大谷翔平が左膝炎症で途中交代…ドジャースが頭を抱える“380億円男”の深刻な現状

「Los Angeles Dodgers」公式Xポストより引用

大谷翔平が左膝炎症で途中交代…ドジャースが頭を抱える“380億円男”の深刻な現状

6月12日(金) 15:42

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日本時間12日、パイレーツと対戦したドジャースは8-6で勝利を収めた。これで同カード3連戦を2勝1敗と勝ち越し、この日は試合がなかったパドレスとの差を8ゲームに広げた。

大谷にアクシデント発生…ドジャースに広がる不安

Tonight’s Photo of the Game presented by Daiso. pic.twitter.com/txKBfqBtVE— Los Angeles Dodgers (@Dodgers) June 12, 2026 前日に続き、中盤までに5点のセーフティーリードを奪ったドジャースだったが、5回裏に4失点。逆転負けを喫した前日と似た展開に嫌な雰囲気も漂ったが、何とか連敗は阻止した。

試合には勝利したドジャースだが、主砲の大谷翔平が7回表の打席で代打を出され交代。試合後、ドジャースは「左膝の炎症だった」と発表している。

左膝といえば、7年前に手術を受けた箇所でもあり、明日以降への影響が懸念される。この日は第13号ソロを含めて全4打席で出塁を果たしていただけに、万が一、戦線離脱となれば、チームにとっても大きな痛手となるだろう。特に直近5試合で3本塁打の量産態勢に入っていただけに、ドジャース打線への悪影響は避けられない。

大型契約で加入も期待外れ…タッカー低迷の現実

明日以降の大谷の出場可否にかかわらず、ドジャース打線のカギを握るのが、今季からチームに加わったカイル・タッカーだ。

タッカーは、オフに4年総額2億4000万ドル(約380億円)の大型契約を結び、3連覇に向けた最後のピースと呼ばれた存在。主力選手の多くが30代というドジャース打線において、29歳という年齢も加味し、ドジャースには必要な戦力と映ったはずだ。

しかし、契約当時からタッカーの獲得を不安視する声も少なくなかった。

昨季はカブスでプレーしたタッカー。シーズン前半戦はMVP級の活躍を見せ、自身4年連続となるオールスターにも選出された。ところが後半戦はケガの影響もあって失速。一部では衰えを懸念する声もあった。

それはここ数年のタッカーの細かい打撃指標を見ても明らかで、平均打球速度やハードヒット率などは下降傾向を示していた。大型契約に見合う活躍ができるかどうか、疑問視するファンがいたことは間違いない。

実際に、今季は1番大谷とクリーンアップをつなぐ重要な2番打者として開幕を迎えたものの、打撃は低空飛行。今季ここまで65試合で打率.237、5本塁打、34打点、5盗塁と期待を大きく下回る数字にとどまっている。OPSは2024年の.993をピークに、昨季は.841、今季は.714と右肩下がりで、打順も徐々に下がっており、ここ数試合は6番を打っている。

打撃不振だけではない守備面にも見える深刻な課題

そして、打撃以上に深刻なのが守備と走塁かもしれない。

MLBの公式データサイト『Baseball Savant』によると、タッカーの肩の強さを示す「Arm Strength」は59パーセンタイルで平均よりやや上。そして送球の正確性などを含めた「Arm Value」は92パーセンタイルとメジャーでも上位に位置している。肩の強さではチームに貢献しているといえるだろう。

一方で、守備範囲を示す「Range(OAA)」という指標は4パーセンタイル。これはメジャーのレギュラー外野手の中でも最下位クラスであり、守備範囲だけを見ればチームのお荷物といわれても不思議ではない数字だ。

守備範囲と走力のデータが示す衰えの兆候

さらに、今季は守備範囲の狭さに加えて、やや緩慢な動きで走者の進塁を許すプレーも散見される。打撃の不振が守備にも悪影響を及ぼしている可能性もあるだろう。

そして2023年に30盗塁、昨季も25盗塁をマークした走力にも陰りが見えている。もともとタッカーは状況判断に優れ、走塁技術はメジャーでも高く評価されている選手だ。その証拠に、通算124盗塁に対して、盗塁失敗は16回だけ。成功率は88.6%と高水準を誇る。

ただ、タッカーのスピード自体は平均以下である。走力を示す指標「Sprint Speed」を見ると、2年目の2019年に70パーセンタイルとリーグでも上位に位置していたが、年齢を重ねるごとに下降傾向を示している。

今季は27パーセンタイルまで落ち込んでいるが、これは24パーセンタイルの吉田正尚(レッドソックス)とほぼ同等だ。かつて30盗塁を記録したこともあるタッカーだが、俊足選手として語られることの多かった面影は、データ上では薄れつつある。

もちろん、メジャーでは、打撃で圧倒的な成績を残すことで走力や守備面のマイナスを補っている選手も少なくない。しかしタッカーの場合、今季は打撃成績も低迷しており、本来であれば強みであるはずの攻撃面でチームに十分なリターンをもたらせていない。そのため守備範囲や走力の低下がより目立つ形となっている。

特にドジャースはムーキー・ベッツや大谷翔平、フレディ・フリーマンら高額年俸のスター選手を多数抱える球団だ。その中で年俸ベースでは球界トップクラスとなるタッカーに求められるのは平均的な活躍ではなく、勝敗を左右するようなインパクトのある働きである。現状のパフォーマンスでは、ファンから厳しい視線が向けられるのも無理はないだろう。

380億円の価値はあるのか

FA市場最大の目玉とされ、年俸換算では大谷に次ぐMLB屈指の高給取りとしてドジャースに加入したタッカー。契約当時は「最後のピース」と評されたが、ここまでは期待を大きく下回る内容が続いている。

もちろん、シーズンはまだ半分以上を残しており、実績十分のタッカーがこのまま終わるとは考えにくい。しかし、ドジャースが世界一を目指すうえで、そして大谷に故障不安が浮上した今だからこそ、本来の主役級の働きが求められる局面だ。

4年380億円の投資が正しかったのか。それとも失敗だったのか。打撃不振だけなら巻き返しの余地はある。しかし、守備範囲や走力といった身体能力に直結する指標まで悪化している点は見過ごせない。ドジャースが手に入れたのは全盛期のタッカーだったのか――その答えは、これからの数か月で明らかになる。

文/八木遊(やぎ・ゆう)

【八木遊】
1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。現在は、MLBを中心とした野球記事、および競馬情報サイトにて競馬記事を執筆中。

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