日本共産党はこれからどうなるのか。不破哲三氏の死去を機に、佐藤優が鋭く分析する「自分だけが正しいという体質」

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日本共産党はこれからどうなるのか。不破哲三氏の死去を機に、佐藤優が鋭く分析する「自分だけが正しいという体質」

6月8日(月) 8:46

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“外務省のラスプーチン”と呼ばれた諜報のプロが、その経験をもとに読者の悩みに答える!今回は昨年末に亡くなった不破哲三前日本共産党議長の功績と、日本のマルクス主義・共産党の今後を気にかける41歳男性の悩みについて。佐藤優が鋭く分析する。

マルクス主義と日本共産党の今後が気がかりだ

★相談者★赤野代々木(ペンネーム)自称・活動家41歳男性

昨年末に不破哲三前日本共産党議長が亡くなられました。対共産圏外交の間違い、晩年の豪邸暮らし、指導部に残り続けた権力志向など批判もありますが、マルクス・レーニン研究家としての功績は偉大だと感じます。質問は2点です。1.(小規模団体、過激派を除き)実践を伴うマルクス主義者が亡くなり、日本のマルクス主義は(労働者を大事にしようという流れも)終焉を迎えて弱肉強食、労働者使い捨ての資本主義へ進むか。2.不破氏に並ぶであろう理論家の志位和夫議長を失うと共産党のマルクス研究、論戦レベルは低下するか(SNSなど見て党員の質が低下したと思います)。党の行く末についてのお考えをお聞かせください。

佐藤優の回答

日本共産党がマルクス主義の影響を受けているのは確かですが、マルクスよりもスターリンの影響を強く受けています。この政党の影響が小さくなることで、むしろマルクスの思想、とりわけマルクスが『資本論』で展開した論理を虚心坦懐に受け止められる環境が整います。新自由主義は、労働力を商品とすることによって成り立つ社会です。新自由主義的な株価至上主義が広がると、額に汗して働く人よりも、株、金、土地などの資産を持っている人のほうが豊かになるだけです。こういう社会に歯止めをかけるうえで、『資本論』の論理は今後も役に立つと考えています。

あなたがおっしゃるように不破哲三氏は、(表面上、ソフトな体裁をとりつつスターリン主義政党を生き残らせるうえで)重要な理論的役割を果たしました。しかし、日本共産党の自分だけが絶対に正しいという体質は変化しませんでした。志位和夫議長が不破氏から聞いた興味深い内輪話を披露しています。

〈私が、国会議員に初当選した当時(1993年)、不破委員長(当時)から“伝授”していただいたことですが、質問というのは最後に何を聞くか──どういう「切り口」で聞くかが非常に大事だということです。あまり良くないのは、党の立場を先にのべてしまって、「私はこう考えるけれどもどうですか」と、相手が何でもしゃべれるような聞き方です。そのように聞きますと、相手は「自分たちはこう考える」と、自分たちの考えをとうとうと述べます。そうではなく、最後の「切り口」で、相手が「その通り」と答えても困ったことになるし、「違います」と答えても困ったことになる、どっちに転んでも困ったことになるような「切り口」を見つけて聞く。そうすると、一歩一歩相手を追い詰めることができます。〉(『新・綱領教室(上)』62頁)

日本共産党の目的は、国会で政府を窮地に追い込むことで、建設的討論を望んでいないことがわかります。しかもこのような記述を読んだ読者が共産党に対して好感を抱かなくなることが志位氏には見えていないのです。

田村智子委員長も高市早苗首相に対して、〈相手が「その通り」と答えても困ったことになるし、「違います」と答えても困ったことになる、どっちに転んでも困ったことになるような「切り口」を見つけて聞く〉というアプローチをとっています。これでは広範な国民の共感を得ることはできません。しかし、共産党の熱心な支持者も100万人以上いるので、今後もこの党は現状程度の影響力を持ち続けると思います。

★今週の教訓……自分だけが正しいという体質は変わらない

※今週の参考文献『新・綱領教室(上)2020年改定綱領を踏まえて』志位和夫新日本出版社

【佐藤優】
’60年生まれ。’85年に同志社大学大学院神学研究科を修了し、外務省入省。在英、在ロ大使館に勤務後、本省国際情報局分析第一課で主任分析官として活躍。’02年に背任容疑で逮捕。『国家の罠』『「ズルさ」のすすめ』『人生の極意』など著書多数

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