AI音声企業ElevenLabsが、ホメロスの叙事詩「オデュッセイア」を約13時間のオーディオブックとして再構築した。語り手を務めるのは、クリストファー・ノーラン作品の常連として知られる名優マイケル・ケインのレプリカ音声。ノーラン監督による映画版の劇場公開を前に、原作に触れる機会を提供する狙いだ。
同作は6月23日(現地時間)、ElevenLabsのオーディオブックアプリ「ElevenReader」で配信開始された。制作には同社のAIツールが全面的に使われており、登場人物の声はElevenLabsの音声ライブラリから選ばれ、効果音や音楽、スコアも同社の音楽生成ツールによって作られている。ハリウッドのスタジオが映像化に数億ドルを投じるような壮大な物語を、4人のプロデューサーと複数のAIツールで形にした試みとなる。
ElevenLabsのパートナーシップ責任者ダスティン・ブランクは、米バラエティの取材に対し、「私たちのバージョンは、この物語のもうひとつの語り直しであり、非常に力強いものになっていると考えています。作品にふさわしいものになっています」と説明する。今回の「オデュッセイア」には20人のキャラクターが登場し、その声はいずれも同社の音声ライブラリから使用されているという。
ブランクはケインの起用について、「マイケル・ケインは伝説的な存在であり、英国の宝です。彼の声は多くの人にとって特別な意味を持っています。語り手として、この物語を伝えるのに最適な人物だと考えました」と語っている。
ケインとElevenLabsの関係は今回が初めてではない。ケインは昨年、同社の「Iconic Marketplace」に自身の声と肖像をライセンスしていた。同サービスは、企業が商業目的で利用料を支払い、著名人やキャラクターの音声などを使用できるマーケットプレイスだ。今回の企画はその契約を発展させたもので、ブランクは「同意と報酬」に基づく取り組みだと強調している。
ElevenLabsでは、ElevenReaderで声が使用されるたびにクリエイターへ報酬を支払っている。ケインについては、本プロジェクトについて個別に相談を受け、マーケティング素材も承認したという。
ケインは声明で、「『オデュッセイア』は、これまで語られてきた物語のなかでも最も偉大なもののひとつです。約3000年にわたり、忍耐、忠誠、誘惑、そして故郷へ帰りたいという変わらぬ思いといったテーマは、文化や世代を超えて響き続けてきました」とコメント。「古典的な語りとデジタルの革新を結びつけることで、この時代を超えた叙事詩は現代の観客に向けて再構築され、ElevenReaderの最先端技術によって鮮やかに命を吹き込まれています。ElevenProductionsによる『オデュッセイア』の語り直しに参加できたことをうれしく思います」と述べている。
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オデュッセイア
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