【写真】1970年代のファッション・メイクで登場した楠木ともり
声優 / アーティストの楠木ともりが、初のアナログ・レコード盤『PRESSED FLOWERS』を6月17日にリリースした。“押し花”という意味のタイトルが冠された本作には、楠木自身が選んだ“アナログで聴いてほしい”楽曲を収録。曲によって違った雰囲気を楽しめるように、歌い方やサウンドが特徴的な楽曲が収められている。「A面、B面で雰囲気が違うし、心地よく聴いてもらえると思います」という楠木ともり。本作『PRESSED FLOWERS』を中心に普段のリスニング環境やコレクションしているもの、9月に横浜・大阪で開催される「Billboard Live 2026」などについて語ってもらった。
■実現できたのはうれしいですね
——楠木さんにとって初のアナログ・レコード盤『PRESSED FLOWERS』がリリースされます。
私自身、レコードにしっかり触れていたかと言えばそんなこともなくて。父はたくさんレコードを持っていたんですけど、音楽好きの姉が持っていったんですよ(笑)。でも「(自分の作品として)いつかレコードも出せたらいいな」という気持ちはあったし、こうやって実現できたのはうれしいですね。あまりレコードになじみがない方もいると思いますが、『PRESSED FLOWERS』をきっかけに興味をもってもらえたらなと。私もプレイヤーを購入しようと思ってます。
——選曲については?
まず父と姉に「レコードをつくることになったんだけど、どの曲を入れたらいいと思う?」って聞いたんです。2人に選んでもらった曲の中からピックアップしつつ、レーベルの担当の方に「曲順によって音に影響はありますか?」みたいなことも聞いて。曲によって違った空気感を楽しんでもらえるように、サウンドや歌い方、構成など特徴的な曲を中心に選びました。A面、B面でも雰囲気が違うと思うし、心地よく楽しんでもらえるんじゃないかなって。
——ちょっとレトロなデザインのジャケットもステキです。
ありがとうございます。いろんなレコードのジャケットを見ながら、どんなデザインにしようか考えました。「(自分の)顔のアップはハードル高いな」とか「でも私が写ってたほうがいいよね」とかいろいろ話をする中で、レコードが音楽業界のメインだった1970年代のファッションやメイクを意識した写真を撮っていただきました。草花のイラストをあしらってるんですが、それは自分で描きました。CDサイズだと小さくて見づらいかもしれないけど、レコードの大きさだと細かいところまで楽しんでもらえるかなと。インテリアとして飾ってもかわいいと思います。
■「バニラ」はライブで進化していった楽曲
——収録曲についても聞かせてもらえますか?
はい。A面・1曲目の「アカトキ」はインディーズの頃からあった曲です。メジャー2nd EP『Forced Shutdown』に収録するときにリアレンジして、音数がかなり増えたんですよ。バンドのメンバーさんと一緒にクラップを収録したり、歌以外の思い出のほうが多いかも(笑)。2曲目の「DOLL」は亀田誠治さんにプロデュースしていただいた楽曲。息が多めのブレッシーな感じ、かすれ気味のスモーキーなニュアンスもあって、歌い方がかなり独特だと思います。「眺めの空」は夏の曲。重永亮介さんに編曲していただいたんですが、夏っぽさがしっかり出ていて「アレンジってすごい!」って感動しました。
——A面・4曲目「バニラ」は家族や友人への思いを込めたバラードナンバーですね。
レコーディングのときも「すごくいいテイクが録れた」という手ごたえがありました。ライブで歌うたびにそのときどきの感情が入ってきて…。そのたびに歌い方が違う気がするし、ライブで進化していった楽曲だと思います。
■今まで意識してなかった音がはっきり聴こえてきたり、それぞれの音の位置が感じられるのも面白い
——続いてはB面。1曲目はウインターソング「narrow」です。
季節感がある曲は意外と少ないんですけど、「narrow」は最初から「冬っぽい曲にしたい」と思っていました。基本的に冬しかやらないと決めているので、ライブではそこまでコンスタントに披露しているわけではないんですが、この曲が好きって言ってくれる方も多くて。弦が入っていてリッチな音像になっているので、ぜひアナログでも聴いてみてほしいです。
——2曲目の「twelve」は2ndアルバム『LANDERBLUE』収録曲。そして3曲目の「MAYBLUES」はシングル「シンゲツ」のカップリング曲ですね。
「twelve」は2025年11月リリースの直近の楽曲ですね。何度もご一緒しているarabesque Chocheさんにアレンジしていただいたんですが、構成がかなり複雑で、挑戦的な楽曲でもあって。私が表現したかった雰囲気をしっかり形にしていただいたし、ライブでも異彩を放っています。スタッフの皆さんからも「アルバムの中でも特に耳に残るし、リピートしたくなる」と言われます。「MAYBLUES」はUKガラージにトライした曲。サブスクのプレイリストに入ったり、音楽好きの方にも評価していただいているのかなと。
——そしてB面の最後「タルヒ」はドリームポップのテイストをまとった楽曲。
穏やかで切ない雰囲気があり、この楽曲も人気ですね。歌録りは3テイクくらいで終わったんですけど、その瞬間のグルーヴみたいなものが出ているのかなと。
——個性の強い楽曲ばかりだし、レコードでじっくり体感することで、新しい発見もありそうですね。
そうなったらいいなと思います。私も聴かせてもらったんですけど、すごくクリアで臨場感があるんですよ。今まで意識してなかった音がはっきり聴こえてきたり、それぞれの音の位置が感じられるのも面白いなって。聴いてくださる環境はそれぞれ違うと思うんですが、楽しんでもらえたらうれしいです。
■店舗に行って「いいな」と思ったらつい買ってしまう
——楠木さん自身は、普段どんな環境で音楽を聴いているんですか?
私、ずっと音楽を聴いています。仕事の合間や移動中もそうだし、カフェでも聴いてることが多くて。そういうときはイヤホンですね。すべての音がクリアに聴こえる機種よりも、全体(の音像)がわかったり、空間を感じられるものが好きです。お風呂でも聴いているんですよ。防水のスピーカーを置き、照明を薄暗くして、アンビエントやピアノ曲に没入してます(笑)。
——レコードにはあまり触れてなかったということですが、何かコレクションしているものはありますか?
「気づいたら集まってた」というほうが近いんですけど、メイク道具、特にリップが大量にあるんですよ。「こういう服のときはこの色が合いそう」もそうだし、シーズンごとに新色が出るので、店舗に行って「いいな」と思ったらつい買ってしまって。質感や色は全部違うんですけど、よく考えたら唇は自分のひとつだし、こんなに要らないなと思ってます(笑)。
——『PRESSED FLOWERS』のジャケットは70'sのイメージですが、レトロなものへの興味もありますか?
5つ上の姉がいるので、興味のあるものが実年齢よりも5年くらい違うんですよ。同級生の友達に「年齢詐称してない?」と言われたりすることもあるんですけど(笑)、たとえば家にMDが大量にあったりするんです。小さい頃はCDをレンタルし、MDに録音していたので。あといちばん好きなゲームが『塊魂』なんですけど、それも同世代よりはちょっと上の世代がハマっていたもので。最近はファッションも平成リバイバルがトレンドじゃないですか。チェックのシャツを腰に巻いている女の子を見ると、「私の小さい頃、流行ってた!」と思っちゃいます(笑)。
——そして、9月には横浜・大阪で初のビルボードライブ公演が開催されます。
私にとっても憧れの会場ですし、応援してくださる方のからも「いつかビルボードライブのステージに立ってほしい」と言われることがあったので、すごくうれしいです。普段はバンドでライブをやることが多いけど、ビルボードライブでは穏やかな雰囲気でやりたくて。食事やお酒も楽しめるし、きれいめのアレンジで大人っぽいライブにしたいですね。
(取材・文=森朋之)
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