「マトリックス」のリリー・ウォシャウスキー監督が、自ら脚本を書いた政治サスペンス「The Hunted(原題)」の企画を進めていると、米デッドラインが報じた。近未来のアメリカを舞台に、トランスジェンダーの人々が直面する現実に正面から踏み込む内容になるという。
物語の舞台は、自由が奪われた近未来のアメリカだ。トランスジェンダーの人々が暴力にさらされ、社会の片隅に追いやられた世界で、2人のトランス女性が、政府の中枢につながる凄惨な事件の真相を追う物語だという。圧政に立ち向かう市民を描いた「Vフォー・ヴェンデッタ」の系譜に連なる作品になるとされる。脚本はウォシャウスキー監督とマイキー・R・マホーニーが共同で書き、製作には「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」のナターシャ・リオンらが名を連ねる。
「マトリックス」3部作は、ウォシャウスキー監督が姉のラナ・ウォシャウスキー監督とふたりで撮った作品だ。だが長編映画としては2015年の「ジュピター」を最後に、ウォシャウスキー監督は第一線から距離を置いていた。21年のシリーズ最新作「マトリックスレザレクションズ」も姉のラナ監督が単独で監督し、妹である本人は加わっていない。16年にトランスジェンダーであることを公表した前後の心労などから、いったん映画づくりから離れていたのだという。
その「マトリックス」3部作を、ウォシャウスキー監督はのちに「トランスジェンダーの物語だった」と認めている。抑圧された者が本当の自分に目覚め、巨大なシステムに立ち向かうという物語は、性自認をめぐる寓話としても読み解ける。当事者として自らの代表作にその主題を込めてきた監督が、いまふたたび、迫害そのものを正面から描こうとしている。
ウォシャウスキー監督は、この企画に込めた思いをこう明かしている。
「性的マイノリティには、つながりを求める切実な思いがあります。とりわけトランスジェンダーにとって、いまその必要性は痛切です。私たちの命が、文字どおりそこにかかっているのです」
「The Hunted」はまだ開発途上にあり、製作が正式に動き出すのはこれからだ。まずは8月、ロサンゼルスで脚本の朗読会が開かれる予定だという。
【作品情報】
・
マトリックス レザレクションズ
【関連記事】
・
「マトリックス5」製作へ「キャビン」のドリュー・ゴダードが監督
・
リリー・ウォシャウスキー、クィア映画「Trash Mountain」を監督
・
【最新版】本当に面白いおすすめ映画ランキングTOP30絶対に何度も見るべき“傑作”を紹介
Photo by Amy Sussman/Getty Images