「出国税」大幅引き上げへもっと!海外へ…行きにくくなる?【コラム】

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「出国税」大幅引き上げへもっと!海外へ…行きにくくなる?【コラム】

6月4日(木) 14:05

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日本を出国する人から一律1,000円を徴収している国際観光旅客税(出国税)が、7月から3,000円に引き上げられる。

筆者は2025年だけで20回以上日本に出入国している。オーバーツーリズム対策の重要性は認識しているが、しかし、「出国税」を増税することに意味はない、ナンセンスだと感じている。

このコラムでは「出国税」について改めて掘り下げながら、どうあるべきか議論していきたいと思う。

国際観光旅客税(出国税)とは



2019年から制度が導入された国際観光旅客税、いわゆる「出国税」。観光先進国の実現に向けた観光基盤の拡充・強化を図るための財源を確保する観点から、国際観光旅客等の出国1回につき1,000円の負担を求めるもので、諸外国でも金額の多寡はあるが、同様の税金が導入されている。

たとえば、イギリスでは、航空旅客税(Air Passenger Duty)が導入されており、日本へのフライトの場合、現在エコノミークラスで94ポンド(約1万9,000円)、それ以外のビジネスクラスなど上級クラスでは224ポンド(約4万5,000円)が課されている。

また、国際観光旅客税の税収は、(1)ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備、(2)我が国の多様な魅力に関する情報の入手の容易化、(3)地域固有の文化、自然等を活用した観光資源の整備等による地域での体験滞在の満足度向上、の3つの分野に充当する旨が規定されている。

具体的には、「最先端技術を用いた個人識別情報システムの機能強化・出入国手続の迅速化による訪日外国人旅行者の利便性向上」、「電子申告ゲートの利便性向上」、「戦略的な訪日プロモーションの実施」、「文化資源を活用したインバウンドのための環境整備」、「国立公園のインバウンドに向けた環境整備」等と例が示されている。

オーバーツーリズムの現状



現在の日本の観光産業には、いくつかオーバーツーリズムに関連する問題があると考える。

1つは、外国人の入国審査の待ち時間についてだ。多くの国から無査証で入国できるが故に、主要空港では、入国審査場の外国人レーンでは混雑している。アメリカやカナダ、オーストラリアなどが導入している事前入国審査を導入し、外国人の審査を迅速化することが喫緊の課題だ。



また、外国人で込み合う国内の観光地では、ゴミ問題が深刻化していることが多いと感じる。欧米濠などでは、道にゴミ箱があることが一般的だが、ゴミ箱がなく、ゴミ箱以外にゴミが不法投棄されることも珍しくない。ゴミ収集が有料化されている自治体が全国のおよそ3分の2(環境省の調査より、粗大ごみを除いた生活系ごみの有料化状況)を占めており、観光地にゴミ箱を設置した場合、有料化しているゴミ収集と無料のゴミ箱をどう両立していくかというジレンマを抱えることになる。

インバウンドでにぎわう観光地とそうでない地域が両極化していることも挙げられる。東京や大阪、福岡などの大都市、また海外からの直行便が豊富な都市やアクセスが便利な都市、海外での知名度が高い都市に観光客が集中し、国際線の就航がわずかな都市にはインバウンドの恩恵が受けにくいという特性がある。

さまざまな課題、特性などを考慮して、多面的な対策を行う必要があることは火を見るよりも明らかだ。民間による対策には限界があり、国や地方自治体が根気強く取り組む必要があるだろう。

「オーバーツーリズム対策」、出国税の増税で対応できるの?



オーバーツーリズムとひとことで言っても、様々な問題があり、行政で取り組むべきものや、行政でなかなか解決できない事業者や民間の問題もある。それを、出国税を増税することで解決への糸口につなげることができるのだろうか。疑問符がある。

そして、こういった「オーバーツーリズム対策」を、日本に入国する外国人に課税するならともかく、日本から出国する日本在住者にも課税される「出国税」の増税により財源を確保するという構図に納得感はない。

「出国税」増税は日本人の海外旅行促進に冷や水



2025年3月、観光庁と外務省、日本旅行業協会は共同で「もっと海外へ!宣言」を発出し、日本人の海外旅行(アウトバウンド)を促進していくとした。

日本の旅行業界は、単価が高くなる海外旅行に支えられてきたといっても過言でもなく、日本旅行業協会の髙橋広行会長(JTB出身)は、2025年の年頭所感で「海外旅行については円安、旅行代金の高騰等の影響により回復のペースは遅く、未だ2019年比で6割強程度に留まっており、(中略)旅行業界として今年こそは海外旅行の完全復活に向けた取組みを加速させなければなりません」とはっきりと述べるなど、業界においても海外旅行の需要回復の必要性が認識されている。

「オーバーツーリズム増税」で出国税を引き上げるという施策は、オーバーツーリズムという難しい社会問題を解決できない限り、日本人にとって海外旅行に対する割高感を印象付けるだけである。

結局「出国税」増税はナンセンス



「オーバーツーリズム」対策として、「出国税」を増税することは、「オーバーツーリズム」の社会問題をすぐに解決できるかという意味で疑問符がつくし、日本在住の人にはベネフィットはなく、旅行業界にとってはアウトバウンドの回復に冷や水を指すネガティブなイベントだろう。

実際、海外旅行の費用は高止まり(2025年、1人あたりの海外旅行費用は334,100円、JTB推計)の中、数千円の出国税増税は、数字の中では、そこまで大きい変化ではないかもしれない。しかし、海外旅行が割高だというという印象をつけるというネガティブな材料であることは間違いない。

結局「出国税」の増税はナンセンスで、意味を見出すことは難しいと言わざるを得ないだろう。国内の観光業界の稼ぎ柱であった日本からの海外旅行の需要が減退すれば、観光業界に冷や水がさされる。

「もっと!海外へ」というキャッチフレーズと裏腹に、もっと海外に行きにくくなりそうだ。

Traicy

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