日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが『さよなら、僕の英雄』をレビュー!

自分をジョン・レノンだと思い込む兄と、強奪した大金を掘り起こしたい弟

日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが『さよなら、僕の英雄』をレビュー!

6月20日(土) 17:00

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日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが新作映画をレビューする『高橋ヨシキのニュー・シネマ・インフェルノ』。大金入りバッグをめぐる世にも奇妙な大騒動!***

『さよなら、僕の英雄』

評点:★3.5点(5点満点) © 2025Zentropa Entertainments4ApS & Zentropa Sweden AB.

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「不適合」であることへの不安が人を「不適合」にする我々はしばしば忘れがちだが、世の中にはとてもとても繊細な人たちが、それなりの割合で存在する。

まったくもってやりきれないことだが、現代社会は彼らの感覚に対してあきれるほど無頓着だ。

なぜなら端的に言って繊細さはカネにならないし、繊細さは人間社会を前へ押し進めるための歯車たり得ないからだ。

だが「前」とは何だろう?

本作でマッツ・ミケルセン演じる人物は、その繊細さゆえに社会との接点をうまく保つことができない。

一方、彼の弟は暴力的で犯罪をも厭わないタイプで、それゆえ兄とは対照的に見える。

しかしながら「困った兄貴」に手を焼き、「芝居はよせ、本当はすべて分かっているんだろう」と詰め寄る弟もまた、自分の不安を兄に投影しているだけだ。

社会的に「不適合」で「不適格」であることへの不安が、人を実際に「不適合」で「不適格」にしてしまうのだとしたら、一体我々はどうしたらいいのだろうか?

映画の冒頭で語られるヴァイキングの逸話では、片腕をなくした息子のために、首長が部族全員の腕を切り落とすことを決意する。

目に見える形で社会の成員すべての「不適合さ」を揃えることでしか、皆が生きやすい社会は実現できないのだろうか?

STORY:強盗事件の服役を終えたアンカーは、出所後15年ぶりに兄と再会。しかし、大金を預けたはずの兄は隠し場所を忘れた上、自身をジョン・レノンだと思い込んでいた。金を掘り起こそうとするふたりの前に珍客が現れ、事態は混乱していく

監督・脚本:アナス・トマス・イェンセン

出演:マッツ・ミケルセンほか

上映時間:116分

全国公開中



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