平日の昼下がり、都内の商業施設の多目的トイレで、淡々と客をさばく若い女性がいる。借金もなく、昼は外資系企業で働く会社員。それでも彼女は、空いた時間を使って体を売り続け、月に100万円を稼いでいた。切迫した事情も、明確な夢もない。ただ「短時間で稼げるから」という合理性と、埋まらない寂しさだけがある。なぜ彼女は“やめられない”のか。トイレ売春を続けるOLの素顔に迫った。
入ってきたのは30歳前後と思われる女性だった
「出会い系サイトで『多目的トイレでの売春』を募集している外資系OLがいる」
今、ネット上でそんな噂が囁かれている。その女性と遭遇した男性曰く「収入は十分に得ているのにもかかわらず、『性行為が好きすぎて体を売っている』と言っていた」という。何が彼女をそのような行動に走らせるのか。素顔に迫るため、記者が接触を試みた。
教わったサイトに登録し、記者であることを伏せて“噂の女性”にアポを取った。指定されたのは都内某駅近くにある商業施設の多目的トイレ。待ち合わせ時刻は平日の午後2時だった。店内はいつもの昼下がり。主婦が子どもを連れて歩き、老夫婦が買い物をしている。
記者はその光景を横目に彼女から指定された、多目的トイレへと向かった。指定の時刻から3分後、扉が開いた。入ってきたのは30歳前後と思われる女性だった。スーツ姿ではないが、きちんとした身なりだ。鍵をかけると、彼女はすぐに囁いた。
「声、小さくして」
壁の向こうから買い物客の話し声が聞こえていた。彼女は周囲に聞こえないよう声を落としたまま、「前払いで」と金額を提示した。話し声や長時間滞在による通報を恐れてのことだろう。このような場所で噂通りの売春行為を行えば職を失うリスクも当然高いが、記者が現金を手渡すと、間髪入れずズボンのチャックへ手が伸びてきた。
記者はとっさに身を引き、取材であることを告げたが、彼女は動じなかった。
「お金はもらえたから取材でも構わないけど、次の予約もあるから時間が来たら帰るよ」
なんとか話を聞けないかと交渉してみると、またあっさりとした反応が。
「さっきのお金も取材経費なのね。でもせっかくなら、自腹でもう1万円払わない?残りの数分で最後までしてもいいよ」
その申し出を断り10分たつと、本当に帰ってしまった。そこで彼女に後日、電話取材を申し込んだ。
「電話の時間分、体を売ったほうが得じゃない。同額のギャラをくれるならOKです」
ネット上で囁かれていた「性行為が好き」という印象とは違い、そんな淡々とした様子だった。ただ時間と金額を管理し、粛々と次の予約をこなしていく女性の姿がそこにあった。
月に100万円稼ぐ目的なき売春行為
「いいお客さんはすぐ出して帰る人だね。20分とかかけられると、時間がもったいないと感じちゃう」
そう語るミキさん(仮名・20代)は、普段は都内の外資系企業で働いている。
「タイム・イズ・マネーで考えてる自覚はありますよ。でも、1時間時給2000円で働くのと、5分Hして1万円もらうんだったら、Hしたほうが圧倒的にタイパがいいじゃないですか」
彼女が出会い系サイトを使い始めたのは5、6年前だという。
「なんで始めたかもよく覚えてないけど、小遣い稼ぎになりそうだなと思ったのかな。借金があるとか、どうしてもお金を稼がなきゃいけない事情は特にないです」
当初は軽い気持ちで始めたが、コロナ禍で会社での時間の融通が利くようになり、活動は加速した。
「移動時間も入れてだいたい30分で1人、1時間で3人会えたら御の字かな。体力があるときは月100万円は稼げてましたね。適当にサラリーマン街とかで募集すると、一瞬で20件くらいメッセージが届くんですよ」
これだけ荒稼ぎしていれば、さぞ派手な生活を送っているのかと思いきや、使い道は意外なものだった。
「好きなものを買ったり海外旅行に行ったりしていたけど、もう物欲がなくなってきた。まとまった貯金ができちゃったんで、今はお客さんに教わった不動産投資に回してます」
そこまでの資産を築きながら、将来の夢や目標は特にないという。
「暇だからやるみたいな感じで。とりあえずお金が大きくなればいいかなぐらいの感覚なので、目標資産額もないですね」
切迫した事情や具体的な目標はないのにもかかわらず、ひたすら体を売り続けているというのだ。
「会社では目立たない」“噂の痴女”の素顔
本業の年収は同世代の平均程度で「多くも少なくもない」というミキさん。多額の資産があっても「会社を辞める気はまったくない」と言い切る。
「不安定な身分になるのは嫌だから。社会保険とか、クレカが持てないとか家買う時に困るとかあるじゃないですか。出会い系サイトなんていつ使えなくなるかわからないし、正社員の安心感はリスクヘッジとして大きいですよ」
商業施設の多目的トイレで見せた豪快な姿とは同一人物と思えないほど、冷徹な合理性と常識を持ち合わせている彼女。趣味はお酒を嗜む程度で、はやりの推し活などに興じることもない。特別好きなコンテンツなどもないという。
「現実的なものに興味があるってことになるのかな、男とかお金とか(笑)。思い返すと、高校生の時から人一倍Hが好きではあったかも。おじさんとするのも抵抗感が薄いので、こんな簡単に稼げちゃうんだって思ったら、じゃあ稼いどくかって。今の悩みは特にないけど、結婚できたらいいなってくらい」
恋愛の話になると少し陰が…
終始、淡々と話す彼女だったが、恋愛の話になると少し陰が見えた。
「彼氏がいても出会い系は続けてました。彼氏のことは本当に大好きなんだけど、もし彼氏が浮気しちゃったらどうしようって不安はずっとあって。それで、私だって心を宿すところはほかにもあるんだよって思えるように、他の人とHしたり、そういう友達をつくったりとかしちゃってましたね」
自立心が強いんですか、と聞くと、ミキさんはむしろ逆だと言う。
「自立心がないから、頼れるところ、かわいがってくれるところを求めちゃう。それが男になりがちではあるかも。こういうことを続けちゃうのも、そういう寂しがり屋な面があるからかもね」
ごく普通の寂しがり屋の女性が、多目的トイレで体を売ることに自然と辿り着いてしまう。そこに、現代社会の歪みを見いだすことは難しくない。
※2026年6月16日号より
取材・文/週刊SPA!編集部
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