ジェームズ・ガン率いるDCユニバース最新作「スーパーガール」が、6月26日に日米同時公開を迎える。映画.comでは、同作のセットビジットレポートを入手。全4回にわけて、その詳細をお伝えしていこう。
2025年4月22日、撮影は英国リーブスデン・スタジオで行われており、終盤に差し掛かった70日目に、各国からジャーナリスト、インフルエンサーが招かれた。
本作は、スーパーマンことクラーク・ケントのいとこであるスーパーガール/カーラ・ゾー=エル(ミリー・オールコック)を主人公に、彼女が等身大の新世代ヒーローとして活躍する姿を描く。
今回(第4回)の記事は、撮影内容を編集した短いリールを鑑賞する前の出来事にフォーカス――なんと忙しい撮影の合間に、クレイグ・ギレスピー監督と主演のミリー・オールコックが挨拶に駆けつけてくれたのだ。製作総指揮のシャンタル・ノン・ヴォを交えた当日の模様をお届けする。
――(製作サイドより)ノン・ヴォさん、ギレスピー監督、ミリー・オールコックさんにご無理を言って、セットから挨拶に来ていただきました。文字通り引っ張ってきたんですよ。
クレイグ・ギレスピー監督(以下よりギレスビー監督)実は現在、予定より遅れてしまっているのですが、ここに来られてとても嬉しいです。こちらはミリーです。
ミリー・オールコック(以下よりオールコック):やあ!
シャンタル・ノン・ヴォ(以下よりノン・ヴォ):彼女は今、以前とは少し異なるバージョンのスーパーガールを演じています。
オールコック:私服姿の、ね。
ノン・ヴォ:これがその衣装なのです。
ギレスビー監督:これが、我々がスーパーガールに相応しいと思った衣装なのです。
オールコック:そう、そう。
ギレスビー監督:皆さんには、進行中の制作の模様をご覧いただき、内容を少し味わっていただけたのではないでしょうか。少しサプライズとなっているといいですが。
ノン・ヴォ:そうですね。気に入ったものはありましたか?
――お気に入りですか?衣装です。
ギレスビー監督:衣装?
オールコック:そう。
――クリプトの小道具。
ギレスビー監督:クリスタルの小道具?
――いえ、クリプトの小道具です。
ギレスビー監督:ああ、クリプトの小道具ね。
ノン・ヴォ:それから、クレイグが編集した映像を、後で少しお見せしようと思います。
ギレスビー監督:どんな映像?僕がまとめた映像のことかい?
(一同笑)
ノン・ヴォ:でもミリーはまだ見ていません。彼女はそれを見てはいけないですからね。
オールコック:いや、見たくない。うん、見たくはないですね。
ノン・ヴォ:そうは言っても、あと10日で完成するのです。
ギレスビー監督:おお、もうすぐじゃないか。
オールコック:ええ。
ギレスビー監督:まるで学校の最終週みたいで、生徒たちには、「まだ終わっていないぞ」と伝えなくてはいけませんからね。
ノン・ヴォ:そうですね。
ギレスビー監督:君のことを言っているわけではないよ。
オールコック:いや、でもあなたは確かに…。
ノン・ヴォ:私たちはまるで、最後まで集中力を切らさないように頑張る上級生みたいなのです。
ギレスビー監督:夏が来る前にね。
ノン・ヴォ:本当に大変なんです。まだスコットランドとアイスランドに行かなくてはいけないですし。
オールコック:アイスランド。
ギレスビー監督:そう、ここでの撮影はあと2~3日。
ノン・ヴォ:とにかく、皆さんにクレイグとミリーにお会いいただきたかったのです。二人とも、本当に素晴らしいです。主演女優と指揮官を迎えられて、これ以上ないほど興奮しています。
(一同笑)
ギレスビー監督:指揮官と呼ばれることは滅多にないですね。
ノン・ヴォ:この船を導く人ということです。まあ、とにかく…さあ、お二人には現場にお戻りいただきます。 ありがとうございました。
ここからはシャンタル・ノン・ヴォへのQ&Aとなった。
(製作サイドより)さて、それでは映像を見てみましょう。監督とミリーがここにいる間にお見せするべきかどうかわからなかったのです。彼らにはセットに戻っていただいて、スケジュールが遅れないようにしないといけませんしね。皆さんの中にはスーパーマンのセットビジットに参加してくださった人もいらっしゃいますし、もちろん、公開した映像の一部はご覧になったはずです。今までご覧になったものとこれからご覧いただくものが、DCで私たちが取り組んでいることの幅広さを示すものとなっていればと願っています。映画もキャラクターも、そして映画作りのスタイルも、明らかに全然違うものばかりですからね。
ノン・ヴォ:そして、それが私たちの仕事の中で最もやりがいのある点なのです。心から惚れ込める映画監督を見つけ、彼らが独自に開発した脚本の制作を実現させるというのは、本当に刺激的です。そしてもちろん、ミリーのような、今回が映画デビューとなる女優を起用できたことは幸運でした。彼女の前では言いたくなかったのですが、彼女自身ももちろん分かっています。まるで10作目なのではと思うほど本当に素晴らしく、撮影全体の95%ほどに参加してくれています。これからご覧いただきますが、スタントから、非常に胸を打つ演技のシーン、さらには異なる言語でのシーンまで、あらゆる場面をこなしてくれています。ですから改めて、私たちは本当に幸運だと感じています。今日イヴ(・リドリー/ルーシー役)も稼働していたら良かったのですが、ご存知の通り、イヴはまだ…
ミリーは24歳、いや、ちょうど25歳になったばかりです。イヴはプリプロダクションの期間中に13歳になりました。彼女たちは本当にこの映画を二人で支えてくれています。その様子をここで少しでも感じていただければと思います。私たちは今やっていることにとてもワクワクしていますし、 皆さんがわざわざ足を運んでくださったことに本当に感謝しています。制作の初期段階から、私たちの活動の一部を共有できることを嬉しく思っています。皆さんがこれに参加してくださり、世界中で私たちのパートナーとなってくださることは、私たちにとって本当に大きな意味があります。というわけで、何か質問があればどうぞ。そうでなければ、本作を気に入っていただけますように。
(製作サイドより)シャンタル・ノン・ヴォさんへの簡単な質問はありますか? 1~2問ほどで、彼女に撮影に戻っていただきます。
――ちょっと変な、バカげた質問なのですが、コミックのスーパーガールはよく悪態をつきますよね。本作でも罵り言葉を使わせるのでしょうか?
ノン・ヴォ:はい。何回出てくるかは分かりませんがね。レイティングの件はお話ししてもいいですよね?本作はもちろんPG-13指定(米国でのレイティング)の映画なので、レイティングの面で制限はありますが、私たちは「これって彼女の『ファック』?これって彼女の『ファック』?」とずっと議論してきました。
(一同笑)
いくつかの選択肢があり、クレイグが特に気に入っているのが一つあったかと思いますが、私たちはそれを楽しんでいるんです。私たちは間違いなく限界に挑戦していますし、もちろん規制が緩い他の罵り言葉もあるのですが、やっぱりやりすぎるのは良くないですよね。皆さんに楽しんでもらいたいのですが、間違いなくエッジの効いた「皆さん」向けになると思います。
――映画全体のトーンについてはいかがでしょうか?
ノン・ヴォ:本作のトーンは、絶妙にバランスが取れていると思います。もちろん、皆さんはもうストーリーをご存知でしょうが、そこに重みがあります。舞台は宇宙ですし、クレイグには非常にSF的なビジョンがあり、『ガーディアンズ(・オブ・ギャラクシー)』のようだと言う人もいるでしょうし、『デューン』のようだと言う人もいるでしょう。確かに両方の要素があると思います。もちろん『スター・ウォーズ』の影響もありますが、独自性を追求したいものです。彼がそれを実際に成し遂げられたのは、主に洗練された要素に加え、色彩やネオンのような要素を多く取り入れているからだと思います。また自然なユーモアをもたらしています。
明らかに重いテーマや感情が込められているものの、クレイグの風変わりなユーモアが、視覚的にもセリフの演出にも随所に散りばめられているのです。脚本は本当に素晴らしかったのですが、彼は毎日、別のセリフやアイデアを思いついて試してみていましたし、現場で即興で演じられる素晴らしい俳優たちがいたおかげです。
――グラフィックノベル(「Supergirl: Woman of Tomorrow」)では、スーパーガールがコスチューム姿で登場することがかなり多いですよね。一方、映画ではその姿がほぼラストシーンだけになると小耳に挟んだのですが、グラフィックノベルとは異なる形にしたのには、何か理由があるのですか?
ノン・ヴォ:ええ、というのも、まず、彼女が登場するのは仕事中ではないからです。地球では常にスーパーガールとして活動しているわけですが、他の惑星に来る時は、それが彼女にとっての休暇となります。休憩中は必ずしもコスチュームを着ているわけではないですし、正体を隠している方が彼女にとっては楽しいと思うのです。でもクレイグにとっては、この映画に参加した際、これが最大のテーマの一つだったんだと思います。ありきたりな意味で「成長物語」という言葉を使いたくはないですが、彼女はもちろん地球で犯罪と戦ってきたわけであります。
ただし、ありのままの自分として戦ってきたのかというのは、また別の話であり、そうではなかったのでは、と私たちは思うのです。つまり、この旅路において、彼女はすでにヒーローではあるけれど、自分のありのままの、完全な自分自身としてヒーローになっているわけではないのです。ですから、この映画は、自分という存在を受け入れ、過去を受け入れ、それを理解しようとする物語であり、最終的に彼女がその姿になる、つまり、あのスーパースーツがそれを象徴しているのです。
――タイムラインについてですが、これは「スーパーマン」の後の話ですよね?
ノン・ヴォ:はい、そうです。一貫性を保つようにしています。
――ロボはどれくらい登場するのですか?
ノン・ヴォ:インパクトの強い15%くらいでしょうか。
(一同笑)
――ロボと言えば、先ほども(別のスタッフに)質問したのですが、あなたにもお答えいただければと思います。シリーズ原作のグラフィックノベルにはロボは登場しませんが、彼を本作に加えることになった経緯についてお話しいただけますか?
ノン・ヴォ:ええ、それにはいくつか理由があると思います。もちろん、ジェームズ(・ガン/製作)とピーター(・サフロン/製作)が本作を始動させた当初、ジェイソンが「このキャラクターが好きだ」と真っ先に手を挙げていたことは、今や周知の事実ですね。ストーリーを開発する際、AからB、C、Dへと(順を追って)進んで行くような展開になるのですが、こういうストーリーでは、予想外の捻りを加えたり、流れを変えたりする存在が必要だと感じました。考えてみると、そういう役割を果たせるキャラクターが常に求められるものです。そうした背景を踏まえて、彼こそが本作に投入される革新的なシナリオに適したキャラクターだと考えたのです。
ご存知のように西部劇的な要素もあるのですが、宇宙を舞台にしたスーパーヒーロー映画だと、ただ「ここへ行って、そこへ行ってから、さらにあそこへ行って戦いを繰り広げる」といった展開だけでは、熱量を維持するのが難しいかもしれません。ですから、より予想外の要素があることで物語はもっと面白くなると思います。皆さんもご存知の通りロボはまさにそうですからね。それに、私たちも常に、ジェームズが言うところの「ブラックハット」「ホワイトハット」「グレーハット」のような要素を取り入れたいと思っています。つまり、スーパーガールはすでに少しグレーゾーン(善悪の判断が難しい領域)にいますが、まだ自分探しの最中ですよね。ロボは間違いなく、黒に近いグレーゾーンにいると言えるでしょう。
でも、スーパーガールやルーシーが黒から白へ、白から黒へと揺れ動いている中で、グレーゾーンを巧みに操るキャラクターがいるのは本当に面白いですよね。いわば、別の視点から意見を述べる存在がいるわけです。彼には独自の信条があり、それがどう展開していくのかを見るのは本当に興味深いのです。というわけで、ストーリー主導ではあったのですが、もちろん彼は活用できる(物語上の)仕掛けとしても素晴らしい存在なのです。
――企画段階から、映画の撮影がもうすぐ終了するという今に至るまでの間、あなたにとって個人的に一番印象に残っている瞬間はどんなものでしょうか?
ノン・ヴォ:うーん、一つ選ぶとすると…。正直なところ、ミリーを初めて見た時だと思います。一同がプリプロダクションで一緒に作業していた時点で、彼女には衣装を着てもらっていましたが、彼女がキャラクターに命を吹き込むのを見て、とても自然だったのが本当に素晴らしかったです。スーパーマンとはいかに違うか、すぐにわかるでしょう。正直なところ、あまりにもたくさんあり過ぎて、特定するのは難しいですね。脚本に「うんちをするナメクジ」が登場することになるなんて、知らなかったんです。
でも、皆さんもご覧になったと思いますが、それに命が吹き込まれていくのを見るのは、いつだって魔法のようです。それに、撮影当日に即興で新しいアイデアを見つけ出すのも、いつも本当に楽しいものです。ルーシーと彼女の家族の身に降りかかる出来事から始まる冒頭シーンは、それが形になっていくのを見るのが本当に、とても辛かったですね。また、クレムを目の当たりにするのは、最高でした。あれは私たちが試行錯誤をして歩まなければならなかったビジュアル開発の長い道のりだったのです。
マティアス(・スーナールツ/クレム役)の演技を見ていると、本当に重要なのは、俳優たちがそのキャラクターになりきることだと思います。私は長い間、台本と向き合ってきたわけですから、クレイグが特殊メイクやアイデアでどう仕上げてくれたかを見るのは素晴らしいものです。
――シャンタルさん、この後、グループはMステージに行く予定ですが、あなたがアナ(・ノゲイラ/脚本)と一緒にそのステージに上がった時のことについて、少し話していただけますか?
ノン・ヴォ:ああやだ。すごく恥ずかしい。号泣してしまったことが2回もあるんです。1回目はミリーがスーツを着た姿を初めて見た時。開発段階では何年も書類をやり取りしていて、それがようやく現実のものとなったわけですからね。ミリーのスーツ姿を初めて見た時、私はひどい泣き顔で取り乱してしまいました。
それから2回目は、脚本家のアナとのことです。彼女とはこのプロジェクトの草案を何度も練り上げてきました。皆さんもMステージをご覧になれば同じ体験をするかもしれませんが、彼女にとってはこれが初めて映画化される作品で、そんな彼女がセットを訪れ、足を踏み入れた時、目の前に広がるのは文字通り「町」だったのです。
(「文字通り」というのは)言葉の使い方が正しくないかもしれません。でも、この空間全体に私たちが作った町の広場が広がっていたのです。私はすでに2週間半もその撮影現場にいたのですが、彼女の目を通してそれを見て、度肝を抜かれ、本当に信じられないという様子だった彼女を目の当たりにし、思わず涙してしまいました。ハンナにそれを見られてしまったみたいで、本当に恥ずかしかったんです。でも、言葉では言い表せないのですが、映画というのはどれも奇跡だと思います。というのも、実際に映画化される1本に対して、日の目を見ることのない脚本が30本、40本もあるのです。開発段階から制作段階へと進む私たち全員が、作品が形になるのを見るたびに、いつも感謝の気持ちでいっぱいになります。
脚本家の多くは報酬をもらえるのですが、実際に(作品が)映画化されない人もたくさんいます。ですから、自分の作品がこうして形になるのを見るという初めての体験をした彼女を見て、とても心を動かされたのです。
(取材/野津千明)
【作品情報】
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スーパーガール
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