アメリカには「オヤジ映画」(英語でダッド・ムービー)と呼ばれる、ある年代の男性が愛してやまない作品群がある。西部劇や戦争もの、ときに人知れず涙する「男泣き」映画まで、その顔ぶれは幅広い。米紙ニューヨーク・タイムズが、こうした「オヤジ映画」の定番といえる名作を選び、紹介している。
「オヤジ映画」とは、父親世代の男性が好んで観る映画の総称だと、同紙は説明する。はっきりした境界はなく、「観ればわかる」ものだという。西部劇は男らしさをめぐる物語として、戦争映画は男たちの友情や勇気、喪失を描く作品として、昔から父親たちに愛されてきた。野球をはじめとするスポーツものも定番だ。同紙はこのリストを父の日に合わせて企画しており、こうした映画の多くは、父から子へと受け継がれてきた鑑賞体験でもあるという。
数あるなかでも、同紙が「最もオヤジ映画らしい一本」に挙げるのが、ジェームズ・キャメロン監督の「ターミネーター2」(1991)だ。少年ジョン・コナーには、父親がいない。彼を守るために送り込まれた殺人マシン、T-800(アーノルド・シュワルツェネッガー)が、いつしか父親の役割を担っていく。機械でさえ子を愛し、守り抜くことを学べるのなら、人間にできないはずがない。そんな問いかけこそが、この映画をオヤジ映画の頂点に押し上げていると、同紙は評している。
オヤジ映画に欠かせないのが、思いきり泣ける一本だ。同紙が「男泣き映画の頂点」と呼ぶのは、亡き父との関係を描いた「フィールド・オブ・ドリームス」(1989)だ。トウモロコシ畑に野球場を造る農夫をケビン・コスナーが演じた、父と子の和解の物語である。フランク・ダラボン監督の「ショーシャンクの空に」(1994)も、囚人同士の友情を通して同じ涙腺を刺激する一本に挙がっている。実話をもとにした宇宙ドラマ「アポロ13」(1995)で、トム・ハンクスらの生還を見届けた管制官(エド・ハリス)が静かに目をぬぐう場面を、同紙は「オヤジ映画で最も感動的な瞬間」とまで評する。
泣かせるばかりではない。腕利きの男たちが集まり、不可能な任務に挑む物語も、オヤジ映画の王道だという。スティーブ・マックィーンらが捕虜収容所からの脱走をくわだてる「大脱走」(1963)は、その代表格に挙げられている。冷戦下の緊迫を描いた潜水艦サスペンス「レッド・オクトーバーを追え!」(1990)も並ぶ。このほか代替の定番として、「ダイ・ハード」(1988)や「グラディエーター」(2000)、父子の確執を軸にした「ゴッドファーザー」(1972)といった、日本でもおなじみの名作が挙げられている。
父から子へ、世代を超えて受け継がれてきたのがオヤジ映画だ。気になる一本を、家族で囲んでみるのもいいかもしれない。
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グラディエーター
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