「男のほうが賢い」テレ東新番組に批判殺到も、女性の愚痴番組は量産される矛盾。男女逆なら炎上する“ダブスタ”とそれでも“攻めた”ワケ

画像:TVerより

「男のほうが賢い」テレ東新番組に批判殺到も、女性の愚痴番組は量産される矛盾。男女逆なら炎上する“ダブスタ”とそれでも“攻めた”ワケ

6月20日(土) 8:46

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6月8日からスタートした新番組『※女性は見ないでください』(テレビ東京)。男性タレントが女性への不平不満、愚痴などを吐き出す内容の同番組ですが、放送直後からSNSなどで賛否両論が巻き起こっています。

“男が女を語る”と炎上する? 証明された男女の非対称性



斬新な番組タイトルと具体的な詳細が伏せられていたことから、放送前から話題になっていた『※女性は見ないでください』。初回放送では、霜降り明星のせいやさん、見取り図の盛山晋太郎さん、ニューヨークの嶋佐和也さんと若い女性タレント3人が飲み会トークを展開しました。

しかし、会話の途中で男性陣がボタンを押すと、男女の間に壁が現れ、女性陣にはヘッドフォンが装着されます。女性の耳を完全に塞いだ状態にした上で、男性陣が女性への不平不満を赤裸々にぶちまけるという斬新な構成でした。

「日本のバラエティは9割、女が男の悪口を言う番組」と見取り図・盛山さんが発言したように、こうした現状に一石を投じる「男性のデトックストークバラエティ」としてスタートした同番組。番組内の発言もタイトルの通り、女性視聴者は見ていないことを前提とした過激なものが多く、「女子の8割はページをめくる動作ができないから漫画が読めない」「女性は世間知らずなほうが可愛い」「男性のほうが賢い」といった発言も飛び出しました。

こうした発言が切り取られSNSに拡散されると、「女性差別では?」「炎上目的で不愉快」といった声が続出。「女性が集まって男性のあるあるやダメ出し、不平不満を言う番組はOKで、男性が逆のことをすると炎上するのは不平等だ」という、番組を作った背景にある理由が、まさにそのまま体現されている状態となっています。

「嫌なら見なきゃいい」テレ東が仕掛けたメタ的な予防線



「男性が集まって女性の愚痴やダメ出しを言う番組は炎上するのか」という実験的な目的も透けてみえる同番組。たしかに数年前から『上田と女が吠える夜』(日本テレビ)、『トークィーンズ』(フジテレビ)、『夫が寝たあとに』(テレビ朝日)など、女性タレントが集まって本音トークをするようなバラエティ番組は後を絶ちません。

こうした番組では、主に恋愛や結婚生活における男性への愚痴を女性たちが言い合う構成になっており、それが女性視聴者の共感を多く生んでいるからこそ番組人気に繋がっていることは明らかです。

女性が以前よりも思ったことや悩みを言いやすくなった社会の変化は素晴らしいものの、男女平等という観点では逆の構成の番組があっても然るべきでしょう。しかし、男性が女性の愚痴を言い合う番組がほとんどないのは、テレビが今なおF層(女性層)をメインターゲットに作られており、女性を傷つけるような内容は炎上に繋がるリスクが大きいからです。

その点をクリアするため、同番組はタイトルで「女性視聴者に配慮している」というエクスキューズをしているのでしょう。女性から批判が来ても「見ないでと言っているのだから、見てから文句を言うほうがおかしい」という姿勢を取ることができるからです。

この姿勢がとれるのは、昨今テレビ離れが進む中で、「テレビは見たい人だけが見るもの」という存在になっているからに他なりません。「嫌なら見なければいいだけ」「この番組ではなく他のYouTubeや配信サービスを見ればいい」という現在のテレビの状況を逆手に取った、メイン視聴者に媚びを売らないスタンスは、さすがはテレビ東京という印象を受けました。

NHKにも苦言。テレ東が見せる“カウンターカルチャー”の矜持



災害時には他の民放番組が軒並み報道特別番組を放送する中、災害情報を画面上部にテロップとして映し、アニメやバラエティ番組を放送し続けていることでも話題になるテレビ東京。人員不足などの側面もありますが、緊急時だからこそ通常のエンターテインメントが視聴者の心のケアや日常を取り戻すとして、独自の姿勢を貫いてきました。

権威や他の民放各局に忖度しない自由で独自の姿勢を見ると、同番組が作られるのも「さすがテレビ東京」という声があります。6月4日に行われたテレビ東京の定例会見では、吉次弘志社長が国民の受信料で成り立っている公共放送であるNHKがNetflixで番組を配信することについて言及。「海外の収支・採算を重視するプラットフォームに、我々のような民間会社と同じようにコンテンツを提供するのは自制的であるべき」と発言したことが注目を集めました。

限られた予算で面白いコンテンツを追求する民間事業者としてのプライドと、カウンターカルチャー的な精神が垣間見え、テレビ局としての独自の人気を誇っているのも納得の発言でした。

第2回の放送を終え、「こんな番組すぐ終わる」「YouTubeでやるべき」「この番組を見て、女性が男性の悪口を言う番組もなくせばいいと思った」など、さまざまな議論を呼んでいる同番組。これから放送を重ねていく中で、テレビの在り方やジェンダー問題など、さらに話題を集めていくことになりそうです。

<文/エタノール純子>

【エタノール純子】
編集プロダクション勤務を経てフリーライターに。エンタメ、女性にまつわる問題、育児などをテーマに、 各Webサイトで執筆中

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