【写真】タトゥーがっつり!正統派主人公からは遠いが魅力的なカーミー(ジェレミー・アレン・ホワイト)
ジェレミー・アレン・ホワイトが主演を務めるドラマ「一流シェフのファミリーレストラン」(原題「The Bear」)のシーズン5が6月26日(金)に配信される。同シリーズはジェレミー演じる主人公のシェフ・カーミーを中心に、レストランで働く一筋縄ではいかない料理人やスタッフ、彼らの家族や人生をテーマに描いたヒューマンドラマ。新作が登場するたびに、エミー賞をはじめ、アメリカの賞レースを席巻してきた人気シリーズだ。
主演のジェレミーは、5月22日に日米同時公開されたスター・ウォーズ最新作「スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー」で、ロッタ・ザ・ハットの声を担当したことも話題となったばかり。「一流シェフのファミリーレストラン」ではエミー賞のコメディ・シリーズ部門で2年連続主演男優賞を受賞しており、最新作での演技にも注目されている。今回は、最終シリーズとなるシーズン5の配信を前に、あらためてシーズン1のポイントを解説する。(以下、ネタバレを含みます)
■始まりは亡き兄が残した街の小さなサンドイッチ店
前作のシーズン4では、ミシュラン獲得を目標に掲げるまで大きく成長したレストラン「ザ・ベアー」を基軸にストーリーが展開されていたが、そもそもこの物語の始まりはアメリカ・ニューヨークでシェフとして働いていたカーミーが、亡き兄・マイケル(ジョン・バーンサル)の友人であるリッチー(エボン・モス=バクラック)や、カーミーの下で働きたくてやってきた若手優等生シェフ・シドニー(アイオウ・エディバリー)らと共に、マイケルが遺した借金だらけのサンドイッチ店を再生すべく、奮闘するところからだった。
シーズン1では、シカゴにあるサンドイッチ店がリニューアルする前の出来事を描いており、厨房を舞台にこの店で働く個性の強い料理人たちがぶつかりながら、カーミーと関係を築いていく様子が映し出される。「レストランでの人間模様」と聞くと、“メインディッシュ”はヒューマンストーリーの中においしいフードや、調理風景で見える料理のシズル感から食欲がかきたてられるような描写をイメージしがちだが、そんな想像を“アペリティフ”から裏切ってくるのが本シリーズの大きなポイント。
第1話で人間関係、店の運営体制、経営状況など、考えられることの全てが一触即発で崩れ落ちてしまうような状態が、登場人物たちの行動や会話からひしひしと伝わってくる。まさに“カオス”と言わんばかりの状況に、家族だけでなくスタッフたちも愛していたマイケルの死への悲しみが加わり、カーミーを筆頭に気持ちが追いついていない彼らのぴりついた雰囲気がリアルに表現されている。
それでも生活は続き、サンドイッチ店を再生すべく、前に進まないといけないカーミーは、シドニーと共に働き方改革を行っていく。しかし、それですんなりと見直されていかないのがシーズン1の見どころだ。
他の料理人やスタッフたちは、実力がないわけではないが、秩序があるようでない、店独自のルールによって自分の持ち場で居心地のいい働き方をしていたため、当然のようにぶつかり合う。ここでくぎ付けになってしまうのが、全シーズン通して言える中毒性の高い“会話劇”。幕開けと同時に“F”ワード連発で繰り出す迫真の“口論”は、カーミーVSリッチー、リッチーVSシドニー、カーミーVSシドニーなど、あちらこちらで勃発し、見ている側も巻き込まれるのではないかと、息をのむほど。
特に第7話「レビュー」では、全21分のうちのほとんどを厨房内で立て続けに起きるハプニングの様子をワンカットで撮影しているだけでなく、パニック状態になった料理人たちの“会話劇”も次々と飛び出し、大混乱に陥る厨房での役者たちの演技はすでにミシュラン“三ツ星”レベルだ。
■臨場感ある“口論”シーンも話題に
各エピソード30分ほどの中で、役者同士の息の合ったセリフの掛け合いは、演技とは思えないほどの迫力&スピード感とともに次々とあふれ出し、とんでもないカオスを画面越しに感じることができる。
その一方で、各キャラクターが衝突する理由の根源は、自分たちのレストランへの愛から来ているものだということも回を重ねるにつれて伝わってくる。不器用ながらも同僚たちを家族同様に思う温かさが要所要所に垣間見えるのも、この物語の読後感ならぬ“視聴後感”の良さにつながっている。気付けばキャラクターたちに感情移入し、レストランの再生だけでなく、彼らの人生を見届けたくなるような人間味がこの作品には詰まっている。
マイケルが残したのは借金ばかりかと思いきや、彼が残した大金がトマト缶の中から発掘される。カーミーはその資金を手に、一念発起してサンドイッチ店をリニューアルオープンしようと心に決めるまでがシーズン1の大まかなストーリーだ。
シーズン2では、リニューアルオープンに向けて切磋琢磨し、シーズン3ではリニューアルオープンしたレストラン「ザ・ベアー」での奮闘ぶりを中心に、各料理人たちの人生もフォーカスされ、彼らの人間模様がより濃く描かれた。
そしてシーズン4では、経営難を理由に「ザ・ベアー」は閉店せざるを得ない状況になるだけでなく、全ての責任を感じたカーミーがレストランから離れるというラストを迎えた。
いよいよ最終シーズンとなるシーズン5は、カーミーが飲食業界を離れ、副料理長のシドニーと、カーミーの姉で店の共同オーナーだったナタリー(アビー・エリオット)に、「ザ・ベアー」を譲った翌朝から物語が始まる。資金がない上に、売却危機に追い込まれながらミシュラン獲得を目指してもがくスタッフたち。やがて、レストランを「完璧」にするのは“料理”ではなく、そこにいる“人”であることに気付き始めていく――。
幾度となくぶつかり合ってきた料理人たちが人生を捧げた「ザ・ベアー」と歩む日々、運命、そしてカーミーの行く末が気になる最終シーズン。そんな彼らの始まりの物語をもう一度振り返り、成長ぶりをかみ締めてみるのも良いだろう。
「一流シェフのファミリーレストラン」シーズン5は、6月26日(金)に全8話一挙配信。その他のシーズンもディズニープラス スターで独占配信中。
◆文=suzuki
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