下げを検討しやすいでしょう。長生きリスク、つまり長く生きて老後資金が不足するリスクに備える手段になります。
ただし、繰り下げている間は年金を受け取れません。その期間の生活費を、給与、貯金、退職金などでまかなう必要があります。無理に繰り下げて生活費が不足するなら、かえって家計が不安定になります。
年金の繰り下げでは、「何歳まで生きれば得か」という損益分岐点がよく話題になります。たしかに、長く生きるほど繰り下げのメリットは大きくなります。反対に、早く亡くなると、65歳から受け取った場合より総額が少なくなることがあります。
しかし、年金の受け取り方を平均寿命や損益分岐点だけで決めると、後悔することがあります。なぜなら、老後のお金の価値は年齢によって違うからです。
65歳から75歳までは、体力があり、旅行や趣味、孫との時間を楽しみやすい人も多い時期です。この時期に年金を受け取らず、貯金を大きく取り崩しすぎると、使いたい時期にお金を使えない可能性があります。
また、厚生年金の繰り下げ待機中は、65歳未満の配偶者のための家族手当である「加給年金(年間約42万円)」も支給停止されます。この加給年金は繰り下げても増額されないため、待機期間が長いほど、本来もらえるはずだった資金をそのまま失ってしまう点にも注意が必要です。
75歳以降に年金額が増えても、体力や健康状態によっては使い道が限られることもあります。もちろん医療費や介護費への備えとして増額年金は役立ちますが、「元気なうちに使うお金」も大切です。
繰り下げを考えるときは、平均寿命よりも「自分が元気に動ける年齢」を意識しましょう。健康状態、家族の病歴、仕事の有無、趣味、住まい、介護リスクによって、適した受給開始年齢は変わります。
たとえば、70歳まで働く予定があり、生活費を給与でまかなえる人は、70歳まで繰り下げる選択が現実的です。年金額も42%増えるため、その後の生活に余裕が出ます。2026年の在職老齢年金制度の改正(月の基準額が51万円から65万円に)も大きな判断材料です。
一方で、65歳で完全退職し、貯金が少ない人が無理に75歳まで繰り下げるのは危険です。生活費が足りず、貯金を使い切ったり、借り入れに頼ったりする可能性があります。その場合は、65歳から受け取る、または一部だけ繰り下げる選択もあります。
老齢基礎年金と老齢厚生年金は、別々に繰り下げることもできます。たとえば、基礎年金は70歳まで繰り下げ、厚生年金は65歳から受け取るといった方法です。このパターンなら加給年金も受け取れる場合があります。加給年金は厚生年金への上乗せだからです。家計に合わせて組み合わせを考えると、無理のない選択がしやすくなります。
年金の繰り下げは、1ヶ月遅らせるごとに0.7%増え、75歳まで繰り下げると84%増になります。長生きした場合の安心感を高める有力な制度です。
ただし、「何歳まで生きれば得か」だけで決めるのは危険です。65歳から75歳までの元気に動ける時期に、お金をどう使いたいかも重要です。旅行、趣味、家族との時間、健康づくりなど、使える時期のお金には大きな価値があります。
繰り下げが向いているのは、生活資金に余裕があり、受給開始まで働く収入や貯蓄がある人です。貯金が少ない人は、無理に遅らせず、65歳受給や一部繰り下げも検討しましょう。平均寿命ではなく、自分の健康と生活設計に合わせて選ぶことが後悔を減らすポイントです。
日本年金機構年金の繰下げ受給
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執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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