米・イランの戦闘は終結しつつあるものの、ホルムス海峡封鎖の完全開放にはまだ至っていない。日本では開戦以降、建設や包装、日用品など幅広い分野で値上げラッシュがおきているが、原油不足の影響は今夏以降に本格化するとも言われている。原油不足の意外な余波として注目するのはアダルト関連産業。各所に取材してみると、ここでも一斉値上げの波が来ようとしていた!
原価や備品は2~3割値上げ。企業努力ももう限界!
米・イランの戦闘は終結しつつあるものの、世界の原油供給は「‘27年にかけて回復」(国際エネルギー機関の報告書)と言われており、影響はまだまだ続きそうだ。
こうした中、男性向けのアダルト消費を支える業界も例外ではない。今夏以降、風俗やアダルト界隈で容赦なき値上げが予測されているのだ。
まず、コンドーム。世界最大級のコンドームメーカー・カレックス(マレーシア)は4月に、イラン戦争による原材料調達や輸送網の混乱が続く場合、最大30%の値上げを実施すると発表した。
「日本の大手製造メーカーはマレーシアに工場を持つ会社もあり、影響を避けられないのでは。コンドーム本体は天然ゴムを使用していることが多いのですが、包装紙や潤滑油、また薄型で用いるポリウレタンはナフサ由来。夏にかけて値上げしていく流れでしょう」(業界紙の記者)
TENGAは品薄?ラブドールは値上げ
一方、アダルトグッズでも価格改定の動きがあるという。都内にあるショップのオーナー・Aさんはこう語る。
「これまで原価や卸値に影響があっても、なんとか値上げはせずにきていた。でも、他の業界でも値上げが行われるようになってきたので、これを機に値上げする予定。卸値が15%上がったら小売価格は30%上げます。すでにローション類は、700円程度で売っていたものを900円程度に上げています」
メーカー側も苦しい選択に迫られている。人気の電マ「フェアリー」開発者の高橋さなえ氏は言う。
「オナホール等で使うTPR(熱可塑性エラストマー)やシリコン、電マで使うプラスチックの値上げの影響が大きい。その他も、全般的に包装資材や印刷費が2〜3割上昇と原価への打撃が強い。メーカーは3か月分程度の原料をプールしていますが、そろそろ底をつき始め欠品も出てきています」
アダルトグッズに使われている素材の多くは石油由来の化学製品。原油価格高騰はダイレクトに製造コストへ跳ね返る。これまでは企業努力で原価の上昇を吸収してきたが、原材料費と輸送費のダブルパンチにより、体力の限界を迎えているようだ。
「卸値も2〜3割上がっている商品が出てきており、ショップでは売れ筋を厳選して仕入れる“買い控え”がおきています。ボーナス時期にはキャンペーンで商品を山積みにするのですが、そういうイベントは今夏、行われないかもしれません」(高橋氏)
開戦初期にSNSでは「TENGAが品薄になっている」という声もあった。しかし、記者が問い合わせたところ、「回答を控える」とのこと。オナホールも本体やパッケージなどの値上げが大きいと予測されるが、今まさに対応に追われているようだ。
一方、すでに値上げに踏み切ったのはラブドールだ。販売代理店・快楽園は、4月から一部製品を10%値上げすると発表。原因は「国際的な原油価格の上昇」としている。
上記とは別の正規販売代理店「Happiness Doll」の代表は次のように話す。
「イラン戦争前、ラブドールの製造コストは販売価格の3分の1ほどでした。でも、今はそれが半分〜3分の2までに高騰。今後、どれだけ上がるか不透明なので受注生産を取りやめ、商品をストックして即納する販売方法に切り替えました」
ラブドールの多くは中国製だが、同国の石油化学製品は各産業で調達合戦が行われており、ダイレクトに影響を受けていると話す。
メンズエステではオイルの価格が高騰
風俗業界も例外ではない。値上げの波がより苛烈なのはメンズエステだ。都内の店舗で働くBさんは言う。
「店の備品がダウングレードしましたね。お客さんに提供するドリンクは以前ならリアルゴールドやいろはすだったんですが、現在は業務スーパーの激安のお水になりました。ウチの店は、コース料金は変えず、指名料や交通費を少し高くして対応しています」
さらに、値上げに踏み切った別のメンズエステ店のオーナーはこう証言する。
「プレイに欠かせないオイルの値上げが響いています。以前は5Lで4600円だったものが今は5600円。洗体用スポンジも3割ほど高くなりました。やむなく、6月から70分1万2000円だったところを1000円値上げしました」
大阪のメンズエステ「神の領域」に所属するグラビアモデル・岩本和子さんも嘆く。
「細かいところではタオルを入れるポリ袋やマウスウォッシュも上がっています。早めにオイルを発注し、在庫を多めに抱えているため、今は料金据え置きですが、業界的には厳しい状況です。派遣先のホテルでも、最近は備品のタオルやスリッパを廃止していて、影響はひしひしと感じます」
ローションやリネン類の値上げが影響しているのだろうか。ソープランドも大幅に値上げが実施されている。都内に住む男性は言う。
「通っている吉原の高級店のオキニからメッセージが来て、120分で総額6万だったのが、7月から5000円値上げするとのことでした。通うお店のランクを落とすか、頻度を減らすか。悩ましい選択を迫られています」
ほかにも、個室ビデオの金太郎・花太郎グループは7月から値上げすることを発表。ラブホテルも続々と値上げが始まっている。中東情勢だけでなく、人件費の高騰や円安に伴い、夜の娯楽費も今後さらに上昇していきそうだ。ティッシュペーパーも値上がりしている今、セルフケア関連のコストも上昇中するばかり。これからは、真剣に“夜遊び家計”の見直しが必要になってきそうだ。
取材・文・撮影/中山美里(オフィスキング)山口晃平
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