雨の日の朝、いつもより混み合った電車。傘の水滴、誰かのリュック、すぐ後ろから聞こえる舌打ち――そんな車内で、ふと「もう少し気を遣ってくれてもいいのに」と思った経験、ありませんか。
満員電車は、誰にとっても少しストレスのかかる空間です。でも、その「少しのストレス」を周りに撒き散らすか、ぐっと飲み込むかで、車内の空気はずいぶん変わります。
今回ご紹介するのは、過去に大きな反響を呼んだ実録エピソードから、雨の朝の通勤電車で、乗り込みざまに女性を突き飛ばし、その後も周囲に絡み続けた“ある女性”の話。乗客全員を敵に回した結果、終着駅で迎えた“まさかの結末”とは――。
記事の後半では、最新の迷惑行為ランキングで“傘”が何位だったのかも紹介しつつ、混み合った車内で自分はどう振る舞いたいか、少しだけ考えてみたいと思います。
***
毎日の通勤や移動で利用する電車やバス。その乗客のなかには信じられない迷惑行為をする人もいる。
今回はそんな電車内での迷惑行為の被害者となった
ユイさん(仮名・28歳)
に、そのトラブルの一部始終を語ってもらった。
電車内での信じられない迷惑行為
これは数年前、ユイさんが通勤していた際の電車内での出来事だという。
「その日は天候が悪かったこともあり、駅に停車するごとに乗車率が上がっていって、普段よりも混み合っていました。私はなんとか電車に乗り込みましたが車内中程には行けず、仕方なくドア付近に立っていたんです」
事件はユイさんが乗車して次に停まった駅で起こった。
「ドアが開いた際に降りる人がいないかと思って車内を確認していたところ、ホームから勢いよく入ってきた女性にいきなりドンッと押され、私はよろけて電車の床に倒れてしまったんです」
押してきた女性、反省の色はナシ
急に見知らぬ女性に押されてしまったユイさん。
「びっくりしてしばらく動けなかったのですが、『邪魔なんだからとっとと立ちなさいよ!』という声がしました。何とか立ち上がって声の主を見ると、40代後半くらいの派手なオフィスカジュアルの女性でした。私を押した人です。
思わず『何するんですか!危ないじゃないですか!』と文句を言ったところ、『フン!あんたがチンタラしているのが悪いんでしょ』と全く反省の色はなく…。
謝るように抗議しても、『私はまったく悪くないわよ。ただ邪魔だから押したのよ』、『どんくさいのが悪い』、『私は代表して場所を空けただけ』と言い返される始末。最終的に『ごーめーんーなーさーいーねー!これでいい?』と一切誠意のこもっていない言葉だけの謝罪をされ、嘲笑われました」
その後も周囲の乗客にやりたい放題
女性の自分勝手な行動はさらにエスカレート。
「近くに立っていた私くらいの年齢の女性に『あんたも邪魔よ!もっと車内に詰めて!』とぐいぐい押していました。
自分はというとバッグを前に持つといった配慮もせず、肩にかけて幅をとっているし、さらに濡れた折り畳み傘をきれいに畳まずにいたんです。近くにいた女性のスカートに傘の水滴が垂れていて、濡れてしまってかわいそうだと思ったのを覚えています」
目に余る迷惑行為の数々。その後も電車が揺れて自分に少しでも体重がかかると大きな舌打ちをしたり、『もっとちゃんと立っていなさいよ!』と周囲の乗客に絡んだりしていたという。
「ただでさえいつもより混み合っている車内だったので、女性の行為にストレスを感じた人が多かったと思います」
周囲の乗客から“意趣返し”を食らった自己中女性
まるで漫画やドラマに出てくる“絵に描いたような悪役”的言動をする女性。ユイさんはまともな謝罪も得られずモヤモヤしていました。
「一連の出来事に『こんなに自己中で悪びれもしない人間がいるのか』と唖然として、私は最終的には何も言えなくなってしまいました。それでようやく終着駅に到着して、乗客が全員一気に降りるタイミングでも、その女性は相変わらず人を押しのけて強引に前に進もうとしていたんです。
しかし、近くにいた大柄な男性がそれをガードし、逆にその女性が転んでしまいました。『何するのよ!謝りなさいよ!』と痛そうに膝をさすりながら叫んでいましたが、周囲の人たちは『そこにいると邪魔ですよ!』、『さっさと立ち上がって!』と言われていました。
たぶん、先ほどの私とその女性のやりとりを見ていて腹を立ててくれていた人が、意趣返しとして言ってくれたんだと思います。
大勢の人が降りていく流れもあったので、私も転んだ女性を横目にさっと降りてしまいましたが、心の中はスッキリしていました」
まさに因果応報。ユイさんの溜飲も下がったようだ。
――公共交通機関である電車やバスには、さまざまな性格や価値観の人が乗り合わせるためトラブルが後を絶たない。まさか自分が迷惑行為する側にならないように、細心の注意を払いたいものである。
<取材・文=十六夜瑠奈/A4studio>
***
■「邪魔だから押したのよ」が通用しない理由
今回のエピソード、ドアが開いた瞬間に乗客を突き飛ばし、「邪魔だから押したのよ」と言い放った“身勝手な女性”。その後も傘の水滴、邪魔になるバッグ、舌打ち、周囲への絡み――短時間のうちに、車内のほぼ全員を敵に回しました。
ちなみに日本民営鉄道協会の2025年度アンケートでは、「荷物の持ち方・置き方(鞄・傘等)」が迷惑行為の7位にランクイン。挙げた人の割合は20.1%で、前年の14.9%から大きく増えています。濡れた傘や大きなバッグへの“もやっ”は、自分が思っている以上に、周りの人の記憶に残るものなのです。
満員電車は、たしかにイライラしやすい場所です。でも、その空間にいる全員が同じように疲れていて、同じように譲り合いながら立っている。「自分だけが我慢している」と感じた瞬間に、人はつい強い言葉を選んでしまう――けれど周りも、たぶん同じことを思いながら黙っているだけなのかもしれません。
■それでも、毎朝の電車に乗る人へ
今回の女性が終着駅で転んだとき、周囲の乗客から手を差し伸べる人はいませんでした。それは決して、誰かが彼女を罰したわけではなく、「この人には自分が動く理由がない」と全員が静かに判断した結果なのだと思います。電車という閉じた空間では、ふるまいの記憶は思っているよりもずっと長く、周りに残ります。
雨の日の朝、満員電車に押し込まれる瞬間。濡れた傘をきちんと畳む、ぶつかったら「すみません」と短く言う、舌打ちをぐっと飲み込む。たぶん、それだけで、見知らぬ誰かの一日が少しだけマシになる。ふぅとひと息ついてから、ドアをくぐる――そんな朝でありたいなと、自分への戒めも込めて思います。
<再構成/日刊SPA!編集部>
【十六夜瑠奈】
編集プロダクションA4studio(エーヨンスタジオ)所属のライター。グルメ、音楽、エンタメ、サブカルチャー全般に興味がある。文化を分析、執筆することへ情熱を注ぐ。好きな食べ物はお茶漬け。
【関連記事】
・
席は空いているのに…新幹線で「ただ女性の横に立ち続ける」不審な男性に、スーツ姿のサラリーマンが放った“勇気ある一言”/都調査で判明「周囲が動けば94.7%の被害が止まる」現実
・
「いつまで待たせるんだ!」若い女性店員に文句を言う迷惑客は“まさかの人物”だった…こっそり店長に“会社と名前”を教えた結果/2025年成立「カスハラ防止法」、変わりつつあるお店と客の関係
・
黒塗りのアルファードにあおり運転された男性が「極限状態で思いついた」対抗策。「相手は検挙されたそうです」/運転者の3人に1人が経験、“逃げ場のない15分間”を生き延びた一手
・
結婚式に新郎の元「浮気相手」が出席。新婦の“仕返し”で地獄絵図に…/調査で判明「10人に1人」が経験する結婚式トラブルの実態
・
「ふざけるな!」新幹線で“大声通話”を止めないサラリーマン。数分後、「申し訳ありません」と小さな声で謝ったワケ/車内マナー「改善された」と感じる人はわずか2割未満の調査結果も