【画像を見る】「こんな場所にいたなんて!」ずっと探し続けた"幻の花"
「奇跡が起きた!!!!!!!!!!!!!!」
そんな喜びがあふれる投稿がXで大きな反響を呼び、1万件を超える「いいね」を集めています。
投稿したのは、植物が好きなすうり(@cyanocitta21)さん。長い間探し続けた、ある"幻の花"とついに再会できた瞬間でした。
2026年5月のこと。すうりさんが家の近くの園芸センターに、ふらりと立ち寄ったときでした。
ガーデニングでも人気の花、エリカが色とりどりに並ぶ中に、ひとつだけ紫に輝いて見えるものがあったのです。
投稿された写真に写っているのは、黒いポットに植えられた、しっとりと深い紫の花。ワインを思わせる濃い紫が、小さなスズランのような花となって株いっぱいに咲いています。
背景にはお店の他の植物がそのまま写り込んでいて、見つけた興奮のあまり、その場ですぐにシャッターを切ったことが伝わってくる一枚です。
この花の名前は「エリカ・ベルベットナイト」。実は、すうりさんがずっと探し続けていた花でした。
「奇跡が起きた」という喜びの投稿には、お祝いと驚きのコメントが続々と寄せられました。
「良かったですね!すうりさんのところに来れて、エリカもラッキーだと思います」
「あー!羨ましい!!!!!」
「そんなことあるんだ!すごい!」
「めっちゃわかる!これだからパトロールが欠かせないんだよなー」と、同じように植物を探している人からの共感コメントもありました。
でも、なぜそんなに祝福されるほどの"奇跡"だったのでしょうか。それは、約1年前のある投稿を見るとわかります。
■「もう会えないかも」1年前の投稿に込められた思い
話は、2025年の春にさかのぼります。
このとき、すうりさんが投稿していたのは、同じく紫色の花をつけた一鉢のエリカ。そえられていたのは、このような内容の文章でした。
「どうしても忘れられない。生産・販売していたお店はもう廃業して、苗もすべて処分されてしまった。今この花を持っているのは、かつてのお店からの購入者など、限られた人のみ。イギリスから輸入できないかまで調べている」
文面からにじむのは、「もう手に入らないかもしれない」という、ほとんどあきらめにも近い切実な気持ち。海外からの輸入まで検討するほどですから、その本気度がうかがえます。
エリカといえば白やピンクの小花が一般的ですが、ベルベットナイトはエリカには珍しい、濃い紫色が特徴の品種。すうりさんが初めてこの花と出会ったのは数年前で、園芸店に地植えされた色とりどりのエリカの中で、ひときわ目を引いた一鉢に心を奪われたのが始まりでした。
■なぜ、そんなに見つからなかったのか
ところがその後、状況は次々と変わっていきます。花を買ったお店は閉店。手元で大切に育てていた株も、ちょっとした手違いで枯らしてしまったのだとか。「また買えばいい」と思っていた場所が、もうどこにもなくなっていたのです。
この時代、ネットで探せばたいていのものは見つかると思っていたすうりさんですが、エリカの生産・流通はとても少なく、検索してもなかなかたどり着けませんでした。
ようやく見つけた生産者さんも高齢で店じまいの直前、別の生産者さんがいるという情報があっても、連絡先はわからないまま。輸入という選択肢も費用面のハードルが高い。探せば探すほど、「もう出会えないのかもしれない」という思いが強くなっていったといいます。
そんな探求の末にたどり着いたのが、冒頭の"奇跡の再会"だったのです。
「これだけ探しても見つからなかったのに、ふらりと立ち寄った園芸センターで出会えたのは奇跡だなと。エリカ生産者さんに感謝です」
反響についても聞いてみると、「見つかった時の反響はすごかったです。お祝いのコメントもたくさんいただきましたが、『可愛い』『私も育ててみたい』という声もたくさん。なかなか見つけられない品種にこだわっていたので、可愛いと言ってもらえると『そうだよね、やっぱり可愛いよね』と嬉しくなります」とのこと。
中には「投稿を見てほしくなったから探してみたけど、見つかりませんでした!」という声も。すうりさん曰く「そうなんです。見つかりません!(笑)」。それほどまでに希少な花だからこそ、再会が"奇跡"と呼ばれるのですね。
■探す目が変わると、街の景色まで変わる
念願の花に再会して以来、すうりさんのエリカへの愛はますます高まっているよう。すると、思いがけない場所でエリカと出くわすこともあるのだとか。
あるとき、マルシェへ向かおうと自転車を走らせていたすうりさん。ふと道沿いに目をやると、そこにはエリカの植栽が広がっていたのです。「いつも車で走っていたから気づかなかった」とのこと。
写真には、濃いピンクと淡いピンクの花が入り混じって咲き誇るエリカの姿が。奥には「エリカ ツツジ科」と書かれた札も立っていて、まちなかにこんなにのびのびと育つエリカがあったのか、と驚かされます。
探し求める対象ができると、見慣れた景色の中にもこれまで気づかなかった出会いが潜んでいる……そんな発見の面白さが伝わってきますね。
■"鈴なりの紫"その魅力とは
あらためて、すうりさんにこの花の魅力を聞きました。
すうりさん「小さなお花が鈴なりに咲くのと、ワインを思わせる濃い紫という、可愛らしさと大人っぽさが同居するところが一番の魅力です。枝が細くて柔らかいので、風に揺れると鈴なりの花がシャラシャラと鳴るのも可愛いんですよ」
ちなみにすうりさんは東京出身で、もともとは園芸に興味がなかったそう。「北海道は短い夏の間に色んなお花が一気に咲くのが美しくて、移住してから一気にハマりました」と教えてくれました。
■「お分けできます」自分で増やしたエリカも元気に
エリカに興味を持つ人が増えたことが嬉しかったというすうりさん。実は、自分の手で増やしたエリカもすくすく育っているそうです。
「薄ピンクと濃いピンク、昨年の春に挿し木して元気に活着したものがいくつかあります。普通の園芸店にはあまり流通しないと思うので、興味のある方がいたらお分けできます」
投稿された2枚の写真には、淡いピンクのエリカと、濃いピンクのエリカ。どちらもすうりさんが挿し木から大切に育て、無事に根づいたものです。北海道では4月に薄ピンク、5月に濃いピンクが咲くそうで、冷涼な北国向きの花だといいます。
一度は「もう会えない」とあきらめかけた花を、こうして自分の手で増やし、これから育てたい人へとつないでいく。探し続けた人だからこその、温かいバトンですね。
実はいま、もうひとつ探している花があるのだとか。沖縄で出会った、葉に白い模様が入る"斑入り"のブーゲンビリア。こちらも生産者さんの事情で手がかりがなくなってしまったそうですが、「子育てが落ち着いたら沖縄に行って、園芸店を訪ね歩きたい」と話してくれました。
探し続けた人にだけ訪れる、思いがけない再会。すうりさんのもとに舞い込んだ小さな奇跡に、心がほっと温まりました。
文=武川彩香
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