日経平均株価が最高値を更新するなど株高が続くなか、普通の会社員でも純金融資産1億円を突破する「いつの間にか富裕層」と呼ばれる人が増えている。SPA!は純資産1億円を達成した会社員658人に調査を実施。彼らが“億り人”になれた秘訣に迫った!
資産1億円を達成できた「最大の要因」
資産1億円を達成した人にとって何が「最大の要因」になったのか。SPA!が首都圏在住の純金融資産1億円超の会社員658人を調査したところ、最も多かった回答が「徹底した節約・貯金」で、24.3%を占める。次いで多かったのが「個別株投資」(23.3%)で、3位の「インデックス投資」(12.5%)が続く(Q1)。
Q1.資産1億円を達成した「最大の要因」は何ですか?
徹底した節約・貯金24.3%
個別株投資23.3%
インデックス投資12.5%
持株会・ストックオプション10.2%
不動産投資9.6%
FX・暗号資産8.9%
副業・事業収入6.4%
その他4.8%
やはり“億”への道は節約から。日常でムダと感じる支出を聞くと、1位が「銀行の手数料」、2位「Uberなどの宅配サービス」、3位「急な雨の日に買うビニール傘」などが上位に(Q2)。
Q2.日常で“ムダ”と感じる支出は?(複数選択)
銀行の手数料211人
Uberなどの宅配サービス193人
急な雨の日に買うビニール傘187人
ソシャゲ課金160人
コンビニの買い物152人
タクシー146人
家電量販店などで勧められる「延長保証」オプション145人
モバイル充電器レンタルサービス141人
会社の飲み会代139人
レンタル電動キックボード134人
手数料や信託報酬などのコストに敏感
お金はまとめて引き出す、一時の利便性のためのお金は使わないといった些細な支出でも減らす努力がうかがえる。
「投資で資産を増やしている人は、手数料や信託報酬などのコストに敏感です。これらは、家計でいえば住居費や光熱費、携帯電話料金などの固定費。圧縮する意識は高く、そもそもムダなものにはお金を使わない。フードデリバリーやコンビニの買い物など、必要不可欠ではないものならなおさらです」(ファイナンシャル・プランナーの横山光昭氏)
さらに、「『高い』と感じる外食代は?」という質問では、「1万円未満」と答えた人が約6割になった(Q3)。
Q3.「高い」と感じる外食代は?
5万円以上 20.9%
3万円~5万円未満11.4%
1万円~3万円未満18.1%
5000円~1万円未満16.7%
3000円~5000円未満8.8%
2000円~3000円未満6.8%
1500円~2000円未満4.9%
1000円~1500円未満5%
1000円未満7.4%
物価高のなかでは、資産1億円でも派手な生活ができるわけではないようだ。
資産の増やし方は個別株or投資信託?
では、1億貯めた人たちはどのように増やしていったのか。アンケートの回答では個別株とインデックス投資が主流だったが、作家の橘玲氏はこう読み解く。
「この5年、日経平均やS&P500(円建て)のような株価インデックスでも年率約20%で上がっている。個別株はボラティリティ(価格変動の度合い)が高いので、上げ相場ではインデックスよりも上昇率が大きくなります。ただし、注意も必要。相場が下がれば逆もしかりで、個別株で大きな損失を被った人は相場を退場したり、沈黙します。そうした退場者がアンケートの対象には含まれていないので、いわば“生き残った成功例”が可視化された『生存者バイアス』によって、個別株投資で1億円を達成した人が多く見えるのでしょう」
また、資産形成を始めてから資産1億円に到達するまでの期間は、最多が「10年以上」(65.8%)で3分の2を占めた(Q4)。
Q4.資産1億円達成までの期間は?
1年未満5.6%
1年~3年未満2.9%
3年~5年未満7.1%
5年~7年未満7.5%
7年~10年未満11.1%
10年以上65.8%
一方、「1年未満」と短期間で達成した人も5.6%と少数だが存在する。この分布からも、やはり“王道”は長期投資で資産を積み上げることであり、“短期で億”は狭き門だと言えそうだ。ちなみに、「個別株投資が最大の要因」と回答した人のうち、半数超が「20銘柄以上」に投資していた(Q5)。
Q5.個別株の保有数は?(有効回答数177)
0~5銘柄未満21%
5銘柄~10銘柄未満23%
10銘柄~20銘柄未満20%
20銘柄以上36%
横山氏が分析する。
「多くの銘柄を運用しているのは、リスク分散の意味合いだと思われます。長期投資ならインデックスのみでいいが、早く資産形成したかったり、楽しみたいから個別株に投資するのは理解できます。ただし、長期投資するならあくまでインデックスをメインにしつつ個別株を持つ『サテライト投資』を実践すべきです」
横山氏はこれから資産形成を始める人に助言を送る。
「1か月で資産を数倍に増やせる人は確かにいます。ただし、そういった急騰は再現性が少ないし、そんな経験をすると脳が快楽を覚え、10年かけて1億円をコツコツ積み上げる気持ちにはなれません。だからこそ、まだ “成功体験”がない人は、むしろ未経験であることがアドバンテージになります。今から堅実な運用を習慣づけやすいからです」
旅行と健康維持にはカネに糸目をつけない
このような「長期目線で考える」という思考は、お金以外にも当てはまる。「最近買った一番高いものは?」との問いには、「海外旅行」「国内旅行」と“体験”に価値を見いだす傾向が見られる(Q6)。
Q6.最近買った一番高い買いものは?
海外旅行費用51人
自動車49人
投資のための個別株49人
国内旅行費用48人
その他44人
居住用・投資用の不動産30人
子どもの教育費(私立校の初年度納入金、塾の夏期講習代、海外留学費用など)25人
直近1年間、生活必需品以外は「何も買っていない」24人
指輪・ネックレスなどアクセサリー23人
生活家電の買い替え21人
また、「惜しみなくお金をかけるものは?」という質問でも、「海外旅行や子どもの希少な体験」に支出を厭わず、旅行をする際は「少しいい宿やグリーン車・ビジネスクラスを使う」。ほかにも「人間ドックのオプション検査」や「歯のメンテナンス」、「高級寝具」にも大金を払う(Q7)。
Q7.惜しみなくお金をかけるものは?(複数選択)
海外旅行や子どもの希少な体験にかかる費用97人
いい宿やグリーン車など快適な旅の出費79人
人間ドッグのオプションなど予防医療費73人
歯列矯正、インプラント、定期的なクリーニングなど「歯」のメンテナンス71人
子どもの学習塾、家庭教師、私立校の学費など「教育費」全般68人
記念日などに贈る配偶者・パートナーへのプレゼント63人
毎日使うPCやスマートフォン、モニターなどの最新ガジェットや通信環境62人
自身のスキルアップや情報収集のための書籍代、資格取得費、有料ツール53人
オーダーメイド枕や高級マットレスなど「睡眠の質」を上げる寝具47人
無農薬野菜や国産の新鮮な肉・魚など、健康を意識した日々の食材46人
「旅を快適にするための出費を厭わないのは、心の健康を意識しているのでしょう。人間ドックのオプションや歯のメンテナンスも、健康意識の高さの表れ。資産を増やすためには“健康が資本”と考えている姿が窺えます」(横山氏)
「1996年の米国のベストセラー『となりの億万長者』は、膨大なデータから富裕層はニューヨークの高級住宅街ではなく、実はあなたの隣で地味に暮らしている事実を明らかにしました。東京でいえば、足立区や江戸川区といった庶民的な街に住んでいるのです。同書によれば、米国の億万長者は、服はブランド品を嫌い、丈夫で長持ちする既製品で、セールを狙って購入。クルマは大衆車で、中古車でも気にしない……これは日本で資産1億円を達成した人たちにも重なります。外食にお金をかけず、ムダを嫌い、収入よりはるかに低い支出で暮らしている。これなら当然、お金が貯まります」(橘氏)
周りには“庶民”と思われながら、億り人たちは今日も出社しているのだ。
いつの間にか富裕層658人の肖像
※首都圏在住、純金融資産1億円以上の20〜65歳の会社員658人にアンケートを実施。期間は'26年5月29日〜6月4日
【ファイナンシャル・プランナー 横山光昭氏】
3万件超の家計相談を担当した資産形成・家計改善の専門家。著書に『おふたりさまの老後資金は「これ」で増やす』(小学館)など
【作家・評論家 橘玲氏】
資産運用や社会制度をテーマに執筆。著書に『プアジャパン インフレ世界を生き抜く資本戦略』(プレジデント社)など
※2026年6月23・30日合併号より
取材・文/週刊SPA!編集部モデル/アパッチ長男
【関連記事】
・
資産1億円を達成した「普通の会社員658人」の生態を徹底調査。4割が未婚、年収500万円未満も多数
・
「昼まで寝る生活は2か月で…」資産8000万円でFIREした39歳エンジニアの末路。貯金1000万を割り、ウーバー配達員に転落するまで
・
月収8万円のゴルフ場キャディが28歳で資産1.5億円に。“凡人でも再現可能”な資産形成の軌跡
・
「生活資金6か月を残してあとは全部投資」Xで“総資産を毎日公開”する女性投資家の「見える化」で消えた将来不安
・
株で100億円稼いだ男「1ヶ月で42億円」失った全顛末。地獄の往復ビンタから“1ヶ月で20億円”取り戻すまで