実業家のイーロン・マスクが、俳優アーミー・ハマーの復帰作「シチズン・ビジランテ(原題)」を、自身が所有するSNS「X」で期間限定公開した。ドイツでは、上映が事実上禁じられている作品だ。
「シチズン・ビジランテ(原題)」は、ウーベ・ボル監督のアクション作品だ。ハマーは、クロアチアを舞台に、犯罪者や汚職にまみれた判事たちを自らの手で裁いていく富豪を演じる。ドイツでは、過激な暴力描写に加え、移民への暴力をあおりかねない内容だとして、年齢区分を審査する機関が等級の分類そのものを拒んだ。これにより劇場でもソフトでも主要な配信でも流せなくなり、事実上の上映禁止となっている。
マスクは6月25日、その全編をXにアップし、48時間にわたって誰でも視聴できるようにした。投稿はたちまち広がり、950万回を超えて再生された。マスクは「続編はさらに良くなるはずだ」と、第2作への期待もXに書き込んでいる。
マスクは「言論の自由」を掲げてXを運営し、これまでも欧州の規制当局と、規制のあり方をめぐって対立を重ねてきた。ドイツが封じた作品をあえて世界に向けて流した今回の動きは、欧州の「検閲」への抗議であり、言論の自由をめぐる自身の主張を示すものだと受け止められている。作品が帯びる反移民的な色合いも、かねて知られるマスクの政治的な立場と重なる、との見方も出ている。
ハマーは、「君の名前で僕を呼んで」などで将来を嘱望された俳優だった。しかし2021年、複数の女性から性的・精神的な虐待を告発され、所属事務所も契約を解消。23年に検察が起訴しない判断を下したものの、第一線から長く遠ざかっていた。「シチズン・ビジランテ(原題)」は、その失墜後に初めて主演を務めた復帰作にあたる。本人は米ハリウッド・リポーターに、こう打ち明けている。
「猫のエサのCMだって引き受けたさ。とにかく、もう一度働きたかったんだ」
ボル監督は、続編「シチズン・ビジランテ2」を2027年に公開する予定だと明かしている。
【作品情報】
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君の名前で僕を呼んで
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Photo by Andrew Harnik/Getty Images