グーグルが、インディペンデント映画の名門A24に出資し、AIによる映画制作ツールを共同開発すると発表した。出資額は7500万ドル(約121億円)にのぼり、まずは絵コンテの自動生成から取り組むという。
A24といえば、アカデミー賞作品賞に輝いた「ムーンライト」や「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」、アリ・アスター監督の「ミッドサマー」など、作家性の強い作品で知られる独立系スタジオだ。2012年に設立された米国の比較的若いスタジオながら、大手とは一線を画す尖った作品で、インディペンデント映画の旗手としての地位を築いてきた。直近では、ネット発の都市伝説を映画化したホラー「Backrooms(原題)」を手がけている。
今回の提携は複数年にわたる非独占的なもので、グーグルのAI部門であるディープマインドの研究者と、A24のクリエイターが協力して制作ツールを開発していくという。第一弾として想定されているのは、頭に浮かんだイメージを自動で絵コンテに起こす機能だとされる。
A24の技術部門A24ラボを率いるスコット・ベルスキーは、AIとの向き合い方についてこう語る。
「創作の主導権を守り、思い切った挑戦を後押しする、もっと良い使い道があるはずだ。私たちが作ろうとしているのは、プロンプトを打ち込んで何かを生成するようなAIとは、似ても似つかないものだ」
ただし、グーグルはこの出資でA24の作品やデータを手に入れるわけではない。作品をAIに学習させる素材として囲い込むのではなく、あくまでツールを共同で開発するための出資だという。
ディープマインドのイーライ・コリンズ副社長は、提携の狙いをこう語る。
「最高の頭脳の手に技術を委ねてこそ、大きな飛躍は生まれる」
映画界では、AIの活用をめぐって賛否が激しく分かれている。「タクシードライバー」のマーティン・スコセッシ監督のように、自作の絵コンテづくりにAIを取り入れる作り手がいる一方で、「シェイプ・オブ・ウォーター」のギレルモ・デル・トロ監督のように、強く反対する声も根強い。そうしたなかでA24は、作品やデータを手放さないという条件で、AIとの新しい付き合い方を探ることになりそうだ。
【作品情報】
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス
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