6月3日の国民会議の実務者会議では、レジシステムの消費税率を0%に変えるには10か月〜1年、1%なら5〜6か月かかると公表されたが、その前日に政府・自民党が来年4月の1%への引き下げを目指していると報じられた。消費税1%に相当する予算6000億円で給付を行うことで“実質0%”を目指すか?
ジャーナリストの岩田明子氏は、「高市政権は減税の是非以前に、政策決定の進め方そのものに危うさを抱えている」と指摘する。(以下、岩田氏の寄稿)
国民会議を置き去りにした“1%案”
〈消費減税来年4月開始へ政府検討『1%』有力〉
毎日新聞が1面でこのように報じたのは、高市首相の肝いりで設置された「社会保障国民会議」の実務者会議を翌日に控えた6月2日のこと。あたかも、来年4月から食料品に対する消費税率を1%に引き下げることが“ほぼ”決まったかのように見えるが、実際には消費減税などについて議論するための国民会議では実施の時期も「1%案」も議題にさえなっていない段階だった。政府・自民党の腹案がコンセンサスを得たかのように流布された形だ。
その証拠に、野党はもとより、連立を組む維新からも「報道が先行しすぎて国民会議の議論に影響が出る」と不満の声が漏れる。吉村洋文代表も「(1%でなく)ゼロにするのが本筋だ」と漏らしたことから、与党内でも減税案のすり合わせが行われていなかった様子がうかがえる。
周知のとおり、2月の衆院選ではほぼすべての党が消費税ゼロないしは、減税を掲げ、高市首相は「悲願」と形容した。消費減税はいずれの政権も実現したことのない政策ではあるが、野党も同じ熱量を持って取り組む姿勢を見せてきた経緯からすると、議論が停滞するような課題ではない。にもかかわらず、国民会議を蔑ろにするような先行報道が出てしまうところに、高市政権の根回し不足や情報管理の未熟さが垣間見える。
安倍政権と比べて際立つ調整力の弱さ
かつて安倍元首相は、集団的自衛権の限定容認に踏み込んだ平和安全法制を整備する際、安保関連法案としては戦後最長となる216時間を審議に費やした。’15年当時は「強行採決」と報じられたが、猛反発する野党と丁寧に話し合うことで、最終的に自公に加えて衆参で3党の合意を取りつけて可決させたのだ。
それと比較すると、高市政権のコミュニケーション不足が際立つように感じられて仕方がない。6月5日に成立した補正予算案もしかりだ。中東情勢等対応予備費2・5兆円を含む補正の審議を、衆参1日ずつの短縮審議にとどめたことで、野党からは大きな反発の声が上がった。ナフサをベースに精製されるガソリンの補助を続ければ、ナフサ不足の解消も遠のくが、そうした議論も活発にされぬまま採決された。
もちろん、野党側にも問題はある。限られた補正予算案の審議のなかで、週刊誌が報じる高市陣営による中傷動画疑惑に多くの時間を割くべきなのか?国民生活を左右する課題が山積するだけに、骨太な与野党論戦に期待したい。
<文/岩田明子>
【岩田明子】
いわたあきこ●ジャーナリスト1996年にNHKに入局。20年にわたって安倍元首相を取材し、「安倍氏を最も知る記者」として知られることに。’23年にフリーに転身後、『安倍晋三実録』(文藝春秋)を上梓。’26年4月にはYouTubeチャンネル「TABOO CRASH岩田明子のオフレコ部屋」を開設
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