「音楽」「ひゃくえむ。」を手がけたアニメーションスタジオのロックンロール・マウンテンによる新作短編アニメ「るすばん」が、8月1日から東京・新宿K’s cinemaで、1週間限定公開されることが決定した。予告編とポスタービジュアルが公開されている。
原作は「ぷらせぼくらぶ」などで知られる漫画家・奥田亜紀子氏の短編集で、「このマンガがすごい!2020」オンナ編で第5位にランクインした「心臓」に収録されている一編。1987年8月、大きな家の留守番を任された主人公・とっこが過ごす、家族が帰ってくるまでの特別な時間を描く。
アニメ版は「音楽」「ひゃくえむ。」を手がけた岩井澤健治が代表を務めるアニメーションスタジオ、ロックンロール・マウンテンが制作。スタジオジブリで演出を学び、劇場アニメ「ひゃくえむ。」の演出助手を務めた柳澤あゆみによる初監督作品となる。これまで同社の主な制作手法だったロトスコープ(実写トレース)を用いず、若手スタッフのみで初の全編手描きアニメーションに挑戦する。
予告編では、ひとり留守番を任されたとっこのさびしさと心の内の豊かさ、相反する感情を表現した映像を見ることができる。水の中に猫の人形を浸すカットの水の揺らぎや、とっこが横たわる畳の傷みの描写といった、細部にこだわったアニメーション技術も見どころとなっている。「みんなの家に、わたしがひとり。」というコピーが添えられたポスタービジュアルは、ひとりたたずむとっこの後ろ姿を描いたイラスト。日本家屋の居間の一角、少女漫画雑誌、恐竜の貯金箱、とっこが描いた「てん」の文字など、ノスタルジックな要素が散りばめられている。
また、2010年に岩井澤が手がけた短編アニメ「山」の同時上映も決定した。こちらは漫画家・大橋裕之氏の短編漫画を映像化したもので、同作の制作が後に「音楽」の誕生につながるきっかけとなった。
公開期間中は、柳澤監督とゲストによるアフタートークを連日開催予定。スタッフコメントや原画、設定資料、奥田氏によるイメージボードなどを掲載した、全52ページのドキュメントブックも販売される。
柳澤、岩井澤、奥田氏からのコメント全文は以下の通り。
【柳澤あゆみ(監督)】
奥田亜紀子さんの、物語よりもつかみきれない“空気”のようなものを描いた希少な作品を監督できて、本当に光栄です。
漫画として完成されている奥田さんの作品は、映像化する意義を見出すのがものすごく難しかったのですが、スタッフとともに原作のひとコマひとコマに向き合い、アニメーションならではの「るすばん」を制作しました。
言葉ではいいようのない瞬間が詰まっている作品です。
こどもの方も、おとなの方も、ぜひ劇場にいらしてください……!
【岩井澤健治(企画・プロデュース)】
「ひゃくえむ。」完成後、自社スタジオで短編を制作できないかと考えていたところ、奥田亜紀子さんの短編集「心臓」に収録されている「るすばん」を原作にするのはどうだろうと思いつき企画したのが始まりです。
言語化が難しいあの頃の空気感や心象を独自の視点で表現する奥田さんの漫画を、柳澤監督を中心にRRMスタッフが素晴らしいアニメーション映画に仕上げてくれました。
ぜひ劇場までお越しいただけますと幸いです。
【奥田亜紀子(原作)】
数年前、私が18歳までを過ごした実家が取り壊されました。
「るすばん」は、その家の記憶から生まれた作品です。
アニメになったことで、風景や過去の自分と再会できました。
ていねいに映像へと結実させてくださった監督をはじめ、制作に携わってくださったみなさまに心から感謝しています。
気づけば、何度も繰り返し再生していました。
この作品にこめられたのはとても個人的な記憶ですが、私じゃない誰かの古い記憶にまで届くんじゃないかと思っています。
【作品情報】
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るすばん
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(C)奥田亜紀子/ロックンロール・マウンテン 2026