ジェームズ・キャメロン監督の最新作「アバター ファイヤー・アンド・アッシュ」が、ディズニープラス「スター」で見放題独占配信されている。そこで「タイタニック」の公開から約30年、常に映画界に革命を起こし“キング”として君臨し続ける名匠のキャリアを、壮大な映像叙事詩である「アバター」シリーズから、タコの生態に迫ったネイチャードキュメンタリーまで、監督&プロデュース作品で振り返りたい。紹介する作品は、全てディズニープラスで配信中だ。
●1.「タイタニック」
1912年に実際に起きたタイタニック号沈没事故を題材にした壮大な愛のドラマ。第70回アカデミー賞で作品賞をはじめ、歴代最多タイとなる11部門に輝いた名作で、全世界歴代興行収入ランキングでは、「アバター(2009)」「アバターウェイ・オブ・ウォーター」などに続き、現在でも第5位を堅持する大ヒット作だ。
主演のレオナルド・ディカプリオとともに当時、大ブレイクを果たしたケイト・ウィンスレットは「アバターウェイ・オブ・ウォーター」でロナルを演じ、キャメロン作品に再登場。同作のメイキング・ドキュメンタリー「アバターディープ・ダイブ」(ディズニープラスで配信中)では、「タンクは巨大だけど、安全で信じられないほど穏やかだった。沈没船で7カ月過ごした、コルセット生活よりはマシだった」と振り返っている。
●2.「エイリアン2」
「ターミネーター」(1984)で脚光を浴びたキャメロン監督が挑んだSF超大作。本作に続き「ターミネーター2」(91)も成功に導いたキャメロン監督は当時、続編ヒット請負人とも呼ばれていた。
惨劇から57年後。唯一の生存者である航海士リプリーは、催眠カプセルのなかで眠りながら宇宙空間を漂流しているところを発見される。目覚めたリプリーは、自分たちがエイリアンと遭遇した惑星LV-426が、いまは植民惑星になっていることを知り、がく然とする。
主演を務めたシガニー・ウィーバーは、「アバター(2009)」で植物学者のグレイス・オーガスティン博士を演じた。同作でグレイスは命を落としたが、ウィーバーは「アバターウェイ・オブ・ウォーター」、そして最新作「アバターファイヤー・アンド・アッシュ」で、グレイスのアバターから誕生したナヴィの少女キリ役を務めている。
●3.「アビス」
キャメロン監督がこよなく愛する深海を舞台にした、海洋版「未知との遭遇」とも言えるSF超大作。行方不明になった米・原子力潜水艦救出指令を受けた深海油田発掘基地“ディープ・コア”のクルーと海軍ダイバー・チーム“シール”は、恐るべき水圧で人類を拒むアビス(海溝)へと足を踏み入れ、そこで未知の生物に遭遇する。
リアリティを追求し、実際に水中で撮影を敢行。一方、当時最先端の映像技術だったモーフィングを駆使し、自在に姿かたちを変える未知の生物を生み出した。本作での成果は、「ターミネーター2」における液体金属のボディを持ったT-1000の表現にも活用され、その後のSF映画にも多大な影響を与えた。
●4.「トゥルーライズ」
キャメロン監督とアーノルド・シュワルツェネッガーと再タッグを組んだスパイアクションコメディ。妻や子にも正体を隠し、家族思いの父親と凄腕の秘密諜報部員という二重生活を送るヒーローの活躍をアクションとユーモア豊かに描いた。
一見、キャメロン作品としては異質に思えるが、クライマックスに登場する本物の戦闘機「ハリアー(AV-8B)」の描写をはじめ、兵器やメカに対するこだわりはすさまじく“ミリヲタ”ぶりを発揮。「エイリアン2」のリプリー、「ターミネーター2」のサラ・コナーに代表される“戦う女性”への覚醒など、キャメロンの作家性が随所に散りばめられている。
●5.「ソラリス」
原作はスタニスワフ・レムの小説「ソラリスの陽のもとに」。アンドレイ・タルコフスキー監督の「惑星ソラリス」に続き、2度目の映画化となった。監督はスティーブン・ソダーバーグ。もともとは、キャメロンが映画化権を持っていたが「ソダーバーグなら」とメガホンを譲り、自身はプロデュースに回った。
惑星ソラリスの探索宇宙船に乗る友人から助けを求める連絡を受け、船を訪れた精神科医ケルビン(ジョージ・クルーニー)。彼はそこでかつて自殺した妻そっくりの存在に出会う。ケルビンはその存在と新たな関係を築こうとするが……。
●6.「アバター(2009)」
キャメロン監督が「タイタニック」以来12年ぶりに放つ、デジタル3DによるSF超大作。地球から遠く離れた神秘の惑星を舞台に、自らの分身となる“アバター”を操り、星の先住民ナヴィ族と交流する主人公が、人類とナヴィとの戦争に巻き込まれていく姿を壮大なスケールで描く。全世界歴代興行収入ランキングでは、現在も首位に君臨している。
俳優の演技をデータ化するパフォーマンス・キャプチャーを進化させたエモーション・キャプチャーや、撮影をしながら合成後の映像を確認できる新システムが、世界中の映画ファンを惑星パンドラへと誘い、映像革新の新たな1ページを更新。第82回アカデミー賞で撮影賞、美術賞、視覚効果賞の3部門に輝いた。
●7.「タイタニック号最後の謎に迫る」
キャメロン監督が大ヒット作「タイタニック」の製作時に下した重大な決断を振り返る。沈没直前の数時間を忠実に再現し、事実を映像として蘇らせるため、可能な限りディテールを追求したと振り返るが、完成後も「本当に歴史に忠実だったのだろうか」と疑問を抱いていた。
そこで、水中撮影やコンピューターによるシミュレーション、学術的な発見を通して、悲劇的な出来事の謎を解明し続けるタイタニック号の再調査について、ナショナル ジオグラフィックの専門家チームと共に考え、検証していく。そんな探求の旅路には、犠牲者に対する畏敬の意味も込められていた。
●8.「アリータバトル・エンジェル」
キャメロンの製作&脚本によって、木城ゆきと氏原作のSFアクション漫画「銃夢(がんむ)」を実写映画化した。「アバター(2009)」で革命を起こしたパフォーマンス・キャプチャーの技術が、本作でさらに高精度に進化。俳優の顔を標準画質のカメラ1台で捉えた「アバター(2009)」に対し、本作は2台のHDカメラを使用し、毛穴の動きや目の潤みまで詳細に記録した。
その映像革新は「アバターウェイ・オブ・ウォーター」に受け継がれ、さらなる進化を遂げることに。その意味で、「アバター」シリーズを支える“実験室”ともいえる作品だ。サイボーグの少女アリータと、彼女に恋する青年ヒューゴの関係性と切ない結末に、多くの映画ファンは「タイタニック」を連想したはずだ。
●9.「ターミネーターニュー・フェイト」
キャメロン監督が生み出したSFアクション「ターミネーター」のシリーズ通算6作目で、シリーズ最高傑作の呼び声が高い「ターミネーター2」の正当な続編として製作された。キャメロン自身がプロデューサーとなり、「ターミネーター2」以来にシリーズの製作へ復帰。ティム・ミラー監督(「デッドプール」)が新たにメガホンをとった。
人類が滅亡する“審判の日”は回避したと思われたが、その危機はまだ終わっていなかった。リンダ・ハミルトン演じるサラ・コナーも28年ぶりにカムバック。シリーズの顔であるT-800を演じるアーノルド・シュワルツェネッガーも出演している。
●10.「クジラと海洋生物たちの社会」
長年にわたる潜水調査の経験を通して、自然保護活動にも熱心なキャメロンが製作総指揮を務めたナショナル ジオグラフィックのドキュメンタリーシリーズ(全4話)。世界24カ所で、3年以上かけて、オルカ、ザトウクジラ、ベルーガ、イッカクジラ、マッコウクジラに密着し、彼らが人間の想像を超えたコミュニケーションスキルを駆使し、グループ内でサインを共有しながら、ひとつの“社会”を築き上げる姿を、驚きと感動の映像美で捉えている。シガニー・ウィーバーがナレーションを担当している。
●11.「アバターウェイ・オブ・ウォーター」
前作「アバター(2009)」から10年後、人間の体を捨てて先住民・ナヴィになった元海兵隊のジェイク(サム・ワーシントン)は、神秘の星・パンドラの森で家族を築くが、再び地球人の侵略が始まり、ジェイクと家族は、遥か彼方にある海の一族のもとに身を潜める。しかし、楽園のように美しい海にも敵の手が迫り、家族や仲間の絆の力が試される新たな戦いが始まる。
本作でもキャメロン監督の理念である“自然の調和と生命の循環”が色濃く反映されている。自然と共生するナヴィの姿はもちろん、トゥルクンという海洋生物の乱獲を通して、人間の植民地主義による搾取と脅威にも言及。「ウェイ・オブ・ウォーター」というタイトルには、「水には始まりも終わりもなく、全てをつなぐ」普遍的なメッセージが込められている。
●12.「神秘なるオクトパスの世界」
キャメロン監督が「アバターファイヤー・アンド・アッシュ」の再撮影を中断し、エグゼクティブ・プロデューサーとして取り組んだナショナル ジオグラフィックのネイチャードキュメンタリー。タコが道具を使いこなし、体を変形させて他の動物を擬態し、人間を含め、異なる種とコミュニケーションをとることさえできるという、想像を超えた秘密を解き明かす。タコの特製であるカモフラージュ、タコの知性、タコの社交性という3つのエピソードで構成されている。
●13.『独占!「ジョーズ」50周年スピルバーグが語る伝説の裏側』
スティーブン・スピルバーグ監督の出世作である「ジョーズ」の舞台裏に迫るドキュメンタリー。同作は1975年に公開され、パニック映画の金字塔にして、サメ映画の始祖として映画史に名を刻んだが、本ドキュメンタリーでは、スピルバーグ自らが製作に参加し、これまで明かされることのなかった製作秘話と貴重な未公開映像を通じて、ブロックバスター映画の原点とも呼べる同作の革新性を検証する。
キャメロン監督をはじめ、ジョージ・ルーカス、ロバート・ゼメキスといった名だたるフィルムメーカーがインタビューに応じ、「ジョーズ」がもたらした影響とインパクトについて語っている。
●14.「ミツバチのひみつ自然界の小さなヒーロー」
キャメロンが製作総指揮を手がけ、地球上で最も重要な生き物の1つとも言われる“ハチ”の驚くべき生態に迫ったドキュメンタリー作品。3年以上の歳月をかけ、特殊カメラを使って、ハチの巣の内部に密着。その知られざる世界を明らかにしていく。
かつて、ミツバチを「プログラミングが組み込まれた小さなルンバ」のような存在だと思い込んでいたと振り返るキャメロンは、本作の制作を通じて、彼らが高度な学習能力を持ち、個体間のコミュニケーションによって受け継がれる「文化」を持っている事実に衝撃を受けたと明かしている。
●15.「アバターファイヤー・アンド・アッシュ」
ジェイクの家族を襲った悲劇から数週間後。人間が再び海の種族メトカイナの集落を襲うことを避けるため、旅立ちを決意した彼らの前に、火山に住む敵対的なナヴィ、アッシュ族が立ちはだかる。噴火によって故郷が灰と化したアッシュ族は、パンドラの精霊であるエイワを元凶だと考え、強く憎んでいた。アッシュ族の長・ヴァランは、パンドラの天然資源を一刻も早く必要とする地球人と手を組んで、ナヴィ同士の“炎の決戦”を仕掛ける。
視覚効果のショット数は3300を超え、視覚効果を含まないショットはわずか7ショット(合計約11秒)というこだわりぶり。大空を行き交う遊牧族も登場し、空を舞う新たな巨大生物や乗り物、青空をバックにした鮮烈なアクションシーンも繰り広げられる。過去最多となる536体のナヴィの大群衆が登場するシーンも圧巻で、第98回アカデミー賞(2026)の視覚効果賞を受賞。シリーズ3作品全てが同賞に輝くという快挙を達成している。
【作品情報】
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惑星ソラリス
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