「シンシン アンド ザ マウス SINSIN AND THE MOUSE」(公開中)が7月4日(現地時間)、第28回台北映画祭「星光首映」部門で公式上映され、岸井ゆきの、ツェン・ジンホア、藤原季節、真壁幸紀監督、阿部豪プロデューサーが登壇した。
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【フォトギャラリー】「シンシン アンド ザ マウス SINSIN AND THE MOUSE」台北映画祭上映時の様子
原作は吉本ばななの短編小説集。最愛の母を失った主人公・ちづみ(岸井)が、旅先の台北でシンシン(ジンホア)という男性に出会い、喪失感の中で再生していく姿が描かれる。
撮影地、台北での初上映を前に行われた記者会見では、この日一番多くのメディアが待ち構え、会場は熱気に溢れていた。全編日本語での演技に初挑戦したジンホアは「撮影までに、2カ月くらいしか準備期間がなかったんです。だから、もしかしたら、やり遂げられないんじゃないかという不安はありました。最初は、日本語の50音から覚えていったのですが、時間がないから、もうとにかく口を動かして台詞を全部覚えて。監督は何度も一緒に練習に付き合ってくださった。そこはすごくありがたいなと思いました」と真壁監督に感謝を込めた。とくに後半のバーでのシーンは日本語の長台詞が続き、監督の「オッケー」がかかった瞬間には、思わず号泣してしまったそう。「日本のスタッフのみなさんも、僕を支えてくれて、一緒に完成させようという気持ちが非常に強かった。本当に、感謝しているし、僕にとっても大事な思い出になりました」と感慨深げに振り返った。
そんなジンホアの役作りを間近で見ていた岸井は「本当に真面目で誠実な方」と印象を明かし、「初対面のシンシンに“ねずみみたい”と言われるのは、え?と思う部分がありますよね。でも、事実として“爪が小さいね”だとか“持ち上げられそうだね”って言う人には、私も、ちづみも、たぶん出会ったことがなかったから、ちょっと弱っているちづみの心を変えていく、そういう言葉だったのかなと思います」と、ジンホアの人柄がキャラクターにそのまま投影されていたとコメント。
ちづみの友人でバンドのボーカルという役どころを演じた藤原は、台湾の撮影で印象に残っていることについて「撮影の時もものすごく暑かったんですけど、今日も、めちゃくちゃ暑いです!(笑)。ジンホアさんは撮影中、よくタンクトップ姿で街中を歩いていて、台湾の男の子のリアルな日常という感じで、見ていてとても爽快でした」と撮影裏のエピソードを明かした。
キャスティング理由について話が及ぶと真壁監督は「ジンホアさんは気品の中にある種の狂気というか、ワイルドな一面を秘めていると感じました。岸井さんはどんなシーンであっても本当に素晴らしくて、非常に魅力的な俳優さん。とても繊細な部分も表現しなければならない役どころだったので、岸井さんにお願いしました。藤原さんもどんなお芝居でもいろんな表情を見せてくれる、引き出しの多い役者さんです」とそれぞれの魅力を語った。
続いて公式上映後に行われたQ&Aでは、冒頭に岸井が流暢な中国語で観客に挨拶。満席の会場からは拍手と歓声が入り混じり、さらにジンホアは「今回の撮影は簡単ではなかったが、日本のスタッフの皆さんが台北映画祭まで来てくれてとても嬉しい」と喜びを語り、藤原も「台湾に来られて本当に嬉しい」と笑顔を見せた。
観客から作品で印象的だった環境音について質問された真壁監督は、「実は特定の音を強調したわけではなく、むしろ音楽を使わないことを意識し、映画をより日常に近づけたかった。そのため、風の音や街の音、生活音そのものが物語の一部になっています」と説明。また、物語の結末について寄せられた問いには「それぞれの解釈を持っていいと思います。私自身は、大切な人を失った悲しみはすぐに消えるものではないと考えています。だから、皆さんが感じ取った答えはどれも間違っていないはず」と答えた。
岸井はジンホアとの共演について、「日本語は彼にとって大きな挑戦だったと思いますが、演技ではまったく支障を感じませんでした。ジンホアはシンシンそのもののようで、日本語が母語ではなくても、役が伝えたいことをきちんと受け取ることができ、とてもスムーズに共演できました」と語り、キスシーンについても質問されると、「監督は一度OKを出していたが、ジンホア自身が『もっと良くできる』と感じ、もう一度撮り直したいと申し出た」と明かす一面も。
劇中の二人の関係についてジンホアは「ちづみは母を亡くしたばかりで、シンシンもまた心に消えない悲しみを抱えている。異なる文化の中で出会った二人が急速に惹かれ合うように見えても、役の心情としてはとても自然な流れだと思う」と語った一方、「進展が早すぎると思わなかったか?」と尋ねられた岸井は、「シンシンはちづみの友人の友人というつながりもあり、だからこそ心を開くことができたのだと思います。現実だったら、知らない街で同じ状況になっても、私はきっと無理ですね(笑)」とユーモアを交えて答え、会場を和ませた。
【作品情報】
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シンシン アンド ザ マウス SINSIN AND THE MOUSE
Copyright © 2021 by Banana Yoshimoto All rights reserved. Japanese original edition published by Shinchosha Publishing Co., Ltd., Japan in 2021. The permission to use the original novel to produce this movie has been arranged with Banana Yoshimoto through ZIPANGO, S.L. ©2026映画「SINSIN AND THE MOUSE」FILM PARTNERS