【写真】人智を超えた怪奇事件に挑むSRI(特殊科学捜査研究所)のメンバーたち
昭和に到来したオカルトブーム。その一端を担ったのが、円谷プロダクションが制作を手掛けた特撮ミステリードラマ「怪奇大作戦」シリーズ(1968-1969)だ。人智を超えた怪奇事件をSRI(特殊科学捜査研究所)が科学の力で解明する本作は、特撮作品ながら大人のミステリードラマとして好評を博し、平均視聴率22%を叩き出した。本作は平成に、リメイク作品「怪奇大作戦 セカンドファイル」(2007)、リブート作品「怪奇大作戦 ミステリー・ファイル」(2013)として復活。CS放送・チャンネル銀河では、「ウルトラマン60周年記念特集」の一環として、この平成版シリーズを7月3日(金)から放送する。
■「怪奇大作戦」の見どころは怪奇事件を引き起こす人間の心の闇
「怪奇大作戦」オリジナルシリーズは、警察の手に負えない怪奇事件が発生し、SRIが科学の力で真相を解明していくという特撮ミステリー。時はまだ本格的なオカルトブームが到来する前夜、人体溶解や歩く生首、吸血シーンなどが日曜夜のゴールデンタイムに放送されたため、記憶に強く残っている人も多いだろう。
平成版では特撮技術の進化によって、不気味な怪奇現象のシーンもパワーアップ。「怪奇大作戦 セカンドファイル」の第1話「ゼウスの銃爪(ひきがね)」では、突然人体が燃え上がる“人体発火”現象を生々しく描写し、「怪奇大作戦 ミステリー・ファイル」の第1話「血の玉」では、若い男女が謎の玉に襲われ、血液を吸い取られてミイラ化する様子が不気味に描かれる。
しかし、こうしたショッキングな描写は「怪奇大作戦」シリーズの入口にすぎない。同シリーズの魅力は、SRIの科学捜査によって暴かれていく人間の心の闇にある。怪奇事件を起こすのは、深すぎる愛情や憎悪、愛する人を失った悲しみに抗えず暴走してしまった人々だ。それゆえに、事件が解決を見ても何とも言えない後味の悪さが残る。
思えば「ウルトラマン」シリーズにおいても、しばしば主人公の葛藤や人間の欲望、社会への風刺が描かれていた。特撮ドラマを単純な勧善懲悪に終わらせず、人間ドラマとしての深みを与えるのは、円谷プロのお家芸ともいえる。そして、「怪奇大作戦」シリーズにもその遺伝子は見事に受け継がれている。
■牧史郎の魅力を引き出す西島秀俊の演技力
映像やプロットの素晴らしさに加えて、キャスティングの妙も光る。6人から成るSRIメンバーの基本設定はオリジナルそのままに、平成版では折々の時代の実力派俳優を起用。中でも目を引くのが、「怪奇大作戦 セカンドファイル」で主人公・牧史郎を演じる西島秀俊だ。
オリジナルシリーズで岸田森が演じた牧は、クールで切れ者だが冷血漢、しかしてその奥には深い情を隠し持つという人物だった。名バイプレイヤーからバトンを受け継いだ西島は、クールさの中に憂いを帯びた表情と、不意に見せる激情や涙で牧の奥深い人物像を見事に体現している。
お人好しで直情的な「助さん」こと三沢京助のキャスティングも面白い。オリジナルシリーズでは二枚目俳優の勝呂誉が演じていたが、「怪奇大作戦 セカンドファイル」では田中直樹(ココリコ)、「怪奇大作戦 ミステリー・ファイル」では原田泰造(ネプチューン)と、いずれもお笑い芸人を起用している。今や俳優としてもバリバリ活躍している二人だけに、演技力にとぼけた味わいが加わり、シリアスな物語にほどよく笑いをもたらしてくれる。
また、「怪奇大作戦 ミステリー・ファイル」で牧史郎を演じるのは上川隆也。そして、シリーズ初のSRI女性所長・的矢千景が誕生し、名優・原田美枝子が知性と冷静さを兼ね備えたリーダーとして物語を引き締めている。前作で岸部一徳が演じたSRI所長・的矢忠の茶目っ気が感じられるリーダー像とは対照的で、同じ立ち位置のキャラクターでも、シリーズによって性格に違いが見られるのが面白い。
■各話を手掛けるのは「呪怨」「リング」ら個性豊かな監督陣
平成版のタイトルロゴやオープニング曲は、オリジナルシリーズのアレンジバージョンとなっており、異世界へ引き込まれるような不気味さは健在。大人にも刺さる人間ドラマと相まって、原点を知る人もそうでない人もハマれる作品となっている。
平成版2作の各話には、映画「呪怨」の清水崇、映画「リング」の中田秀夫、映画「死刑台のエレベーター」の緒方明ら個性豊かな監督陣が参加。各話それぞれに担当監督のセンスを感じられる映像と世界観にも注目だ。
CS放送・チャンネル銀河では、7月3日(金)より「怪奇大作戦 セカンドファイル」(毎週月~金曜深夜12:00-1:00)、7月8日(水)より「怪奇大作戦 ミステリー・ファイル」(毎週月〜金曜深夜12:00-1:00)を放送。両作品を見比べつつ、特撮の魅力が詰まった映像と、オカルトの先にある人間ドラマを堪能してほしい。
◆文=帆刈理恵(スタジオエクレア)
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