【写真】絵本作家のヨシタケシンスケ氏が描いた表紙イラスト
クリープハイプの尾崎世界観が6月29日、都内にて著書『尾崎世界観の書かなかったこと日記』(KADOKAWA)の発売記念イベントを開催した。イベント前の記者会見にて、自身の“泥”の部分までさらけ出したという本作の執筆秘話や、“書かなかったこと%”に込めた真意を語った。
■小説やエッセイとは違う、あえて直さなかった“泥”のある姿
本書は「ダ・ヴィンチ」(KADOKAWA)にて2024年12月25日から2025年12月24日までの一年間を毎日記録した連載『尾崎世界観の書かなかったこと日記』を単行本化したもので、「毎日、本当にいろんな気持ちになりながら書き続けた。最初から単行本化が目標でしたけど、いざ形になると本当にうれしいです」とコメント。
小説やエッセイも発表している尾崎だが、それと違うのは、きれいに直さず、“泥”がある自分の姿が書かれていることだという。「調子の悪い自分がありのまま書かれている本というのはあまりないので、自分にとっては大事な一冊になりました」と感慨深く語る。
本書は6月22日に発売されたが、今日までバンドメンバーとは会えていないと言い、「買ってくれていると信じてるんですけど(笑)。いつも買ってくれているので、買ってほしいですね」と呼びかける。一方、東京スカパラダイスオーケストラの加藤隆志は書店で買ってくれたそうで、「『これぐらい減ってる』という写真が送られてきました」と交流を語る。
■後から気づく“心の違和感”をパーセンテージで表現
それぞれの日記の末尾には、その日“書かなかったこと”の比率が“%”で示されており、日記に書かれたことだけでなく、書かれなかったことへの想像も含めて楽しめるユニークな内容となっている。この“書かなかったこと%”は、限られた文字数での表現に悩んでいたときに、担当編集からもらったアイデア。
「書けないことが多くなりそうで、そこにどう納得するかというのが課題でした。そのときに編集の方が、『何かをパーセンテージで表して、その日の文末に何%と書いていくのはどうか』というアイデアをくださって。そこで、“書かなかったこと”を何%と表記すれば、自分の中で引っかかっていた部分をクリアできるのかなと思って決めました」と、経緯を振り返る。
記者から、この“書かなかったこと%”に込められた意味や読み解くヒントを問われると、「文字数的に書けなかったことも多いですが、“書きたくなかった”という気持ちも大きいんですよね。例えば、人と楽しく過ごして帰宅したのに、いざ日記を書こうとすると『本当に楽しかったのかな?』とモヤモヤしたり。あのときの自分は無理をしていたのかもしれないと、後から気持ちが変わることもあるんです」と、心理的な深みを説明。
さらに、「今は何でもすぐに切り取られ、その場で物事を確定させなければならないという焦りがある世の中。その分、人前で取り繕うことも増えている気がします。日記を書くことは、自分の気持ちに気づけるチャンス。そこで気づいた違和感や後から変わった気分の割合をパーセンテージとして表現しています」と続けた。
■「三日坊主」を防ぐコツは、誰に見せるかを決めること
本書を読んで日記を始めてみようと思う人に向けて「三日坊主にならない方法は?」と聞かれると、「誰かに見せるというのはすごく恥ずかしいと思いますけど、“見せる”と決めていれば、そういう書き方ができると思うんですよね。この日記も『ダ・ヴィンチ』に載ることが決まっていたので、そこに載るような書き方をしていて。“誰に見せるか”というように書き幅を狭くして、出口を作れば書きやすくなるんじゃないかと思います」と、経験を交えてアドバイス。
最後に「一生懸命、毎日書いたので、人の日記を読んでも面白いのかなと思うかもしれませんが、でも少しでも楽しんでいただけると。自分のために書いたという部分もありますけど、やっぱり読んでもらって初めて成立するものを書きたいと思って取り組んできたので、ぜひ手に取っていただきたいです」とメッセージを発信。
なお、日記の連載はまだ続いているが、掲載誌の「ダ・ヴィンチ」が10月に休刊してしまうため、尾崎は「この先どうするか? 引き受け先を探しています」と困ったように訴えていた。
◆取材・文=鈴木康道
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