ジェームズ・ガン率いるDCユニバース最新作「スーパーガール」が、6月26日に日米同時公開を迎える。映画.comでは、同作のセットビジットレポートを入手。全4回にわけて、その詳細をお伝えしていこう。
2025年4月22日、撮影は英国リーブスデン・スタジオで行われており、終盤に差し掛かった70日目に、各国からジャーナリスト、インフルエンサーが招かれた。
本作は、スーパーマンことクラーク・ケントのいとこであるスーパーガール/カーラ・ゾー=エル(ミリー・オールコック)を主人公に、彼女が等身大の新世代ヒーローとして活躍する姿を描く。
今回の記事でフォーカスするのは“小道具”だ。現地では、下記のアイテムを見学することができた。
・横たわるクリプト:眠っているかのように横たわるリアルな等身大のクリプト。IKEAのラグを用いて、毛の質感を出している。
・クレムのクロスボウ
・予告編でカーラが持っている懐中時計
・カーラのiPod:白いレトロ感のあるiPodで、ヘッドフォンの部分はオレンジ。実際に動作するようにできているものの、画面の部分はVFXで処理される。
・ポラロイドカメラ
・テーブルに叩きつけて火をつける仕組みのロボのライター
・ロボが首に巻くチェーンの付いた手榴弾
・ロボのベイプ・シガー(電子葉巻)
・ロボの太いチェーンの先に鎌がついた武器
・デイリー・プラネット(新聞):「スーパーマン、原子炉爆発から街を救う」と一面に見出しがある下に小さく「スーパーガール、下水道の猫を救う」とある。
・瞬間移動装置
・スペースガン
・ルーシーの刀:ペシュ・カブズ(Pesh Kabz)というアフガニスタンの伝統的な剣に影響を受けたデザイン。
・ルーシーの兄弟エドモンドの剣:日本の竹刀にインスパイアされたもの
・ルーシーの手錠
当日は各国ジャーナリスト、インフルエンサーに対して、小道具部門主任のチャーリー・ホーウッドのQ&Aが実現。以下に詳細を記載する。
――武器は主にどのようなものからインスピレーションを得ているのですか?
もちろんすべてが地球外の世界ですので、実際の武器からインスピレーションを得てはいるものの、「より大きく」「より派手に」という点を念頭に置いています。基本的には、我々の意のままにやるという、全面的なクリエイティブ面の自由が与えられていました。
もちろん、スター・ウォーズや昔のDC映画など、参考にできる作品はたくさんありますが、そこに自分なりのひねりを加えつつ、本来の姿は保つようにしています。例えばトミーガン(軽機関銃)は、見た目や手に取った時の感触もトミーガンらしくしながらも、少しだけ宇宙風にしているのです。
――そうですね。重いですか?
お手に取ってみてください。
――よろしいですか?
どうぞ。動きや音が必要な場合に備えて、エアソフトガン(プラスチックなどでできたBB弾を発射する遊戯銃)をベースに作ったものがたくさんあります。一方で、スタント用にゴム製のものもあります。
――クリプトの毛は本物の動物の毛ですか?
いやいや、違います。IKEAのラグですよ。
――おお、なんともリアルですね。
そう、呼吸もするし、まばたきもします。しっぽも振るんですよ。
――あそこにある銛は、カーラ愛用の武器なのでしょうか?
彼女は武器を使いません。あれは単に装飾用です。
――エイリアンにもさまざまな文化があるようですが、なぜそれぞれ区別なさったのですか?
どうでしょうかね。実はそこまで深く掘り下げたわけではなく、エイリアン自体のコスチュームや見た目に重点を置いて制作したので、特定のアイデンティティに結びつけたくなかったのです。ただ例えば、ルーシーの剣については、金線細工を施したアフガニスタンの武器作りにインスピレーションを得ました。また、ブリガンズの武器は、バイキングや革製品の影響を強く受けています。
――監督からは、どのようなリクエストや指示がありましたか?
クレイグ(・ギレスピー/監督)は映画の初期段階で非常に積極的に関わってくれましたので、とても助かりました。実は、我々が長年一緒に仕事をしてきた監督の中でも、最も深く関与してくれた一人だったのです。コミックからの参考資料がたくさんあったので、彼が何を望んでいるかは非常に明確でした。コミックへのオマージュでもありましたが、同時に、彼自身や我々もクリエイティブ面で表現の自由が与えられていたのです。例えばクレムの武器は、コミックに登場するものとはかなり違っていたので、コンセプトを一から作り直すことができました。というわけで、本当に良かったです。
――彼が具体的におっしゃったことの中で、最終版に反映されたものは何かありますか?
特に思い当たるものはありませんね。
――でも、彼は原作に忠実であることを重視していたのですよね。
ええ、彼はオマージュを捧げつつも、自分なりの要素を加えたいと考えていたのです。
――「スーパーガール」のような映画では、ディテールが重要なのでしょうね。
はい、そうです。
――特に細かい部分、小さな小道具などはそうでしょうね。
ええ、カメラに映るものなら、全神経を注いで最高のものにする価値があると思います。カメラの前に粗悪なものを置きたくないので、すべてに時間と労力をかけたいのです。例えば嘔吐袋でさえ、既製品を買って済ませるつもりはなく、自分たちで作ることにしました。
――武器を組み立てるのにどれくらい時間がかかるものなのでしょうか?
現代の技術を使えば、パーツを3Dプリントして組み立てるだけなので早くなってきましたが、一番時間がかかるのは塗装作業です。それは、例えば金メッキやクロームメッキが硬化するのに24時間かかるからです。それから銃身の焼け跡の表現にも時間がかかりますが、やはり主に塗装作業ですね。
――一番難しかったアイテムはどれですか?
それは難しい質問ですね。
――一つ一つがそうですよね。
どれもがそうですね。本当にどれもそれぞれに難しさがありました。
――カーラは異星人なので、一風変わった武器を作る必要があったのでは?
一番難しかったのは、恐らくカーラの宇宙用iPodですね。宇宙用iPodとは、一体どんな見た目だというのでしょう?それに彼女はオリジナルのiPodも持っているのですが、それと同じような感じにするべきなのでしょうか?どこから手をつければいいか全く見当がつかないので、あれが一番難しかったですね。一方、剣は剣だし、犬は犬です。でも、宇宙用iPodとは何でしょう?誰にも分からないですよね?
――私は映画に出てくる紙の新聞が好きなんです。これは誰が書いているのですか?
グラフィック部門です。確かに大抵は意味不明な内容ばかりなのですが、たまにちゃんと記事が書かれていることもあるのです。
――面白いですよね。お気に入りはありましたか?
自分のお気に入りがあるか、ですか? すごく変なのですが、我々が手掛けた小道具の中で一番のお気に入りは、ロボのベイプ・シガー(電子葉巻)です。
――かっこいいですよね。
それはこれが急ぎの仕事だったからです。わずか6時間ほどで完成させました。ただ、本当に何気ないリクエストだったのに、結局うちの部署内で大騒動を引き起こすことになったのです。でも、その塗装の仕上がりは信じられないくらい素晴らしいし、ベイプ・シガーを作るというのは、我々にとってかなり新しい試みでしたので、とてもやりがいがありました。
――それは監督からのリクエストということなのですか?
というか、 ジェイソン(・モモア/ロボ役)からの依頼でした。それで自分の顔を実際に明るく照らしたかったからです。そう、本当に彼から始まったのです。
――彼はかなり積極的に関わっているようですね。先ほど衣装を拝見しましたが、あのコートを着るというのも彼のアイデアだということでしたし。
そう、彼はロボを演じるのをとても楽しみにしていたので、いざ実際に彼の小道具を見せてあげた時は、本当に熱心に関わってくれました。
――他に彼が希望したり、提案したりしたことはありますか?
そうですね、彼のキャラクターは原作コミックの要素が多いため、かなりわかりやすいもので、彼はそれに忠実であることを希望していました。彼が使うライターはかなりユニークです。真鍮製のパンチライターなのですが、テーブルに叩きつけて火をつけるという、かなりワイルドなものなのです。あれは面白いアイテムでしたね。
――それぞれのアイテムは、最終的に何個ずつ作ったのですか?
ブリガンズの武器は、全部で500個ほど作りました。
――わあ、文字通り一つの軍隊分ですね。かなりの数ですよね。
はい、ルーシーの剣は約50本です。
――これらアイテムは異なる惑星のものだとおっしゃっていましたよね?
はい、本作ではいくつもの惑星を巡るのですが、正確にいくつ訪れたかは覚えていません。3つか4つくらいだと思います。それぞれの惑星には独自の雰囲気があり、アルゴは非常にまっさらな感じで、エヴェリー(Evely) はひどく破壊され、錆だらけで、ホルツヘル(Holzherr)はただただ汚れていて、薄汚い感じでした。
――撮影が終了しクランクアップとなった後、俳優たちは小道具を持ち帰ったりするのですか?今からすでに何か持って帰りたいと頼まれたりしましたか?
はい、我々の所有物ではないので、こういうのはいつもちょっと気まずい問題なのです。制作し、管理はしていますが、我々のものではありません。だから、彼らに譲るかどうかを決めることではないのですが、そういうリクエストはいつも来ます。
――今からすでに、ですか?
はい、ジェイソンは、もうすでにある物をリクエストしてきましたよ。そして彼はもうそれを手に入れたのです。ただ、誰もが我々のものだと思っているようですが、実はそうではありません。ワーナーのものですから、上層部の承認を得ないといけないのです。
――他にも、キャラクターについて面白い裏話があれば教えていただけますか?
クレムの双頭のネズミです。マティアス(・スーナールツ/クレム役)はかなり型破りな人で、クレムを演じるのをとても楽しんでいるんですよ。
――iPodで音楽を聴くことはできますか?何台のiPodを用意したのですか?ちゃんと動くのでしょうか?
初代iPodは動作しますが、視覚効果チームが画面部分を担当することを希望したため、残念ながらその使用は許可されませんでした。動作する初代iPodを見つけるのはかなり大変でしたよ。一方、宇宙版は動作せず、完全に視覚効果で処理される予定です。
――なぜ、元々の素材でできているものがあるのですか?実際のものは、もっと重いのでしょうか?
武器に関しては、通常いくつかの段階に分けて制作します。まず我々が一軍と呼んでいるものがあり、これは金属製か非常に硬いゴム製ですが、最高の塗装仕上げを施し、クローズアップ用です。それから、例えばルーシーという少女の場合、重い一軍の剣を常に持ち歩かせるわけにはいきません。そこで、1日10時間持ち歩いても負担にならないよう、軽量化したバージョンを作るのです。
――すでにお話しされたか分かりませんが、剣に見られる模様やロゴ、形状などはどこからインスピレーションを得られたのですか?
ルーシーの場合、アフガニスタン人がかつて作っていた、非常に精巧な金細工の武器の製法から多くを借用しました。でも、ルーシーの剣の形はコミックブックから取ったのです。つまり、原作が大きな情報源でしたね。それから、ブリガンズたちのデザインは、バイキングやケルト文化などに強く影響を受けています。
――角のようなものも付いていますものね。
はい。クレムにはその部分に角が付いています。
――3Dプリントを多用されたのですか?それとも主に型を取って作られたのでしょうか?
コンセプト模型は3Dプリントで作ります。3Dプリントは素早く制作できるのが便利なのですが、我々の用途には安定性に欠けるのです。そこで、まず3Dでコンセプト模型を作り、そこから型を取ることが多いです。
――インスピレーションについては少しお話しいただきましたが、「これは作らないようにしよう」「特定の物に見えないようにしよう」といった、あえて避けようとした要素はありましたか?
特にないですね。ただ、当然ながら本作は宇宙映画であり、SF色が強いので、そういう要素は常に付きまとうものです。単に店に行き、棚に並んでいるものを買ってそのまま使うわけにはいきませんので、すべてに手を加える必要があります。店に行って宇宙銃を買うなんてことはできないので、元の見た目やシルエットが気に入ったものを購入し、それを基に制作チームが作り上げていきます。しかし、その多くは小道具担当者のクリエイティブな発想によるものなのです。クレイグにはすべての銃のコンセプトを考える時間などありませんからね。彼は自由にやらせてくれて、我々が作ることができるものの構想を任せてくれるんです。だから、ものによってはかなり自由があり、これらの武器の多くは、実際に小道具担当者の構想から生まれたものなのです。
――なるほど。それには、ジェームズ・ガンも関与しているのでしょうか?「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」の独創性を想起させるところがあるので、ジェームズ・ガンがどの程度意見を述べているのか気になります。
ジェームズは、この件に関してはほぼ全てをクレイグに任せていたと思います。彼の領域に踏み込みたくなかったのでしょう。ですから、これはまさにクレイグの…。
――アイデアですか?
ビジョンですね。ええ。我々は映画のトーンを、ジェームズが自身の作品に求めるビジュアルから得てはいますが、基本的には、彼は本作をクレイグに任せていたと思います。
――小道具制作班の規模はどれくらいですか?
ピーク時には、約75人の小道具制作スタッフがいました。塗装担当は10人いて、彼らがこのテーブルの上にあるほとんどのアイテムを手掛けました。我々の部署全体としては、ピーク時に約300人いました。
――この中で一番のお気に入りはどれですか?
ああ、それはロボのベイプ・シガー(電子葉巻)ですね。その理由は簡単で、本来はあって然るべきなのに、実際には存在しないものだからです。
――本作が公開された後に、もしかしたら作られるかもしれませんね。
――コスプレイヤーたちが作ろうとする姿を想像してみてください。きっとたくさん売れるでしょうね。
――デイリー・プラネット(新聞)は8.50ドルだったんですか?未来では紙はすごく高いんでしょうね。
新聞を印刷するのもすごく高いんですよ。ザ・サン(英国の大衆紙)がどうやって50ペンスで売られるのか分かりません。
――あそこにあるのは食べ物ですか? 彼らが食べているもののインスピレーションとなったものは何かあったのでしょうか?
エヴェリーのパブで、彼女が揚げた眼球を食べると脚本に書いてあっただけです。
――ああ、確かにあの小道具はありましたね。
それはまさに我々が求めていたもので、自由に作っていいのです。先ほど下の階でルーにお会いになりましたが、あれをデザインして作ったのは彼女なのです。
――あのセットは楽しかったですね。ところで、エドマンドというのは誰のことですか?
エドマンドはルーシーの兄弟です。
――彼はこのスンニ派風の武器を使っているのですね。
そうです。映画の初期段階では、それを杖として使うという話もあったのですが、現在はルーシーとエドマンドがスコットランドでそれを使って戦うシーンに変更して、来週撮影する予定なのです。
――あれは宇宙ゴルフクラブなのでしょうか?後ろにあるのは何ですか?よく見えないのですが。
え、あれのことですか?
――あの真っ直ぐに上を向いているものです。
あれはクレムのものです。
――ああ、クレムのでしたか。
野球のバットです。
――ここからだとゴルフクラブに見えますね。かっこいいですよね。
(製作サイドからの呼びかけ:あと数分あります。最後に質問のある方はいますか?)
――このアイテムの警告ラベルは入手できないのですか?それともあれが…?
それは銃にすでに貼ってありました
――「うわ、本当に細部までこだわっている」と思いました。そういうのは監督に承認を求めることになりますよね?
はい。
――全てにおいてですか?
主要なヒーローキャラクターに関するものはすべてクレイグ経由になります。例えば、ブリガンズに関しては、コンセプトを送るだけで、実物を見せることはおそらくないでしょうが、99%はクレイグを通すことになると思います。なぜなら、間違ったものを作って時間とお金を無駄にするよりは、最初から正しく作りたいからです。そうすればコストも抑えられますし、何よりこの映画の場合、もし彼が気に入らなかったとしても修正する時間があまりなかったので、まずは正しい答えを出せるようにしたかったのです。
――あなたの案が監督に却下されたりしましたか?
たくさんあります。本当にたくさんね。
――インスピレーションを得るためにどこかへ旅行したりしましたか?
個人的には、そういうことはしません。美術部門はリサーチのためにインドを訪れたと思いますし、他にも行った場所があったと思いますが、我々は行かなかったですね。
(取材/野津千明)
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スーパーガール
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