「ミッドサマー」「ヘレディタリー継承」などで知られる気鋭の配給会社A24と「TALK TO ME トーク・トゥ・ミー」のダニー&マイケル・フィリッポウ兄弟がタッグを組んだ「ブリング・ハー・バック」が、7月10日に公開される。映画.comでは、フィリッポウ兄弟のオフィシャルインタビューを入手。、新たに描き出す“儀式体験ホラー”の内幕を語っている。
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【動画】「ブリング・ハー・バック」予告編
【「ブリング・ハー・バック」概要】
「TALK TO ME トーク・トゥ・ミー」で長編映画デビューを果たした双子の兄弟ダニー&マイケル・フィリッポウ監督によるホラー。
兄のアンディ(ビリー・バラット)と目の不自由な妹のパイパー(ソラ・ウォン)は父親が亡くなり、里親ローラ(サリー・ホーキンス)のもとで暮らすこととなった。そこには言葉を話さない男の子オリヴァー(ジョナ・レン・フィリップス)が一緒に住んでいた。ローラの過剰ともいえる愛情にアンディが違和感を覚えるが、彼女のもとで兄妹の新たな生活がスタートする。ある日を境に、この家で不穏な出来事が次々と起こる。さらに、家の周辺の点在する謎の円のモチーフ、そしてオリヴァーの存在。無関係に思えたそれらがすべてつながった時、それまで隠されていたローラのある「恐るべき願い」が明らかとなる。
――本作のきっかけは「障害のある友達の妹が、一人でバスに乗りたがった」という実話だったと伺いました。優しいエピソードから、ホラー映画に落とし込んだ理由を教えてください。
ダニー:一番好きなジャンルだから、というのが理由のひとつです。自分が自信を持って表現できるジャンルでもあります。もちろん出発点はあの実話でしたが、それだけでなく、いくつもの要素にインスパイアされ、それらを繋ぎ合わせて本作が生まれました。
――ビデオに収められた儀式の手順について、どのようなインスピレーションから考案されたのでしょうか。また、明確な手順があれば教えてください。
ダニー:ネット上で、意味も出どころも分からない謎の映像に遭遇することって、よくありますよね。それが何を意味し、どこから来た映像なのか分からないからこそ、より怖い。今回のローラは、カルトの儀式の専門家でもなく、その内容をよく理解しているわけでもありません。だからこそ、チュートリアル動画や共有動画のように、映像を見ながら一歩ずつ手順を追っていく、その様子が恐怖を増していると思います。自分のしていることをコントロールできていない、という意味でもとても怖い。だからこそ、ああいうビデオを用いました。
マイケル:自分の娘を撮ったビデオを見るのは、比較的健康的な悲しみ方だと思います。一方で、こうした儀式の映像を見ながら悲しみを癒やそうとするのは、かなり不健全な方法です。その対比も込めています。
――オリヴァーは作中ほとんどセリフがありませんが、ジョナ・レン・フィリップスから“言葉を使わない芝居”を引き出すために、彼と話したこと、意識したことがあったら教えてください。
ダニー:彼はとても才能のある役者で、体を使った表現がうまいんです。オーディションでは、ほかの子役たちと同じくセリフのない、泥の中で転がり回って叫ぶシーンを演じてもらいました。そのとき彼が感情を剥き出しにして素晴らしい演技を見せてくれて、「彼しかいない」と思いました。
――ソラ・ウォンさんも初演技と思えない才能でした。実際に視覚障害を抱えながら、作品の中の一つのテーマ「見えるものと見えないものの曖昧な境界」を体現していました。彼女を起用したことと作品テーマが合致していたことに理由はありますか?
ダニー:リアルさを追求するうえで、視覚に障害のある役者を起用することは大切でした。カメラの前でリアルに演じてもらうための重要な要素だったんです。彼女は今回が初めての演技でしたが、とてもやりやすく、積極的に果敢に攻めてくれました。スタントもすべて自分でこなしていて、丘を転がり落ちていくシーンなどは、僕たちが止めなければいけないほど、どんどん下っていってしまう。それだけ勢いのある役者でした。とても前向きに臨んでくれたので、こちらもやりやすかったです。撮影の合間には、お兄さん役のビリーといつも喧嘩のようにじゃれ合って、楽しそうにしていたのも印象的でした。
――本作の舞台は「里親の家」という本来なら子どもを守るはずの場所ですが、安全であるはずの家庭を恐怖の舞台に選んだのはどんな思いからですか?
ダニー:本作が描いているのは深い悲しみに暮れ、その悲しみに蝕まれていくような苦しみを抱えた人たちだということ。それが家庭内で起きているからこそ、家庭が舞台になりました。アンディも、自分が受けてきた虐待と向き合わなければなりません。妹には隠していましたが、ひとりのモンスターの家からもうひとりのモンスターの家へ移ることで、自分の過去と直面することになるんです。そうしたさまざまな要素から、家庭・家が舞台になりました。
マイケル:家庭の中で悲劇が起きているということ。ローラはその悲劇を抱え、そこから逃げ出せずにいます。大きな窓のある独特な家ですが、そこに留まり続けている。だからこそ、その家庭・家の中で物語を展開させていきました。
――「TALK TO ME トーク・トゥ・ミー」との世界観の関連性も感じました。その点については意識されていましたか?
ダニー:実は「TALK TO ME トーク・トゥ・ミー」と「ブリング・ハー・バック」は、同時並行で書いていたんです。だから兄弟、あるいは姉妹のような映画と言えると思います。片方の脚本で行き詰まると、もう片方に切り替えて書き進める、ということをしていました。同じDNAを共有していると言えますし、必然的に同じ世界観になっているのだと思います。
マイケル:まあ、それだけダニーが芸がないってことなんだけどね
一同:笑
――円が象徴的にモチーフとして登場しますが、意図するところを教えてください。
ダニー:円には「繰り返し」、永遠に続いていくものという意味があります。悲しみはなかなか抜け出せないもので、誰もがその中をぐるぐると回り続けてしまう。そうした状況を円で表しています。アンディについて言えば、虐待を受け、この家でもまた虐待を受け、それをパイパーに向けてしまうという、終わらない円。いくつもの意味が込められていますが、そういったところから来ています。
――二人で監督することの利点を教えてください。長編2作目で進化していましたか?
ダニー:幼い頃から一緒に映像を撮ってきたので、関係性そのものは特に変わっていません。ただ、以前よりもお互いに言いたいことをはっきり言えるようになったかな。
マイケル:監督という仕事は本当に作業量が多いので、同じビジョンを持ちながら別々の作業を分担できるのはメリットだ、ということ。たとえばポストプロダクションでは、ビジュアルエフェクトをダニーが、サウンドと音楽を自分が担当する。そうやって分担し、それぞれが集中して取り組めるのが、二人で監督することの利点だと思います。
――監督たちが今叶えたいお願い事を教えてください。
ダニー:今この瞬間自体が夢の中にいるように感じます。幼い頃から映画を作りたいと思い、それを映画館で上映することを夢見ていたので、とても光栄で、願い事はすべて叶っていると感じています。
マイケル:自分たちのアイデアがこうして映画としてスクリーンで上映されるのは子どもの頃から思い描いていたことで、しかも多くの人に信頼され、やりたいことをやれている。だからこれ以上の願い事はないです。
――日本で本作を待っている皆さんにダニー、マイケルそれぞれからメッセージをお願いします。
ダニー:日本の劇場で上映できることをとても光栄に思っています。皆さんをがっかりさせないといいのですが…。
マイケル:日本が大好きで、日本のホラーも大好きなので、皆さんの期待に応えられていることを願っています。
【作品情報】
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ブリング・ハー・バック
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