ワールドカップ通算1000試合目という歴史的な一戦で、日本は4-0という大差でチュニジアを下した。試合後、日本コールで盛り上がるメキシコ人サポーターの間を縫って、私はミックスゾーンへと向かった。意気消沈したチュニジアの選手から言葉を引き出すのは至難の業だったが、それでも監督や数人の選手から話を聞くことができた。
まずはこの試合の数日前に監督に就任したエルヴェ・ルナール監督からだ。
「この結果に反論の余地はない。今日、我々はアジア最強のチームと対戦し、その実力差は歴然としていた。それは数字にも如実に表れている。日本が見せたレベルに到達するまでには、チュニジアはかなりの努力をしなければならないだろう。鎌田(大地)や上田(綺世)の強さ、そして日本の完ぺきなマークには正直、驚かされた。チュニジアの選手たちは常に2、3人の日本選手に囲まれていて、そのため攻撃を組み立てるのは非常に困難だった。何度かはそのマークを突破し、あと少しでゴールできそうな場面もあったが、得点に結びつけることはできなかった」
鎌田大地の先制ゴールを見送るチュニジアの選手たち photo by JMPA
そして、日本の早い時間の先制点が、チュニジアにかなりのダメージを与えたことを認めている。
「我々は日本を封じ込め、試合の流れをつかむ準備はできていた。だが、その矢先の先制点だ。あのゴールは誰にとっても驚きだった。たぶん日本にとってもそうだったのではないかと思う。そしてその瞬間から、我々の選手たちは同点に追いつこうと焦り始めた。しかし結局は再び日本のテクニックに圧倒され、2点目を許してしまった。このふたつのゴールが、試合全体を変えてしまった。我々はこれほど早い時間から2点を追う準備はできていなかった。日本の3点目はまさに我々の混乱から生まれた」
フランス人監督は、4-0で終えたことは幸運だったとも言う。
「点差がさらに広がらなかったことには私は満足している。絶望的な状況にあっても、チュニジアの選手たちはこのすばらしいチームを止めることができたからだ。とにかく日本は今大会できっとすばらしい活躍を見せてくれるだろう」
【「試合に集中できなかった」】堂安律と同じフランクフルトに所属するキャプテンのエリス・スキリはかなり落ち込んでいる様子で、話も悲観的だった。
「今日は私の人生の一番悲しい日となっただけでなく、チュニジアサッカーの歴史のなかで最も悲しい日となってしまった。我々は日本のテクニックの足元にも及ばなかった。きっと彼らにとって、チュニジアは楽勝の相手だったろうね。ヨーロッパのクラブで活躍する選手を多く擁する日本にとって、こんな弱いチームなんてね......。4-0の結果がそれを物語っているよ」
チュニジアのキープレーヤー、ハンニバル・メイブリも私の問いに答えてくれた数少ない選手のひとりだ。彼は率直にチームの置かれていた状況を語ってくれた。
「残念ながら僕たちは試合に集中することができなかった。チーム内は準備期間から混乱していて、サッカー以外にも考えなければいけないことが数多くあり、結局そのつけをワールドカップで払わされる結果となってしまった。チュニジアはスウェーデンや日本にこれほど大差をつけられて負けるはずのチームではなかった。でも、感情的な部分で本当の『チーム』は存在しなかった。かなりの努力はしたけれど、ワールドカップレベルの大会では、内部の問題は結果にダイレクトに表れてしまう。スウェーデン戦では1点は返すことができたが、日本戦ではいいところまでいったものの、無理だった。とにかくこれがこのワールドカップのチュニジアだった」
先発した23歳のFWセバスチャン・トゥネクティはセルティックで前田大然のチームメイトでもある。
「僕たちのゴールに日本を近づけないために、チュニジアは5-4-1のかなりディフェンシブなシステムで臨んだ。しかし、チュニジアはミスを犯し、日本はそれを見逃さなかった。僕は日本サッカーのファンで、日本の選手のこともよく知っている。試合前に、それぞれの選手がどんな特徴を持っているのかを皆に説明したのも僕だった」
【「日本を応援し続けるつもりだ」】トゥネクティはこう続けた。
「とにかく早い段階での失点が僕たちを打ちのめした。チュニジアには勝利が必要で、カウンターで攻めようと思っていたのに、逆にそれを日本にやられてしまった。今日の日本の勝利に水を差すつもりはない。でも僕らは、ピッチに立っていても、ほとんど存在していないような状態だった。日本は我々の苦境――テクニックにおいてもメンタルにおいても本当に深刻な状況を、うまく利用したと思う。僕は今後もずっと日本を応援し続けるつもりだ。日本のサッカーはクリーンでスピーディーな、見ごたえのあるものだからね」
一方、チュニジアの新聞『ラ・プレス』はこの日のチュニジアを「見知らぬ者たちの集まり、プロ意識に欠けるサッカー選手たち」と酷評した。また、サイドバックのアリ・アブディが、地面に倒れていた伊東純也に手を差し伸べたあと、彼に向けてボールを落としたことも厳しく非難している。チュニジアのコメンテーターたちはこのシーンを、今のチュニジアが直面しているメンタルの不安定さと戦術的な無策の象徴だと評した。
さて、最後に私の感想もつけ加えておきたい。オランダ戦の日本は組織力があり、勇敢なチームだった。結果に追われる形で弱さを見せる瞬間はあったものの、日本代表はどんなチームにも立ち向かえることを証明した。チュニジア戦でも強固で組織的なプレーは健在で、鎌田、伊東、そして何よりも天才的な上田のおかげで、日本は勝利を収めた。
だが多少、腑に落ちない時間帯があった。この日のチュニジアは満身創痍の、まったくの混乱状態だった。だがそんなチームを相手に、後半の日本は非常に不可解な姿を見せた。チュニジアに、あと一歩でゴールを決められそうになる場面さえあった。守備はまったく機能していなかった。チュニジアは攻撃の両サイドでスペースを見出し、日本はペナルティエリア内でのみボールを奪い返すことができていた。こうした気の緩みは要注意だ。
次戦はスウェーデンのバイキングたちがやってくる。日本は引き分けでも予選通過が決まるが、オランダに大敗して傷ついたスウェーデンにとっては、日本戦はまさに名誉をかけた戦いとなる。チュニジア戦の大勝はいったん忘れて次に臨むことが望ましい。まあ、日本に関してそれは杞憂だと思うが――。
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