上杉柊平の演技にはリラックス効果があるようだ。見上愛と上坂樹里W主演の連続テレビ小説『風、薫る』(NHK)では、東京府の会計課に勤める槇村宗一役を演じている。
初登場は第8週第38回。上手からフレームインする瞬間、画面上に新しい風を吹き込んだ。心地よい演技が視聴者に癒しを与え、ゆるやかな動作でときめかせる。
上杉本人も癒しの人物であり、YouTubeチャンネル上では憩いの空間を紹介している。“イケメン研究家”加賀谷健が解説する。
憩いのYouTubeチャンネル
自宅(ファーストプレイス)、職場や学校(セカンドプレイス)とは異なる、第3の場所をサードプレイスと呼ぶ。平たくいえば、リラックスできる憩いの場所だ。職場や学校から帰宅する前に立ち寄る、スターバックスはその代表例。
プレイスは場所を意味するが、物理的な場所以外にもサードプレイス的な空間は存在すると考えていいだろう。YouTube動画だって十分なり得るからである。こんなチャンネルがある。その名も「上杉柊平の3rdPlace」。
俳優であり、ヒップホップグループ「KANDYTOWN」のメンバーとしてMCも担当した上杉柊平が、自分の好きなものや好きな場所を紹介する。メロウな雰囲気、洗練された遊び心がある。上杉が行く先々が彼にとってのサードプレイスでありながら、視聴者にとってはこのチャンネル自体が憩いの(動画)空間となる。
明治時代のサードプレイス
たとえば、「古着屋巡って買い物して、タイ料理食べて遊び尽くした10年以上ぶりの下北沢。」というタイトルの動画(2026年4月25日)を見てみる。下北沢は、20歳の頃の上杉が住み込みで働いていたバーがあった場所だという。
東口から街に繰り出し、すっかり様変わりした街並みに驚きつつ、バーの目印となるKALDI下北沢店を目指す。
店の向かいにバーがあったらしいが、当時の雰囲気は全然ない。でもそんな時の流れすら、メロウな調子で楽しんでみせる上杉のリアクションや表情が、視聴者の気持ちをリラックスさせる。上杉その人もまた、サードプレイス的な人物なのだ。
俳優としても憩いの場面を作り、演じるのがうまい。現在放送中の連続テレビ小説『風、薫る』での槇村宗一役は、明治政府の役人だが、お堅い感じはあまりない。むしろ、癒しの雰囲気を醸す。
この宗一役が視聴者を明治時代のサードプレイスへと誘う……。
上杉柊平のリラックス効果
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第8週第38回、宗一が初登場した。弟の槇村太一(林裕太)と立ち寄ったのは、主人公・一ノ瀬りん(見上愛)が上京してから世話になっている瑞穂屋だ。入店するなり、しなやかに脱帽し、ゆるやかに店内を見渡す。落ち着いた動作が心地よい。
人と人が出会い、交流する瑞穂屋も明治には珍しいサードプレイスといえる場所かもしれない。1989年、アメリカの都市社会学者レイ・オルデンバーグが提唱した定義によると、サードプレイスは規範や身分にとらわれず、自由な空間である必要がある(他にも条件が細かい)。
武士の治世から文明が開化し、身分制度が廃止された明治時代でもやはり身分にはとらわれていた。でも本作に登場するいくつかの空間がそうした社会性をゆるやかに解きほぐす。
その一つが瑞穂屋であり、他にも宗一とりんの妹である一ノ瀬安(早坂美海)が縁談の機会を得る団子屋・田之上屋もそうだ。第12週第57回、2人の縁談は破談になりそうになったが、結婚という制度自体にはとらわれない価値観が一致し、心と心がしっかり結ばれた(安は結婚を再度決心する)。
自由な会話を促す田之上屋も立派なサードプレイスである。そこでもやはりメロウな動きで相手を見つめ、周囲を見渡す宗一の仕草が心地よい。
どうやら宗一役の上杉柊平の演技には、視聴者をリラックスさせる効果があるようだ。
<文/加賀谷健>
【加賀谷健】
イケメン研究家 / (株)KKミュージック取締役“イケメン研究家”として大学時代からイケメン俳優に関するコラムを多くの媒体で執筆。アーティストマネジメント、ダイナマイトボートレース等のCM作品やコンサートでのクラシック音楽監修、大手ディベロッパーの映像キャスティング・演出、アジア映画宣伝プロデュースを手掛ける。他に、LDHアーティストのオフィシャルレポート担当や特典映像の聞き手など。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。X:@1895cu
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