井上尚弥選手&中谷潤人選手、第8Rの殴り合いの中で飛び出した“笑顔の真意”「自然と出た」<試合密着ドキュメンタリー THE DAY ~やがて、伝説と呼ばれる日。>

「試合密着ドキュメンタリー THE DAY ~やがて、伝説と呼ばれる日。」はLeminoで独占配信中/※提供写真

井上尚弥選手&中谷潤人選手、第8Rの殴り合いの中で飛び出した“笑顔の真意”「自然と出た」<試合密着ドキュメンタリー THE DAY ~やがて、伝説と呼ばれる日。>

7月1日(水) 18:00

「試合密着ドキュメンタリー THE DAY ~やがて、伝説と呼ばれる日。」はLeminoで独占配信中
【写真】世界最高レベルの技術戦を心から楽しむ両者…根っからのボクサーたちのぶつかり合い

井上尚弥選手と中谷潤人選手が拳を交えた「NTTドコモ presents Lemino BOXING ダブル世界タイトルマッチ」の舞台裏に迫った「【試合密着ドキュメンタリー】THE DAY ~やがて、伝説と呼ばれる日。~ 井上尚弥 vs 中谷潤人井上拓真 vs 井岡一翔」が、5月25日にLeminoで配信された。その中で、2人が第8ラウンドでの殴り合いの最中に飛び出した笑顔の理由を語る場面があった。(以下、ネタバレを含みます)

■“Xデー”に向けて万全に仕上げてきた相手をリスペクト

本番組は、5月2日に東京ドームで行われた歴史的興行の舞台裏を追ったドキュメンタリー。長きにわたってボクシング界をけん引してきた“モンスター”井上尚弥選手がどんな思いで試合に臨んだのか、最高レベルの技術戦となったダブル世界戦のラウンド間のインターバルでの様子を交えた裏側など、熱狂の渦に包まれた伝説の夜の舞台裏に迫る。尚弥選手と中谷選手が試合中の心境を詳細に語った“試合の振り返り”で、当人同士の言葉だからこそ、あの熱戦の興奮を一歩踏み込んで再び呼び起こしてくれる。

番組は、前日の計量から密着。車で会場入りした尚弥選手はリングアナウンサーのマイケル・バッファーとにこやかに握手を交わすなど、気負った様子はない。対する中谷選手も、控室でジム仲間たちと談笑しながら和やかな雰囲気で過ごす。

その後、多くのマスコミとファンの前に現れた両選手は、きっちり仕上げてきた肉体を披露し、会場をどよめかせる。世紀の一戦を翌日に控えて対面した2人は、互いに見つめ合いながらも“敵意のある視線”ではなく、けがなく万全の体勢でここまで来てくれたことへの敬意がにじむ目を向け、最後は笑顔で握手を交わして別れた。

尚弥選手は「中谷潤人というボクサーを最大限に警戒してリスペクトしているから『戦う者としてはやりがいがあるな』という。しかも東京ドームで、5万5000人。チケットも完売。この日を迎えられるというのは、ボクサー人生で一番最高なことだと思うし、その日を楽しめるだけの準備はしてきたから」と心境を語る。

試合当日、カメラは早くから会場に詰め掛けたファンへのインタビューなどで現地に漂う熱気と高揚感をくみ取りながら、両選手それぞれの控室での過ごし方を追う。兄弟そろっての勝利を目指す尚弥選手は、世界四階級制覇王者の井岡一翔選手と対戦する弟・拓真選手の試合を控室のモニターで見守りながら、「いける、いける!よしっ!!」などと声を出して応援。そして、見事に勝って戻ってきた拓真選手を労い、「(俺も)勝つよ」と気合を入れて体を温めていく。

尚弥選手は「張り詰めた感はなく、やるべきことは全てやってきたし、自分の状態がいいからこそのものだったと思う」と述懐。一方、中谷選手は「チームもいつもと変わらず接してくれていましたし、サポートしてくれていたので楽しく控室にはいました。ただ、やってきたことが出せるかどうかという気負いというか、プレッシャーというのは多少ありました。けれど、やることは決まっていますし、早くリングに上がってやりたいなという感じでした」と振り返る。

■一見静かなオープニングの裏で展開されるハイレベルな頭脳戦

試合では、相手の出方を探り合う心理戦の色が濃い立ち上がりに。「予想通りだな、と。(試合前の想像で)過大評価していたほどではなかったから落ち着いて対応できたし、自分にとって良いポジションとか流れとか、そういうものをつかめた1ラウンドではありました」と語る尚弥選手に対し、中谷選手は「1ラウンドから(積極的に)いくという話もありました。ただ、ボクシングを自分主導で作っていくってなったときに、途中で『そうじゃないほうがいい』というチームの作戦に変わって、ああいう形になりました」と解説。

中谷選手の左を警戒しながら、多少のリスクを背負ってボクシングを作っていった尚弥選手は「中谷選手が踏み込んできた足の位置と体勢と、その全てをなんとなく読みながら。自分がスウェー(上体を後ろに逸らして相手のパンチを交わす技術)で避けて、パンチをもろに食らったシーンは多分なかったと思うので、そこの距離感に関して、ヒヤヒヤする面はありましたけど、ズレはなかったと思います」と相対した印象を語る。

続けて「前足は当たる距離でずっと駆け引きしていたから。あの距離で『どっちがパンチを当てられるか』って言ったら、中谷選手なんですよ。当てやすいのは向こうだけど、当てているのはこちら。そこがボクシングの奥深さですよね。自分が本来当てなきゃいけない距離で当てられず、パンチをもらう。(中谷選手は)空間の支配というところで驚いたと思う」とコメント。

対する中谷選手は「ポイント、ポイントで想定外の動きはもちろんありましたし、(相手の)運動神経の良さだったりとか、目の良さ、いろいろな井上選手の良さをポイント、ポイントで感じながら戦っていました」と明かす。

■最高レベルの技術戦を心から楽しむ根っからのボクサーの両者

ポイントを積み重ねながら第4ラウンドまで危なげなく進めていったことについて、尚弥選手は「向こうの入りというのは、1ラウンド目から来るとは想定していなかったです。1ラウンドはあの入りで、2ラウンドで西田(凌佑)戦(のような積極的な攻めで来ると予想)。でも、2ラウンドでも『あっ、来ないな』と思って、3、4でも来ないから、『このまま行くつもりなのかな』と思った」と回顧。

それについて中谷選手は「(尚弥選手は学習能力と対応力がずば抜けているため)いろんな情報を井上選手に与え過ぎないようにというか。井上選手はいろいろなパターンができるボクサーなので、どういう形で来るのかをすり合わせていくような作業で時間がかかりました。イメージしていた感じでは悪くなかったなと思う」と分析する。

そんな中、第8ラウンドでの殴り合いの最中に飛び出した笑顔について話す一幕も。尚弥選手は「お互いが打っても当たらない空間というものを楽しんでいたと思う。あれは、そこから自然と出た笑顔だった」と告白し、中谷選手も「お互いがフェイントをたくさんかけ合って当てようとしている形というのはすごくヒリヒリしますし、ボクシングの楽しいところというか。そこを自分自身が表現できているのがすごく楽しかったですね」と打ち明けた。

いずれ“伝説”となる世界最高峰の戦いを本人たちの“証言”付きで再び楽しめるという、ぜいたくな内容となっている本番組で、“ハイレベルな頭脳戦”の深淵に触れてみては。

◆文=原田健



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