定数28に40人が乱立。元N国系や異色候補が集う「立川市議選」にみる“地方政治のリアル”

N国との関係を表には出してないが、実質N国の内野愛里(うちのあいり)候補。公式サイトを見ると一見問題なさそうな主張が並んでいるが、どのような人物かはよく調べたほうが良い

定数28に40人が乱立。元N国系や異色候補が集う「立川市議選」にみる“地方政治のリアル”

6月20日(土) 8:52

提供:
近年、学歴詐称や倫理問題を抱えた首長であったり、ヘイトスピーチやデマを平然と垂れ流す議員や陰謀論や排外主義を主張して当選してしまう候補者が頻繁に見受けられるようになった。

かつて「泡沫候補」と呼ばれたユニークな候補は、もうその「面白さ」を失い、単に民主主義を破壊する存在になりつつある。

そして、人口約18万7000人、中央線で新宿まで約27分の東京都立川市もまた、「民主主義の崩壊」が訪れつつある。ここでは今、6月21日投開票の立川市議選が行われているが、定数28に対して40人が立候補し、日本の衰退を象徴するような候補たちが乱立しているのだ。

その状況を、共著として『限界地方政治』を上梓したばかりの選挙ウォッチャーちだい氏に寄稿してもらった。

お色気政見放送をした元N国候補

まずは、2024年7月の東京都知事選に「 カワイイ私を見てね 」という政治団体を立てて立候補したことがある 内野愛里 だ。

ご記憶にある方も多いかもしれないが、政見放送では「はあ、暑いね。緊張で暑くて困っちゃうわ」と言いながらシャツのボタンを外し、服を脱ぎ捨てると、チューブトップ姿になり、「かわいいだけじゃなくてセクシーでしょ。やだ、そんな目で見ないで」と視聴者に語りかけた。「そんな目で」と言われても、多くの人は「冷ややかな目」で見ていたわけだが、この演出をつけたのは「 NHKから国民を守る党 」の 立花孝志 である。

内野は、立花が考えた「ポスター掲示板ジャック」という、24枚のポスター掲示板の枠を1か所5000円で一般人に販売するプロジェクトの駒として、24人擁立されたN国党の候補者の一人だ。

街のあちこちに選挙とは無関係の、犬や猫の写真、アプリの宣伝、部落差別の扇動、殺人犯への共感、女性向け風俗店の宣伝まで並んだ。こうした掲示板枠の確保のために立候補したのが内野愛里である。

N国を謳ってないが支援者はほぼN国

今回の立川市議選では「立川つながりの党」なる政治団体を立ち上げて立候補しているが、実際につながっているのは市民ではなく、反社会的カルト集団「NHKから国民を守る党」である。

立花孝志が逮捕されたことで、「NHKから国民を守る党」はホームページが閉鎖され、メインサービスだったNHK受信料の不払いを推奨するためのコールセンターも閉鎖された。ほぼ解散状態にあるため、正確には「NHKから国民を守る党」とつながっているとは言えないかもしれないが、彼女を支援しているのはN国党出身の者たちである。

ヘイト議員・へずまりゅう奈良市議との関係も

この選挙で現場を仕切っているのは「へずまりゅうの秘書」という肩書きの丸吉孝文で、へずまりゅうを奈良市議に当選させた立役者だ。へずまりゅうは、かつて「NHKから国民を守る党」の公認候補として参院補選に立候補したことがあり、迷惑系ユーチューバーが政治の世界に進出するキッカケもまた、立花孝志である。

選挙では、内野愛里は候補者名を「うちのあいり」と平仮名表記にすることで、過去を検索されないようにロンダリングしており、かつて「NHKから国民を守る党」から立候補していた過去を完全に消している。しかし、騙されてはいけない。彼女は実質的にN国党だからだ。

他にもいる要注意なトンデモ候補

もう一人、要注意人物を挙げるならば、 宮沢博行 率いる「創生党」から立候補している乙幡直樹である。宮沢博行は「パパ活不倫」で有名になった元衆議院議員だが、「NHKから国民を守る党」を改称した「みんなでつくる党」で活動していた「AIメイヤー」と連携。「AIメイヤー」は、「AIが市長をやればいい」というコンセプトで、お面を被って多摩市長選や真鶴町長選などに立候補していた元プロレスラーの変人だが、その弟子のようなポジションの人間で、小金井市議選に「AIメイヤー2号」として立候補していたのが 乙幡尚樹 である。

宮沢博行は、田久保真紀の経歴詐称で話題になった昨年12月の伊東市長選に、N国出身の 河合悠祐 率いる「 日本大和党 」が女性候補を擁立し、伊東駅前でヘイトスピーチを連発していた時に応援弁士として駆け付け、ヘイトスピーチの輪に加わっていた。その宮沢博行率いる「創生党」の初陣が、この立川市議選である。

その他に、 参政党 百田尚樹 が代表を務めるほうの 日本保守党 内海聡 が応援する反ワク陰謀論の整体師、 長井秀和 が応援する「ゆうこく連合」の陰謀論者など、さまざまなタイプの『世紀末候補』たちが立候補してくる。

立川市議選、カオスの理由

なぜ立川市議選が、こんなにカオスになってしまったのか。

それは2018年の立川市議選で、迷惑系ニコ生配信者として活動していた 横山緑(本名:久保田学) が「NHKから国民を守る党」から立候補して当選してしまった歴史があるからだ。どんな人間でも選挙のやり方次第で年収990万円が約束される。この夢の就職先を求め、およそ議員の資質がない人間たちが「当選しやすさ」を求めて立候補するようになってしまったからだ。狙われた立川市は今、市民の賢明な選択が求められている。

<取材・文・撮影/選挙ウォッチャーちだい>

【選挙ウォッチャーちだい】
選挙ウォッチャーとして日本中の選挙を追いかけ、取材しています。選挙ごとに「どんな選挙だったのか」を振り返るとともに、そこで得た選挙戦略のノウハウなどを「チダイズム」にて公開中

【関連記事】
「いちばんの権力者が、いちばん卑怯だった」高市陣営の“中傷動画”疑惑…ひねりも工夫もない“無味乾燥な煽り”が映し出したもの
地方議員の“公金ムダ支出”の実態。一人300万円超の豪華海外視察、公用車は2000万円のセンチュリー…
「進次郎構文はもう笑えない」防衛大臣の軽い言葉が“国家の意思として読まれる”最悪のシナリオ
中傷動画問題は「高市首相の進退を左右する段階ではない」。野党の追及に警鐘を鳴らすワケ<石戸諭>
言論の自由は、自分が嫌いな奴が嫌なことを言う権利を守ってこそ、言論の自由である/倉山満
日刊SPA!

生活 新着ニュース

合わせて読みたい記事

編集部のおすすめ記事

エンタメ アクセスランキング

急上昇ランキング

注目トピックス

Ameba News

注目の芸能人ブログ