【写真】この夏の清涼剤となりそうな「君は夏のなか」
奥智哉&杢代和人W主演によるドラマNEXT「君は夏のなか」(テレビ東京系にて、毎週水曜日深夜0時30分~/Leminoほかにて見逃し配信)が7月1日(水)より放送を開始。古矢渚の同名コミックをもとに、共通の趣味を持つ男子高校生2人のひと夏の恋愛模様を描く本作がこの夏、爽やかな旋風を巻き起こしてくれることを期待し、原作コミックの魅力を交えて紹介する。
■清涼感あふれるピュアで眩しい青春恋愛劇
原作はBL界で数々の話題作を生み出してきた古矢氏による同名コミック。どこにでもいる平凡な高校2年生・戸田渉は、学校一のイケメン・佐伯千晴と映画好きという共通点で意気投合。月に2、3回学校帰りに映画を観る仲に。
そんなとき、渉はクラスの女子生徒から、千晴の好きな人を聞き出してほしいと頼まれる。放課後、いつものように映画を観た帰りに感想を言い合う流れで、渉は軽い気持ちで「好きな人はいるのか」と尋ねると、千晴から思いがけない言葉が返ってきて…。渉は奥が、千晴は杢代が演じ、清涼感あふれるピュアで眩しい青春恋愛劇が展開される。
■青春BLの金字塔と言える不朽の名作
原作の古矢氏は“青春BL”の代名詞的な存在。現に筆者も「この夏、青春BLドラマがあるらしい」という噂を聞いて、すぐに「古矢氏のBLコミックのドラマ化ならいいなぁ!」と願ったほど“青春BL”というワードと古矢氏はすぐに結びつく。しかも、手がけた数多くの青春BL作品は、どれもドラマ化されるとなれば胸が躍る佳作ぞろいだ。
デビューコミックスは男子高校生2人が名前に共通点を持つことをきっかけに交流を深めていく「ナンバーコール」。デビューコミックスとは思えないような、計算されたストーリー運びで、それぞれキャラクターの個性も描き込み、心情も丁寧に描写し、読者の感情を揺さぶる一作。 内容に合った美しくスッキリとしたイラストも印象的だ。
その他も「群青のすべて」や「ふたりのライオン」などなど、学生同士のBLコミックを手がけており、青春の機微を描く手腕に定評がある。なかでも「君は夏のなか」は青春BLの金字塔と言える名作で、「君と夏のなか」「君と夏のなか2」の続編コミックスも発売されており、古矢氏の代表作となっている。
1巻は2017年に発刊されているが、年月が経ってもその魅力はいまなお瑞々しく、時代を超えて読みつがれることにも納得。青春に欠かせないキラキラとした夏の日々のなかにときめきと切なさが詰まった極上の青春ラブストーリーとなっている。
■恋のきらめきのあとに苦い切なさが押し寄せる2段階技
2人の心の距離が縮まっていく様子もとても自然で、期待感を煽られる。もともと渉は「モテるイケメン」として有名な千晴のことを知ってはいたものの、クラスが一緒というわけでもなく、映画という共通の趣味で打ち解けていく。渉の持つマイナーな映画のグッズを千晴が指摘し、映画の聖地巡礼にも行くことになり、知る人ぞ知る自分の好きなものを共有できる相手と盛り上がる姿は見ている方も思わず心が弾む。さらに、恋の甘酸っぱさも加われば、高揚感は否応なしに膨らんでいくものだ。
しかし、そこには二重にも三重にも千晴の特別な思いが込められていたのだ。それを知ると何気ないやり取りの見え方ががらりと変わり、ギュッと胸が締め付けられる。
甘やかな恋のきらめきに心をはずませていると、やがて苦みを帯びた切なさが押し寄せる。振り幅のある2段階技で気持ちいいほど翻弄されて、気づけば物語の虜になってしまう。
■モテメンがフツメンに巨大感情を抱く構図に爆萌え
「モテるイケメンの方がフツメンに巨大感情を抱いている」という構図ってどうしてこんなにも尊くて萌えるのだろうか。しかも、フツメンがちょっと天然で恋愛に鈍感なタイプとなればなおさらだ。不器用な言動の一つひとつに頬が緩む。
渉も察しのいい方ではなく、加えてまっすぐでとても誠実な性格で相手の気持ちに真摯に向き合おうとする姿勢に好感が持てる。そのために先に進めなくなったとしても、曖昧なまま済ませたり、自分をごまかしたりはしない。演じる奥が持つピュアでやわらかな空気感もキャラクターと重なり、渉をどんな風に演じてくれるのか期待が高まる。
対して千晴は、誠実なタイプではあるものの、どこか影を感じさせる繊細でミステリアスな男子。内に秘めた複雑な感情がふとした瞬間に覗くところも大きな魅力となっている。美しく儚さも漂うビジュアルの杢代が、千晴の持つ光と影をいかに体現するのかにも注目したい。
■じれったい恋模様に何度も身悶えしてしまうはず
タイトルにある通り、ひと夏の青春の日々を切り取った本作。マイナー映画の聖地を巡る小旅行は、まるで2人だけの秘密の冒険のような特別感を感じさせ、風光明媚なロケーションは美しい映像を見せてくれることだろう。
また、主題歌は福山雅治のラブバラードの名曲として名高い「蛍」に決定。ラジオ番組でBLについて熱く語ったこともある福山が担当するとは、BLファンにとっても感慨深いものがある。解禁された本作のトレーラーでは、大切な人とのかけがえのない時間を歌い上げる同曲をバックに、ともに過ごす渉と千晴の姿が写し出される。その叙情的な映像を見るだけですでに泣きそうになってしまう。
まぶしく爽やかで、愛おしい青春の瞬間を捉えている一方、それだけでは終わらない本作。じれったい恋模様に何度も身悶えしてしまうはずだ。この夏、ときめきと切なさにたっぷり浸りたい方にこそおすすめしたい。
◆構成・文=牧島史佳
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