サッカー日本代表を語るオランダの選手たち 指揮官クーマン、ファン・ダイク、デ・ヨング、ガクポらを直撃

利根川晶子●翻訳 translation by Akiko Tonegawa

サッカー日本代表を語るオランダの選手たち 指揮官クーマン、ファン・ダイク、デ・ヨング、ガクポらを直撃

6月16日(火) 10:20

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日本対オランダは、まさにワールドカップの試合らしい一戦だった。SNSなどを見ても「ここまで一番見応えがあった」と、世界中が称賛している。

そんな試合を終え、オランダの選手たちは日本戦にどんな感想をもったのだろうか。オランダ人でも日本人でもないブラジル人の私だからこそ、忖度のない答えが聞けるのではないかと、私はミックスゾーンに向かった。

まず私の問いかけに足を止めてくれたのは、キャプテンで先制ゴールを決めたフィルジル・ファン・ダイクだった。

試合を優勢に進めたフィルジル・ファン・ダイクらオランダの選手たちだったが...... photo by Kazuhito Yamada/Kaz Photography

試合を優勢に進めたフィルジル・ファン・ダイクらオランダの選手たちだったが...... photo by Kazuhito Yamada/Kaz Photography



「日本戦はグループリーグのなかで最もハードな試合になると思っていたが、日本のディフェンスは本当に素早かった。だが、正直、ピッチではオランダのほうが上だったと思う。より危険で、強く、経験値が上なのは我々のほうだった。難しい相手ではあったが、勝つべき試合だった。引き分けは妥当な結果とは思えないし、残念だ。

日本のメンバーはほとんどがヨーロッパでプレーしているので、知っている選手も多いが、今日の試合で特に印象に残っているのは鎌田(大地)と前田(大然)だ」

続いてチームの司令塔、フレンキー・デ・ヨングに話を聞いた。

「今日戦った日本は、僕が予想していたよりはるかに強いチームだった。やる気に満ち、スタミナもすごくあって、決して疲れない、あきらめない、止まらない。まさか89分に同点ゴールを決められるとは思ってなかったよ。あの時、我々は頭のどこかで、もう勝った気になっていた。もしかしたら知らないうちに気を抜いていたのかもしれない。それがいけなかった。日本に対してはやってはいけないことだった。勝ち点3をとれなかったことで、次のスウェーデン戦には何が何でも勝たなければならなくなった」

一方、オランダの2ゴール目を決めたクリセンシオ・サマーフィルは、日本とのサッカーが「純粋に楽しかった」と受け止めたようだ。

【「前半とはまるで別のチームに」】「難しい試合だったけれど、雰囲気は最高だった。オランダ対日本は、観る人にとっても、プレーする者にとっても、楽しい試合だったと思う。日本の選手たちは礼儀正しくフェアで、おかげでみんな本当のサッカーをすることができた。試合後、多くの日本の選手がユニホーム交換を申し出てくれて、1枚しかないのが残念だったよ。

上田(綺世)のことはよく知っていたけど、そのほかにも日本には優秀な選手がたくさんいることを今日、実感した。引き分けというこの結果は重要なものだ。日本とプレーするのはそう簡単なことじゃないからね」

かつてPSV時代は堂安律のチームメイトで、現在はリバプールで遠藤航の同僚である長身ウィンガーのコーディ・ガクポは、試合中、かなり日本を苦しめていた。

「日本のプレースタイルは知っていたつもりだったが、双方にとって、キックオフからタイムアップまで、絶え間ない闘いの連続になった。2度のゴールチャンスをモノにできなかったこと、そしてなにより2回のリードを有効に使えなかったことが、オランダにとっては高い代償を払うことになってしまったね。同点に追いつかれることなく2-0にしたら、もしくは3-1にできていたら、オランダが勝っていたと思う。

ひとつはっきりしているのは、日本と対戦する時は一瞬たりとも気を抜いてはいけないってことだ。彼らのスピード、そして戦いのスピリットは半端じゃなかった。テクニックが足りないぶんを、エネルギーと闘志で補ってくるんだ」

70分になってから途中出場したベテランのアタッカー、メンフィス・デパイは次のように語っている。

「ベンチから見ていて、これは負けられない試合だと思ったから、もっと早くに入りたかった。後半に入ってから、日本は急激によくなった。前半とはまるで別のチームみたいで、スペクタクルで、我々にとって最後のパス1本まですべて難しかった。ただ、それでもオランダのほうが上だったのは確かだ。我々は日本のようなチームに対しての勝ち方を知らなかっただけだ。

だが、心配はしていない。これからホテルに帰って今日の試合をゆっくり振り返り、オランダに何が足りなかったのか、どこを改善したらいいのかを研究するつもりだ。それを気づかせてくれた日本には感謝だ」

【「成長するために必要な一戦だった」】そして監督のロナルド・クーマン。淡々と語っていたが、引き分けという結果には少し苛立っているようにも見えた。

「オランダでは多くの日本人選手がプレーしているし、ヨーロッパにも多くの日本人がいる。すでに日本のプレーはアジアのサッカーではない。我々にとってそんな日本はすでに未知のチームではない。同じグループになると決まってからは、何カ月も彼らのことを研究してきた。

試合のボールポセッションはオランダが60%と勝っており、データからも我々のほうが上で、いいチームだったことがわかるだろう。ただ、もし明日もう一度、日本と戦い直すとなったら、いくつかの点を修正するだろうね。日本のアタッカーは危険で、サイドを使ったプレーも苛烈だった。もう少しマークをタイトにする必要がある。鎌田のゴールは我々を驚かせた。

とにかく私は、今日見たことに満足している。この試合は我々をより成長させるために必要な一戦だった。日本はこの大会でこの先、もっといいプレーを見せてくれるだろうし、オランダはより高みへ行けるチームだと証明するだろう。我々は優勝するためにここに来ている。スタジアムの雰囲気は最高だった」

最後に、私の日本代表への想いをひと言、つけ加えたい。試合を観ながら、私は既視感に襲われていた。相手に先制される、それに必死でくらいついて追いつく。いつかどこかで見た風景だ。カタールワールドカップのドイツ戦やスペイン戦でも、日本は先制されることで本気を出してきた。オランダの選手たちが言っていたとおり、前半の日本と、点を取られてからの日本は、まるで違った。

しかし、こういう戦い方も、そろそろ終わりにしてもいいのではないだろうか。日本には十分な実力がある。それは誰もが認めている。決してあとを追うだけのチームではない。その証拠に、先制されても、ずっと苦しんだ末にやっと追いついたのではなく、ほんの数分で同点にしている。相手を追うことで初めて力を発揮するのではなく、自信を持って最初からイニシアチブを奪いにいく。そんな日本がそろそろ見たいものである。



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