文化芸術活動基盤強化基金(通称:クリエイター支援基金)は去る6月5日、「クリエイター支援基金進捗報告会」を文部科学省で開催。小林茂樹・文部科学副大臣があいさつしたほか、同基金を活用し、プロジェクトを実施する採択団体の中から4団体が登壇して、これまでの成果と今後の活動を発表した。
冒頭、小林副大臣が挨拶。政府の「日本成長戦略会議」でコンテンツが17の戦略分野の一つに位置づけられ、文部科学省が同会議の人材育成分科会の担当として、コンテンツ分野をはじめとする「高校から大学・大学院等を通した人材育成システム改革ビジョン」を取りまとめたことに触れた。その上で、クリエイター・アーティストが魅力あるコンテンツの源泉であり、才能を育む人材育成とコンテンツの海外展開のチャレンジを「クリエイター支援基金」を通して支援していく旨を述べた。
続いて、日本芸術文化振興会の杉浦久弘・理事長代理がクリエイター支援基金の概要を説明。複数年度にわたる支援など本基金の特徴や採択状況等について触れるとともに、海外映画祭の賞へのノミネートや欧州公演での高評価など成果事例を紹介した。そして、文化芸術に携わる企業、団体、学校、関係省庁がそれぞれの役割分担のもと一体となってクリエイター・アーティスト等を育成・支援することの重要性を述べるとともに、創造活動によって生み出された作品等が国内外で花開き、心豊かな社会へ目指していけるよう、振興会としても引き続き支援に努めていきたいとの考えを示した。
その後、「クリエイター等育成・文化施設高付加価値化支援事業」および「クリエイター等支援事業(育成プログラム構築・実践)」に採択された80プロジェクトの中から4団体が登壇。それぞれが推進するプロジェクトの概要や進捗状況、今後の課題・展望などについて発表。緊急事態舞台芸術ネットワークは、プロデューサーの育成を通じて、日本の舞台芸術コンテンツにおける海外戦略の新たな土壌を構築する「SOIL Fellowship Program」の取り組みを発表した。令和7年度はロンドン・エディンバラの2都市で、育成対象者が各国の舞台芸術関係者に作品を紹介するピッチイベントが実現したことなどの成果を報告。そして、日本の演劇文化のプレゼンス向上と作品流通の促進、ノウハウの蓄積と共有を目指すと展望した。
東京芸術劇場は、世界で活躍するクリエイターの育成と、それを支える劇場スタッフの専門性強化を通じ、日本の現代舞台芸術を国際的に発信する拠点機能強化を目指す「TMTギア 東京芸術劇場クリエイター支援プロジェクト」を紹介。令和7年度は、劇場スタッフによる海外公演でのOJT(On the Job Training)や海外舞台関係者等とのネットワーキング構築に加え、パフォーミングアーツと音楽分野においてワーク・イン・プログレスを実施したこと、映像メディアチームが舞台作品の8K映像収録と技術研修に取り組んだことなどを、実際に制作した映像を交えて報告した。
キネマシトラスは「グローバル・アニメ・チャレンジ(GAC)」の取り組みを報告。若手人材に学びの場を提供し、日本のアニメ産業の牽引者育成を図る同プロジェクトの令和7年度は、国内でのワークショップのほか、海外アニメ・スタジオでのインターンを実施し、育成対象者は「つながる」「創る」「売る」などの側面から知見を得られたなどの成果があったと述べた。そして今後の課題として、育成対象者が所属するスタジオの理解と協力、海外展開に意欲あるスタジオへのサポートの充実などを挙げた。
滋慶学園は、XR事業を展開する企業「STYLY」と共同で進める、イマーシブ映像コンテンツクリエイター育成・輩出プロジェクト「Immersive Media Lab++」について、令和7年度はカリキュラム策定のための基礎の形成や海外視察に取り組んだことなどを紹介。育成対象者からハッカソンやアメリカ視察の成果などが述べられた。そして、令和8年度から在学生向けの通年講義や海外研修の実施などを予定していると説明。終了後には、登壇者らが一堂に会し、フォトセッションを行ったほか、登壇団体への囲み取材なども実施した。
■令和7年度 各事業の主な成果・実績
●「クリエイター・アーティスト等育成支援事業」
クリエイター数:計544人、アドバイザー数:計301人
公演・展示等の数(国内):計163回
公演・展示等の数(海外):計165回
国内外で開いた公演・展示等の延べ入場者数:計87万3761人
展開する国と地域:(合計23の国と地域)アイルランド/アメリカ/イタリア/インド/英国/オーストラリア/カナダ/シンガポール/スイス/韓国/中国/ドイツ/フランス/ベトナム/マルタ/台湾/香港/インドネシア/タイ/マレーシア/スペイン/アルゼンチン/ポルトガル
●「文化施設による高付加価値化機能強化支援事業」
クリエイター数:計133人、アドバイザー数:計88人
公演・展示等の数(国内):計92回
公演・展示等の数(海外):計5回
国内外で開いた公演・展示等の延べ入場者数:計190万0597人(海外は他のイベントの入場数含む)
展開する国と地域:(合計8の国と地域)韓国/中国/ドイツ/フランス/台湾/インドネシア/スロバキア/メキシコ
●「クリエイター等支援事業(育成プログラム構築・実践)」
各プロジェクトは、育成プログラムの構築や実践のための具体的な施策を実施。なかでも、教育関連の採択団体では、新学科やコースの設置に向けての整備が進展。施策の中で、グローバル人材の育成という観点から、世界各地における日本のコンテンツへのニーズ把握や教育概況の調査のための視察が多く実施され、渡航国はアフリカを含む全世界約15か国に及んだ。
育成対象者の選出が進められ、既に実践的なプログラムが始動したプロジェクトもあり、国内におけるセミナーやワークショップ開催のほか、海外派遣も実施している。
■公式サイト「クリエイター等支援事業(育成プログラム構築・実践)」採択プロジェクトページや、インタビュー動画など、内容充実
本基金の公式サイトは、新たに「クリエイター等支援事業(育成プログラム構築・実践)」採択プロジェクトのページを追加。また、クリエイター支援基金・育成対象者のインタビュー動画や、クリエイターの一覧ページなど、内容を充実させている。さらに、各プロジェクトが開催する様々な展覧会や公演など、最新情報を随時公開中。
URL:https://creator.ntj.jac.go.jp
文化庁の補助金により独立行政法人日本芸術文化振興会に設置された「文化芸術活動基盤強化基金(通称:クリエイター支援基金)」では、学生や社会人を対象としたグローバルに活躍できる人材を育成する「クリエイター等支援事業(育成プログラム構築・実践)」を展開している。DoCKは、この「クリエイター支援基金」の助成を受け、実践的な育成プログラム・カリキュラムの構築に取り組んでいる。
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