山下敦弘監督&呉美保監督が明かす“映画づくりの原点” リチャード・リンクレイター最新作「ヌーヴェルヴァーグ」トークイベント

呉美保監督(左)、山下敦弘監督

山下敦弘監督&呉美保監督が明かす“映画づくりの原点” リチャード・リンクレイター最新作「ヌーヴェルヴァーグ」トークイベント

7月2日(木) 19:00

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リチャード・リンクレイター監督が、ジャン=リュック・ゴダールの「勝手にしやがれ」誕生の舞台裏を、仏映画界を代表する映画作家たちとの活気ある交流とともに描いた最新作「ヌーヴェルヴァーグ」が7月10日より公開される。封切りを直前に控える本作の一般試写会が7月1日に行われ、上映後にはゲストとして山下敦弘監督と呉美保監督が登壇しトークショーを行った。

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リンクレイター監督作品に親しんできたという呉監督は、「毎回興味の対象が違うのに、ちゃんとエンターテインメントになっていて独りよがりじゃない。“掘り下げ力”がすごく好き」と全幅の信頼を寄せる。山下監督も「ヌーヴェルヴァーグ関連の作品をあまり観ていなくてもすごく楽しめた。本作を観ると『勝手にしやがれ』を観たくなるし、それを観るとまた本作に戻ってきたくなる不思議な作り」と、映画史への入り口となり得る本作の魅力をアピールした。

劇中で描かれるゴダールの即興的で破天荒な撮影スタイルに話が及ぶと、山下監督は自身の代表作「リンダ リンダ リンダ」の撮影初日を述懐。「35ミリでの商業デビューのような作品で気合いも入っていたんですが、初日はペ・ドゥナさんがグラウンドを歩くだけのシーンで、1発OKにしちゃって。午後3時か4時ぐらいには終わってしまったんです」と苦笑い。「スタッフは不安だったと思うけれど、僕としてはそれしか撮りようがなかった。同時に『これでよかったのか?』と自分自身も不安だった」と当時の心境を明かした。

一方の呉監督も、たった20日間というスケジュールのなか、台本の有無すら曖昧な状態で進むゴダールの現場に対し「どんな精神状態なんだろう」と驚愕。「みんな文句は言うけれど、たぶんゴダールに魅了されている。ユーモアと才能があったからこそ、周りもついていけたのではないか」と分析した。

28歳前後で長編デビューを果たした若きゴダールの“傍若無人ぶり”について、山下監督は「あの態度は普通はあり得ない(笑)。でも、批評家としての評価がすでにあったからこそ、あそこまで振り切れたのかもしれない」と推察。さらに、台本を渡さずその場でセリフを口伝えする演出についても「若い頃に憧れた作り方。台本がないとか、その日に渡すとか贅沢ですよね。度胸と自信がないとできない」と舌を巻く。

トーク後半では、両監督が“映画を作り始めた頃”の初々しい感覚へと思いを馳せる場面も。山下監督は「最初に映画を作り出した頃は、映画にものすごく憧れているから『映画には魔法がかかっている』ような特別なものに感じる。でも作っていくと、準備、セリフ、カメラ割り……全部が人間によって作られていると知っていく。若い頃にあった“奇跡を起こそう”という感覚が薄れていくんです」と率直な思いを吐露。そのうえで、「その時にしか作れない何かがある」と、本作が呼び覚ます原初的な映画への情熱を語った。

呉監督も「この瞬間には戻れないんだな、というノスタルジックな気分になった」と深く共感。「アート映画は正解がわからないからこそ、向こう見ずに突っ込んでいく感覚は自分にもまだあるかもしれない」と、自身の創作意欲を再確認していた。続けて呉監督は、「若い人が、目の前の面白いものだけに目を向けて突っ走る感じがこの映画の良さ。映画好きだけでなく、若い人たちがこの作品に触れて、時代の流れや映画史を掘り下げるきっかけになれば」と呼びかけた。

「ヌーヴェルヴァーグ」は7月10日(金)公開

【作品情報】
勝手にしやがれ

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©JeanLouisFernandez
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