【ワールドカップ】サッカー日本代表の戦いをスペインの名指導者が分析 「殊勲は中盤だった」

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【ワールドカップ】サッカー日本代表の戦いをスペインの名指導者が分析 「殊勲は中盤だった」

7月2日(木) 7:00

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ミケル・エチャリの日本代表総括(前編)

「グループステージ3試合を通じて、日本代表はとにかく3バックの運用に優れていた」

スペインの慧眼、ミケル・エチャリは、北中米ワールドカップの日本のグループステージを振り返って、そう分析している。エチャリはレアル・ソシエダで約20年、ダイレクター、育成ダイレクター、Bチーム監督などを歴任。その戦術眼は名将ジョゼップ・グアルディオラにも敬愛されているほどだ。

「初戦のオランダ戦から3-4-2-1をうまく運用できていた。そのカギをひと言で言えば『Coraje(勇敢さ、勇気)』だろう。日本の選手たちは、オランダの選手を少しも恐れていなかった。これは簡単なようで、簡単ではない。日本は強敵に2度にわたってリードされながら、2度も追いついた。最後まで勇気を振り絞って戦い続けることができたからだ」

「チュニジア、スウェーデンという同じ3バックのチーム相手に対しては、戦術的に組織で上回っていた。選手個人の力量が向上したこともあるだろうが、チームとして積み上げてきたものの違いも出た。オランダには『いい守りがいい攻めを作る』になっていたし、チュニジア戦、スウェーデン戦は攻守で優位に立っていて、中盤の強固さが際立った」

エチャリはそう言って、森保ジャパンの完成度の高さを称賛した。オランダ(2-2)、チュニジア(4-0)、スウェーデン(1-1)の1勝2分けでグループステージを2位で突破。森保ジャパンの快進撃を予想していた彼に、その中身を掘り下げてもらった。

スウェーデンに引き分け、グループステージを2位で突破した日本代表 photo by JMPA

スウェーデンに引き分け、グループステージを2位で突破した日本代表 photo by JMPA



「日本は何をやるべきか、何をしてはいけないのか、どこにいるべきか、どこにいるべきではないのか、そこが明確だった。各選手がしっかりポジションを取っていることで、相手の好きなようにさせていない。勝ち点を奪えたのは必然だった。

とりわけ、カバーリングの意識の高さには特筆すべきものがあった。相手に攻められて、ひとりがボールホルダーに寄せたとき、もうひとりが必ずカバーのポジションを取っていた。確かに基本的なことではあるが、それが徹底されていたと言える。さらに言えば、その相互補完の精度によって、ボールに激しく詰め寄ることができていたのである」

【カタールワールドカップからの成長】エチャリは森保ジャパンの組織力が武器になることを大会前から見抜いていたが、躍進はシンプルな理屈だったという。

「全体のバランスをコントロールしていたのは、やはり中盤に君臨した鎌田大地だったと言えるだろう。カタールワールドカップの前からずっと推奨してきたように、鎌田は左寄りのボランチで攻守をつなぐプレーがベスト。トップ下もできる選手だが、最も適合しているのはボランチと言える。彼はボールに触りながらリズムを作るので、トップ下に入っても下がってくることが多くなるからだ。

また、鎌田とボランチを組んだ佐野海舟、田中碧も技術的に優れた選手で、スペースと時間を支配することにひと役買っていた。どちらも、もっとプレーをスピードアップさせることで、次のステージに立てるだろう。グループステージは、『日本の中盤こそが殊勲だった』と評しても過言ではないだろう」

鎌田は森保ジャパンのアクセル、ブレーキ、そしてギアになっていた。まさにチームの動力だった。

「ディフェンスも安定していた」とエチャリは言う。

「たとえば左サイドは、目に見えて改善されていた。前回のカタールワールドカップでは、伊藤洋輝、三笘薫らの左サイドは残念ながら機能していなかった。伊藤は球出しや守備の集中力に未熟さを抱え、攻撃で三笘の足を引っ張っていたし、守備でも不安定だった。それがコスタリカ戦の後半、不覚をとる形にもつながっていた。今回、伊藤は中村敬斗とのコンビで、攻守に安定したプレーを見せている。4年間の成長と言えるだろう。また、3バックに入った板倉滉、冨安健洋などはマーキングも、カバーもよかった」

エチャリはそう言うと、攻撃面についても高い評価を与えた。

【「不条理な状況にも適応できないと......」】「グループステージ突破をほぼ確定させたチュニジア戦では、伊東純也が目立っていた。走力の強度が高く、相手にとっては常に脅威だった。三笘、南野拓実、久保建英などをケガで欠きながら、これだけの戦いができたことは及第点と言える。前線も上田綺世はボールをキープするだけでなく、前に持っていく推進力も感じさせ、味方に猶予を与えていた。彼も前回大会より自信がついたのか、成熟を感じさせた」

エチャリはほとんど手放しで日本の戦いを称賛している。その一方で、彼は最後にこうも付け加えていたのだった。

「スウェーデン戦の日本は、試合を通じてイニシアチブを取って、前半はほとんど相手に何もさせなかった。しかし、後半に同点にされたシーンの前だけは、多くの選手がいるべき場所を見失っていた。(中村がストッキングについて注意を受けるなど)アクシデントもあったようだが、このレベルでは、不条理な状況にも適応することができないと、大きな成功をつかむことはできない。

同点にされた場面では、シューターに堂安律が簡単に置き去りにされてしまい、しのぎきることができなかった。厳しいようだが、相手への寄せが一歩遅れたら、失点は避けられない。それは真理で、心理的な混乱があったことが見えた。組織や秩序は、日本の強さの根源と言えるだろう。しかし逆境に適応するタフさも大切になるのだ」

エチャリは言ったが、それは図らずもノックアウトステージ、ラウンド32のブラジル戦での啓示的なメッセージになったのである。

Profile

ミケル・エチャリ

1946年生まれ。サン・セバスティアン出身のスペイン人指導者。選手としては膝のケガにより27歳で引退し、その後は指導者に転身した。レアル・ソシエダでは20年以上にわたり強化ディレクター、育成ディレクター、セカンドチーム監督などを歴任。ホセバ・エチェベリア、ハビエル・デ・ペドロ、シャビ・アロンソなど多くの選手に影響を与えた。エイバルでは監督を務め、バスク代表監督(FIFA非公認だが、バスク最高の指導者に与えられる栄誉職)も10年以上務めた。また、指導者養成学校の教授も務め、教え子にウナイ・エメリ、ミケル・アルテタ、フアン・マヌエル・リージョらがいる。



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